東京都「保育施設用に土地を貸したら固定資産税ゼロ」の狙いとは?
先日、東京都が保育施設として使われていて、なおかつ一定の条件を満たしている借地を対象に、2017年度から固定資産税及び都市計画税の減免措置を発表したというニュースが流れました。保育施設の用地については、これまでも固定資産税を非課税にしたり、免除したりする措置がありました。しかし、今までの措置は保育施設の運営者が用地を持っている場合のみ。借地は適用されていなかったのです。
固定資産税及び都市計画税の減免措置
2017年度からの新方針で「借地であっても、保育施設に使うのなら5年度分の固定資産税を免除する」ことが発表されました。固定資産税は、更地や空き家だとしても土地を所有しているだけで毎年けっこうな額の税金がかかります。そこを保育施設に貸し出せば、固定資産税がゼロ……。この政策によって、土地の所有者が「うちの持っている土地を保育施設に使ってもいいよ」と、保育用地の提供が増えることを見込んでの施策なのです。
「保育園を建てたくても土地がない」を解消するのが今回の政策
2016年4月の時点で、東京都の待機児童数は全国最多の8466人。先日、都内の中でも地域別待機児童トップの世田谷区長も発言していましたが、保育園を建てたいと思っても土地がないからなかなか開園場所が決まらない。保育園ができないから、待機児童も減らないという事情があります。この問題を何とかしたくて講じたのが「保育施設として使われる借地を対象に固定資産税の免除」政策なのです。
東京都以外も今回の減免措置が適用される
この政策は、現在都が直接税金を徴収している23区以外の市町村であっても適応されます。その場合、税収減になった場合は市町村に交付金を出すことを検討しているようです。
「待機児童ゼロ」に向けて急速に発展している
小池東京都知事が誕生してから、待機解消のシンボルとして“とちょう保育園”が開園したり、2017年には保育士の給与が約4万円アップになることが決まりました。それに加え、当初は980億円だった保育関連予算が1100億円となったりと、東京都の保育園問題は急速に進展しているように感じます。待機児童数トップの東京都が動くことで、「待機児童問題を解消しよう!」という動きが他の県にも広がっていくのではないでしょうか。
文・長瀬由利子 編集・物江窓香