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横山だいすけ × いきものがかり水野良樹「さよならだよ、ミスター」をきっかけに芽生えた両親への感謝

横山だいすけさんが、8月25日(金)公開される『映画くまのがっこう パティシエ・ジャッキーとおひさまのスイーツ&ふうせんいぬティニー なんだかふしぎなきょうりゅうのくに!』の主題歌を担当することが明らかになりました。
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主題歌「さよならだよ、ミスター」はいきものがかりのリーダー・水野良樹さんが作詞・作曲を手掛けた“親から子への旅立ちのエール”をテーマにした楽曲。
横山さん自身初のCDソロデビュー作でもある「さよならだよ、ミスター」をともに作り上げてきたお二人に、制作の裏側をお聞きしました。

「スーパースター」と一緒にお仕事!?

――このお仕事のオファーを受けたとき、お互いをご存じでしたか?

水野良樹さん(以下、水野さん):白状しちゃいますと、僕は子どもがいなかったので『おかあさんといっしょ』をみていなくて、横山さんのことは知らなかったんですよ。でも、たまたま妻の友達が家に遊びに来ているときに、ちょうどその友達が横山さんの話をされていたんです。「私、今だいすけロスなんだ」「みんなが救われている、すごいうたのお兄さんがいるんだよ」と力説されていて、「へー、そんな人がいるんだぁ」なんて話をしていたら、2週間後くらいにこのお仕事のオファーをいただいて。「あー! この人だ!!」と(笑)。

さらに、僕が「横山さんが歌う曲を作る」という情報が公表されてすぐに、知り合いの子育て中のお母さん方から大量にメッセージがきて……(笑)。僕が “スーパースターに会う!”と大盛り上がりでした。

横山だいすけさん(以下、横山さん):僕は水野さんのことは、いきものがかり時代からずっとファンでしたし、合唱コンクールの楽曲としても歌わせていただいたこともあったので、素敵な方だなと思っていました。そして実は『おかあさんといっしょ』の番組内でも、「いつか一緒にお仕事ができたらいいなぁ」なんていう話も出ていたんですよ。

そうしたら番組を卒業後、この映画の主題歌のオファーをいただいたときに、作詞・作曲を水野さんが担当してくださると聞いて。ただただビックリで、「どひぇ~!! こりゃ〜たまげた」と(笑)。お会いするのが楽しみで仕方なかったです。

――この曲をはじめて聴いたときの横山さんのご感想は?

横山さん:はじめてデモ音源を聞いたり、歌詞を読んだりしたとき、実は僕がイメージしていた映画の主題歌よりずっと大人っぽい曲だなぁと思ってビックリしたんです。でも歌詞をじっくり読むと、親御さんであったら一度は感じるであろう気持ちが書かれていて、「すごくあったかい詩だな」とも思いました。

この水野さんが作ってくださった曲をどうやって表現していったらいいのだろうと考えたときに、僕にはまだ子どもがいないので、子どもがいる友人や身近な人たちに話を聞きながら、自分の中で“親の気持ち”をイメージしていきました。はじめのうちは、ちゃんと自分に親の気持ちが表現できるのだろうかと不安に感じることもありましたが、収録をする前に水野さんとお話をして、それまで感じていた不安が一気に楽しみに変わったんですよ。

――水野さんから横山さんに何かアドバイスを?

水野さん:実は最初の打ち合わせのときに、横山さんはもう歌詞をすごく読み込んできてくださっていて。そして「この歌詞の意味はどういうことなんですか?」とか「どういう歌い方をしたらいいですか?」と、言葉のニュアンスだったり、疑問点だったりを素直にぶつけてくださったんです。もちろん「この詩はこういう意図で書いたんです」ということはお伝えしましたが、僕から何かアドバイスしたというよりは一緒にあれこれと考えながらこの曲を作りあげました。

しかも横山さんは「ここは、こういうイメージですか?」と言って、その場でアカペラで歌ってくれたんですよ。それで僕もスタッフも、横山さんの熱意に感動して。そのとき育児をされている方が「救われた」と言っていた意味が理解できた。これだけひとつのことに誠実に向き合える方だからこそ、横山さんの笑顔が、いろんなひとに求められるんだなと。「こんな人と一緒に仕事ができるなら、いいものができそうだ」と希望が湧いてきましたね。
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水野さん「本当に不思議な縁だなと思っています」

――同世代のお二人ですが、幼少期どんなお子さんでしたか?

※水野さん(1982年生まれ)、横山さん(1983年生まれ)

水野さん:僕は年の離れたいとこの姉ちゃんの影響もあって、光GENJIさんやチェッカーズさんの曲をよく聴いていたみたいで。5歳くらいのときに藤井フミヤさんが当時つけていた大きなイヤリングに憧れて、母親のジュエリーボックスに入っていたおもちゃのイヤリングをつけていたことがあるそうです(笑)。あとはテレビで見たスポットライトの点滅を家でも再現してみたくて、蛍光灯のひもを友達とカチカチして遊んでいた(笑)。

横山さん:僕も外で探検ごっこをしたり、テレビを大音量にしてドラゴンボールごっこをしていたりしていました(笑)。

水野さん:あー、やりましたね。やっぱり歳が近いので子ども時代に同じようなことをして遊んでいたんですね。

――子どもといえば、水野さんは今年の初旬にお子さんが産まれたばかり。お子さんが産まれたことで、何か心境の変化は?

水野さん:はい、もう溺愛ですね(笑)。心境の変化では、やっぱり子どもがいなかったときは自分のことしか考えていなかったんですけど、息子が産まれてからは息子の将来のことや、自分が死んだ後のこともいろいろ考えるようになりました。今まで知らなかった感情に出会ったというか。息子が産まれたタイミングで、偶然にもこのような子ども向けの楽曲をつくるお仕事のオファーをいただけたのは本当に不思議な縁だなと思っています。

――横山さんはまだ独身ですが、ご自身が親になったときを想像することはありますか? 

横山さん:親になれば心境の変化が絶対あるんだろうなとは思いますね。僕は歌と子どもが好きで、ずっと「うたのお兄さんになりたい」という夢を追い続けてきましたし、“家族のあったかさ”というものを早く経験してみたいなと思う気持ちもあります。

――水野さんは今年に入って『天才てれびくん』や『おかあさんといっしょ』などの子ども向け番組にも楽曲を提供されていますが、今後も子どもたちに向けた歌を作っていきたいですか?

水野さん:はい、お話をもらえれば、またぜひやってみたいですね。実はお子さん向けの曲ってすごく難しいんです。騙しがきかないというか。たとえばいま僕は5ヶ月の息子に『おかあさんといっしょ』で作らせていただいた「ぱんぱかぱんぱんぱーん」という歌を覚えてもらおうと思って歌いかけているんですけど、すごく反応が薄いんですよ。そこで「かえるのうた」を歌ってみると、それにはめちゃくちゃ反応する(笑)。

童謡とか子ども向けの歌って「あー、子ども向けの歌でしょ?」なんて軽く扱われることもあるかもしれませんが、実は子どもが楽しめたり嬉しい気分になれたりするような曲って、本質をついている曲が多いと思うんです。

――横山さんもたくさんのお子さんと一緒にお仕事をされてきたので、素直な子どもの反応はよくご存じなのでは?

横山さん:そうですね。本当に子どもたちは僕らの表情をよく見て、感情を見透かしているというか。『おかあさんといっしょ』の現場でも、こちらの挨拶ひとつで反応が全く違ってくるなんていうこともありましたね。子どもたちは直感的に「この人は安心できる」とか、「一緒にいると楽しい」とか「ちょっと怖いなぁ」とか、いろんなことを感じるので。そんな子どもたちだからこそ、音楽を通して元気になってもらいたいという思いもありますし、自分は歌が好きだから「歌を通して心を豊かにする音楽を届けていきたい!」という気持ちを、今までもこれからもずっと大切にしていきたいと思っています。
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横山さん「感謝の気持ちをあらためて感じることができた」

水野さん:今回横山さんに歌ってもらった曲を改めて聞いたときに、もちろん息子のことも考えたんですけど、僕は自分の親のことも考えるきっかけとなりました。

僕が大学を出て上京して、初めて一人暮らしをするときに、親が引っ越しの手伝いについてきてくれたんですけど、僕はそのとき「今日、夕飯なに食おうかなー」「この街には何があるんだろう」なんてことを考えていて(笑)。実はあのとき、親はいろいろなことを考えていたかもしれないなぁ……と思ったりしましたね。だからこの曲を聞いたみなさんも、我が子の旅立ちの日のことを考えたり親御さんのことを考えたり、親と子以外にも、大切な人のことを考えたりしてくれたら嬉しいなと思います。

横山さん:僕もまだ子どもがいないので、この曲をきっかけに「自分の親の気持ちってこうだったのかなぁ」とすごく考えました。実は今日(※取材当日)、午前中のミュージックビデオの撮影のときに、実家の近所で撮影があったので、両親が2人で見に来ていたんですよ。恥ずかしさもあったので、なるべく親の方を見ないようにしていました(笑)。

でも撮影で歌うときに、歌詞の意味を噛み砕いて親の表情や気持ちを表現すればするほど、親の存在が僕をすごく支えてくれているような気がしました。

水野さん:えー、子どもが頑張って仕事しているところを陰から見守っているなんて……。それ、めっちゃ「さよならだよ、ミスター」の世界じゃないですか!

横山さん:そうなんですよね。僕の両親は昔からずっと僕のことを見守って支えてくれるような存在でしたので。今回もあえて僕からは見えないようなところから見守ってくれていたので、胸が熱くなってしまいました。この機会に両親への感謝の気持ちをあらためて感じることができたので、この歌を歌えて良かったと思いますし、これからもこの気持ちを大事にしていきたいと思っています。

――最後に、ママたちに一言メッセージをお願いします。

横山さん:僕がブログに綴った文章を読んだファンの方たちから「救われました」とか、「悩みが解決しました」というふうに言っていただくことがあるんですが、水野さんが作ってくださった歌や詞も、きっとママさんたちの心の中にもすっと入って支えてくれるようなものになっていると思います。ぜひ歌詞からも歌の“あたたかさ”を感じていただければと思います。

水野さん:育児ってきれいごとだけでは済ませられないことだってあって、たくさん悩まれている方も多いと思うんですけど。僕自身親になったことをきっかけに、自分の両親への感謝の気持ちをもてるようになりました。

歌詞に書いてあるメッセージも、お子さんたちには今読んでもピンとこないことがあったり、お父さんお母さんだけにしかわからない思いがあったりすると思うんです。でも10年後20年後、もしくはそのお子さんが親になったときに、「あぁ……そういうことだったのか」とか「親ってこういう気持ちだったんだ」と思う瞬間がきっとあるから、いま親が思っていることもいつか通じるときがくると信じてほしいですね。
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――素敵なお話をどうもありがとうございました。

「さよならだよ、ミスター」は8月23日(水)発売です!

取材&文・赤石みお 撮影・山口真由子