<義母の命令、2回やれ!>「苦痛しかない!」義母のために、夫の地元で地獄の結婚式【第3話まんが】
前回からの続き。数年前のお話です。私はサトミ。人前に出るのが昔から苦手で目立ちたくない性格なので、結婚式も「挙げたくない」派でした。しかし義母から結婚式を挙げないなんて許さないと言われてしまい、私と夫マサシは近場で招待客の少ない小ぢんまりした結婚式を挙げたのです。すると式の翌日、義母は「私たちが費用を持つから、もう一度地元のB県で結婚式を挙げて」と言い出しました。
お金は払ってくれるというけれど、そういう問題ではないんです。私は1回きりの我慢だと思って結婚式を挙げたのに!
私にとっての結婚式は、準備を含めて苦痛そのものでした。けれど夫マサシの「一生に一度の姿を両親に見せてあげたい」という気持ちに寄り添ったのです。終わってしまえば、きっといい思い出になる、そう信じてなんとか耐えたのに……。
「そうだよね。ごめんね……。でも式場も母さんが選んでくれるし、お金も出してくれるし、いちど経験したから今回よりはスムーズにいくんじゃ……ないかな……」「絶対にイヤ!」
マサシからは私をどうやって説得しようかと考えているのが伝わってきます。地元の親戚への世間体があって、地元の友人たちとの絆もあって、母親からの申し出は絶対に断れないということを切々と説明してくるのです。「やっぱり友達や知人にお祝いしてほしい気持ちは大きいし、こんな素敵なお嫁さんもらったんだってみんなに安心してもらいたいし」しまいには私に手を合わせて必死で懇願してくるようになりました。
2回目の結婚式なんて、私は心の底からやりたくありません。でも避けられないみたいです。もう泣きそう……。そうこうしているうちに、2回目の結婚式の日取りが近づいてきてしまいました。
周りは盛り上がっていましたが、私にとって2回目の結婚式なんて何の感動もありません。心を無にして与えられた役割をこなしていくだけ。マサシの友人知人、親戚、義父の会社関係、義母の知り合い……。1回目の結婚式よりたくさんの人が来ました。私の方は両親だけ。両親にも「わざわざ来なくていい」と言ったのですが……。
両親は「あちらの親戚たちにもご挨拶したいから出席するよ」「ご祝儀は最低限でいいんだよね? じゃあお父さんと2人で旅行がてら参加することにするよ。交通費は気を遣わなくていいから」と遠路はるばる来てくれたのです。義実家の要求に付き合わせることになって申し訳ない限りです。
そしてマサシは今「花嫁が恥ずかしがっている」という理由で、花婿から両親に感謝の手紙を読んでいます。
手紙を読むマサシは次第に涙声になっていきます。それを聞く会場は感動に包まれていきます。けれど私はひたすら白けた目でマサシを見つめることしかできませんでした。世の中には注目されることが快感で「何度でも結婚式を挙げたい」と願う人もいることでしょう。もしかしたら私の経験はうらやましがられるようなことかもしれません。でも人前に立ちたくない私にとって2回目の結婚式は本当に地獄にいるようだったのです。当日はなんの感動も喜びもなく、ただただ義母とマサシの願いを叶えるために耐え続けていたのでした。
脚本・物江窓香 作画・なかやまねこ 編集・井伊テレ子