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くわばたりえ:第4回 イライラが治まらなかったら、怒ったまま寝る日があったっていいと思う

くわばたさんのブログ「くわばたりえのやせる思い」のコメント欄には、育児に悩むママからの相談が多く寄せられるそうです。くわばたさんに相談したくなってしまうのは、「アドバイス」ではなく「共感」で返してくれるところに理由があるよう。「私だけじゃないんだ」と思えるくわばたさんの言葉が、何よりもママたちの気持ちを軽くしてくれるのです。
今回から3回にわたり、「くわばたさんに聞いてもらいたい!」というママから届いた、育児についてのお悩み相談に答えていただきます。

相談者:2歳女の子ママ

娘が赤ちゃんのときは、「この子のことを怒る日なんてくるのかな?」と思っていたのに、イヤイヤ期になり、自我が芽生えた娘を日に何度か怒ってしまう日々。
その後は、自己嫌悪で泣いてしまう時もあります。くわばたさんは、子どもを怒ってしまった後の落ち込みから、どんな風に気持ちを切り替えていますか?

なるほど~。気持ちの切り替え方かぁ。難しいよね。
このママは、「子どもが何か悪いことをしたから怒る」ことにではなくて、「自分に余裕がないときに、つい子どもを怒ってしまう」ことに自己嫌悪を感じているんですね。そういうとき、ある~。
でもこの場合は、怒った後の気持ちの切り替え方よりも、私は、「なんで怒る必要があったんかな」と考えることが大事な気がする。怒りの感情って、そんなにすぐには静められないから、冷静になってから考える。
くわばたりえ

■「どうして怒ってしまったか?」を考えるんですか?

そう。イライラしてるときは、自分が悪いことも全部正当化してしまうでしょ。「だって、洗濯物たまってるもん」「だって、夫が帰ってくるの遅いもん」「だって、時間ないねんもん」……。「だって、だって」を作って、子どもに当たってしまってることもあると思うねん。冷静になって考えると、この「だって」が多いな、私は自分で思うことがあるの。だから、まずはそれに気づくことが大事かな。

■確かに「だって、言うこと聞いてくれないんだもん」とか「だって、昨日も言ったもん」とか、思ってしまうことが多いかも。怒ってしまったことを正当化してしまうことが当たり前になってしまってはいけないですね

でも、理不尽に怒ってしまうことってあるでしょ? それを絶対しないっていうのは無理じゃない? ママだって完璧でいられるわけじゃないんだもん。
「子どもを理不尽に怒ってしまうときがある」という話したときに、私の気持ちを軽くしてくれることを言ってくれた人がいるの。「でも、人間100人おったら、みんな自分に優しいひとばかりじゃない。全然関係ないところで怒ってくる人もいる、褒めてくる人もいる、嫌なことを言ってくる人もいる。だから、ママが理不尽に怒ることで、子どもは“ママ(人)って理不尽に怒るんだな”ということを勉強するんじゃない?」って。

■そういうことってどこでもありますものね。“理不尽さ”をパパやママから学ぶと言うのも大事なのかも

「そっか。イヤイヤ期だもんね」って笑って許してくれるママなんておらんやろ? 子どもも、「今日は、ママがイライラしてるから怒られちゃった」ということが分かる子にもなるんじゃないかと思うねん。
だから、おばあちゃんとか子どもに好かれるでしょ。絶対怒らへんし、なんでもお菓子買ってくれるから(笑)。
子どもって頭がいいから、怒らない人のことも分かっているし、怒る人のこともわかっているんですよね。

■子どもは大人が思っている以上にいろいろなことを理解していますよね

この考え方は“逃げ”なんやけど、怒ってしまったときの逃げ道を作っておくことも大事。それがなかったら、ママが追い込まれてしまうもん。
「明日は、怒らないでおこう」と思っても、怒ってしまったときの気持ちの落ち込みってあるでしょ。次の日もなんだかんだで怒ってしまって、「昨日の反省なんやってん……」ってなったりもするしね。

■では、怒ってしまった後の子どもへのケアはどうしたらいいですか?

怒ってしまって落ち込むママの気持ちの切り替えも大事だけど、もし、それが理不尽に怒ってしまった場合だったら、子どもにちゃんと謝ることが大事だと思う。
こっちは、気持ちの切り替えを考えるけど、子どもからしたら「なんでママ、あんなに怒るの?」とモヤモヤがたまってると思うねん。私は、そういうとき、「今日は怒ってごめんね。お母さんイライラしてたから」と、子ども扱いするんではなく、大人に向かって言うように説明するんです。
「お母さん、仕事忙しくてイライラしてて、洗濯物もたまってて……別にそこまで怒ることちゃうのに、また怒ってしまった。ごめんね。でも、あんたのこと好きやねん。怒ってしまう自分が嫌やねん」って。
ここまで言うと、子どもの方から「なんか、わかるなぁ」って返ってきたりして、「わかるんかい!」ってなるんですよ(笑)。

■わかってくれるんですね(笑)。そういう伝え方のほうが、子どもにもストレートに伝わったりするのかもしれないですね

それに、これを言ってると、すごくいいなと思うことがあるの。たとえば、子どもが「今日さ、保育園で友達の事こんな風にしちゃって……、悪いことしちゃったなぁ」みたいに、自分の反省を話してくれるようになるんです。
「じゃあ、明日『ごめんなさい』って言ってみたら?」と言うと、「言えないよ~、許してくれないかもしれない」とか、ちゃんと思っていることを口に出してくれる。
私がそうすることで、子どもも「自分の気持ちを言葉にする」ということが身についたから、これはよかったなと思っています。

■“伝える”ということは大事ですよね。「怒ってしまった日も、寝る前には必ず抱きしめてから寝ること」のような言葉もよく耳にしますが、そういうことも大事ですか?

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私は、それを絶対にする必要はないと思う。「必ず寝る前はギュッと抱きしめて終わる」とかではなく、自分の気持ちが整理できていなかったら、別にギュッとしなくていいと思う。全然イライラが落ち着いてないのに形だけギュッとしても、子どもは分かると思うから。
怒ったまま寝る日があったっていいと思う。イライラしてるときに、「今日ごめん」て、私は言えない。「ママ、抱っこして」って言われてもできないもん。それくらい怒ってるときってあるし。そういうときも私は子どもに伝えるようにしてる。
でも、めちゃくちゃ反省してるときは、「お母さんはあなたのこういうとこが嫌やった」と話をするの。そうしたら、「僕も悪かった。でも、お母さんのこういうところはダメだった」と一丁前に言ってくるときもあるよ(笑)。

■「完璧なママでいよう」と考えすぎる必要はないということですね

どんなに頑張ったって、完璧なママになんてなれないし、それを目指してるうちに自分に余裕がなくなって、子どもによくない影響を与えてしまうことってあると思わない?
パパ、ママって「正しい育児をしよう」ということばかりに意識がいって、自分の気持ちをちゃんと伝えてないことが多い。自分の気持ちをちゃんと伝えていれば、子どもにも伝わるようになるし、子どもも自分の気持ちを伝えるようになるから。
「ご飯を残さず食べましょう」は大事やけど、親だって嫌いなものはあるでしょ? それを、子どもに対して「これ、ママ食べられないの」と言ってもいいんじゃない? 「ちょっとでも弱みを見せたらあかん」という姿を子どもに見せてると、“生きづらい”子どもを育ててることになるかもしれない。
これがお悩みの答えになっているかは分からないけど、結局そこで気持ちの切り替えをしても、二度と子どもを怒らないで済むということはないから、「怒った後に気持ちを切り替えることが正しい」という考えをやめればいいと思うよ。


「正しい親でいようとする気持ちは大事だけれど、そればかりに囚われる必要はない」というくわばたさんのアドバイスは、きっとたくさんのママの気持ちを楽にしてくれたと思います。
次回も、悩めるママからの相談に答えていただきます。
お楽しみに。

(取材・文:上原かほり 撮影:chiai)

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