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【東京都主催】自分の好きに出会える社会へ。女子高生がSTEM分野の仕事をオフィスツアーで体感

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高校1年生で「文系か理系か」を選ぶ。それって、すごく大きな決断ですよね。

でも実際には、大学受験、将来の仕事、やりたいことがリンクするとは限りません。現在、「理系科目が苦手だから文系に行こう」と思い進学先を決める生徒も多いなか、東京都では、将来の選択肢を広げるためにSTEM分野(科学・技術・工学・数学)の仕事の魅力を伝える「Girls Meet STEM in TOKYO~女子中高生向けオフィスツアー〜」をこの夏、開催することに。現在、第一弾は6月24日に締め切り、25日からは第二弾の参加者募集が始まっています。

これに先駆け2025年6月11日に、東京都の小池百合子都知事と品川女子学院高等部の生徒、実際にSTEM分野で働く職員との交流も。「文系・理系に縛られなくていい」。そんな勇気をくれる学びの現場を、ママスタ編集部が取材しました。

自分の「好き」や「興味」を育てるきっかけに

日本では、理系(STEM)分野で大学を卒業する女性の割合がわずか17.5%と、38か国が加盟するOECD諸国の中でも最下位レベルです。でも実は、女の子たちにも向いている仕事がたくさんあるんです。今年の「Girls Meet STEM in TOKYO」では、公益財団法人山田進太郎D&I財団と連携し、楽天・花王・サイバーエージェントなど協力企業も50社以上に大幅拡大。未来の選択肢を広げるチャンスが広がっています。
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『将来の進路を決める前に、社会にどんな仕事があるのかを知り、自分の「好き」や「興味」を育てる——そんなきっかけとなる場を目指しています。今回、東京都との協力で実現したこの取り組みを第1号モデルとして、今後は全国へと広げていきたいと考えています。1人でも多くの中高生女子が、自分の「好き」に出会える社会をつくっていきます』(公益財団法人山田進太郎D&I財団代表理事で、株式会社メルカリ代表執行役CEOの山田進太郎さん)

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一般財団法人GovTech東京職員のリアルボイスが、迷える子どもたちの背中を押す

当日は、STEM分野で実際に働く女性職員たちも登壇し、自身のキャリアを語ってくれました。

『考えすぎて進路が決められなかったけど、最終的に“いちばん興味があること”を選んだのが良い選択だったと思います』

『文系大学に行き、その後、IT系の専門学校、デザイン系の仕事と進み、最終的にエンジニアへと辿り着きました』

『インターンやボランティアの経験が、就職活動の情報の材料になったり面接でも役に立ったりしました』

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一見、回り道のように見えるキャリアが、結果として“自分らしい生き方”につながっていること。そして、文理にとらわれない柔軟な選択が、働く現場ではむしろ強みになっていることが、伝わってきました。生徒たちの多くが、「こんなふうに生きていいんだ」と、ほっとした表情になっていたのが印象的でした。

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文系・理系の垣根を越えて。都知事からのメッセージ

ツアー当日は、東京都の小池百合子都知事が登壇し、参加した品川女子学院の生徒たちの質問に丁寧に答えてくれました。
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『数学が苦手で文系を選んだのですが、今は理系分野と結びついたジェンダー政策をやりたいと思っています。選んだ道を後悔してしまいそうで、どうしたらよいでしょうか?』(高校2年生)

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『理系・文系と分ける考え方自体が、そもそも古いかもしれません。今の社会では、数学的思考と文学的感性が交差することが、むしろ価値になる時代。大事なのは“好き”を極めること。悩みながらでもいい、自分の道を歩んでください』(小池百合子都知事)

一人ひとりの不安に真摯に寄り添いながら、社会の変化に対応できる視点を育てること。まさにそのメッセージが、今回のツアー全体に通じていました。

ママスタ編集部も直撃!「都知事ならSTEM教育をどう選びますか?」

今回のイベントには、ママスタ編集部も現地取材に参加。小池百合子都知事に質問を投げかけました。

『都知事は文系出身とのことですが、もし学生時代に戻ってSTEM教育を選べるとしたら、どのように考えますか?』(ママスタ編集部)

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『学生時代は、理系は苦手でした。でも、都政を預かる立場になると、たとえば半導体の国際競争や、宇宙開発の話題も身近になります。SpaceXのブースターが発射台に戻る映像を見て衝撃を受けました。科学や宇宙の知識は、男女関係なく、誰にとっても“未来の鍵”だと思います。今、改めて勉強し直しているくらいです。STEMの世界は、自分の可能性を広げてくれる。子どもたちには、将来の選択を“縛り”で決めるのではなく、“広がる未来”として捉えてほしいと思っています』(小池百合子都知事)

ママ世代の多くは、「文系か理系か」で将来の進路を決めてきたはず。でも、都知事の話を聞いた子どもたちには、もっと自由で柔軟な選択肢が広がりそうです。自分の「好き」から進路を考える時代が、すぐそこに来ています。

文系だけど、デジタル行政に興味が湧いた

ツアーに参加した生徒たちの感想には、こんな言葉がありました。
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『自分は文系で法学部志望です。でも、今日のお話で“GovTech”という行政×ITの分野があることを知りました。行政とデジタルがつながる世界があるなんて、今まで想像もしていなかった』

『管理職として女性も活躍している職場だと知って驚きました。STEM分野は男性が多いと思い込んでいたけど、印象が変わりました』

『情報発信や信頼できるデータに興味があった。直接、女性職員の方から話を聞いて、自分もこういう世界に進んでみたいと思えました』

今回のオフィスツアー体験は、ほんの数時間でしたが、彼女たちの目の前に、新しい選択肢が広がったのではないでしょうか?

保護者の皆さんへ──「悩むこと」を肯定できる体験を

10代の進路選択は、不安がつきもの。「理系は難しそう」「やっぱり女の子だし…」という声が、まだ根強く残っています。でも本来、「好き」「やってみたい」という気持ちは大切にしたいですね。東京都がこうしたプログラムを用意した背景には、「“迷いながら選んでも大丈夫”という体験を届けたい」という強い思いがあります。

この夏、参加企業も50社以上に拡大したSTEMオフィスツアー、第二弾の募集もすでに始まっています。進路に迷っている時期だからこそ、ぜひ“リアルな現場”に触れてみてください。

「Girls Meet STEM in TOKYO ~女子中高生向けオフィスツアー〜」
【対象】都内在住・在学の女子中学生・高校生
【実施時期】2025年7月19日〜8月31日
【内容】企業や団体のオフィスを訪問し、STEM分野の仕事を体験・見学
【詳細・申込】東京都生活文化局 公式サイトにて
東京都生活文化局 公式サイト

取材、文・長瀬由利子 撮影、編集・編集部

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