出産→オバ体型なんてウソ!ちょこっと意識で理想のボディに
「出産してから体型が崩れちゃった」そんなふうに感じている人、きっと多いですよね? 産前のスタイルに戻りたいとは思いつつも「ま、仕方ないか」とあきらめてしまっていませんか? でも、あきらめる必要はないんです。産前…どころか、それ以上の”自分史上最高”ボディになれるとしたら?
「そんなのウソでしょ?!」と疑うママほど知ってほしい、身体のちょっとしたこと。つらいことも多額の費用がかかることもありません。ただ毎日「ちょっと意識する」「ちょっと頑張る」だけなんです。
今回お話を聞かせてくれたのは、名古屋と東京で「studio REINA PARK(スタジオレイナパーク)」を主宰する朴 玲奈さん。ご自身のスタジオワーク以外にも、メディアやイベントなど多岐にわたって活躍するスーパーママでもあります。
産後は自分の体型をリセットするチャンス!
──出産した人としていない人、身体に違いというのはありますか?
「ありますよ〜。出産した人の身体は、一度交通事故にあったくらいのダメージを受けていると思っていい。とくに骨盤ですね。骨って外部からの衝撃には強いけど、内部からの衝撃には弱いんですよ。分べん室にいる数時間で身体が悪くなると思っている人も多いんですけど、そうではなくて。妊娠中の9ヶ月+産後の数年間で、少しずつかけて身体の使い方が変わっていくんです」
──出産して一番変わるのはどの部分ですか?
「骨盤の大きさです。出産によって骨盤は広がりますよね。そこで歪んだ骨盤をフォローするために、妙な筋肉の使い方をしている人が多いんです。産後に整骨院などで歪みを直してもらっても、姿勢や歩き方が悪いとすぐ元に戻っちゃう。そういう人は内股の場合が多いですね。骨盤が歪んでいるかどうか、まずは自己チェックしてみてください(*1)。
あとは猫背の人も多いです。産後は授乳したりオムツ替えしたりと、背中を丸める動作が増えるので仕方ないことではあるんですけど。猫背になると骨盤が後傾するので、お腹にどんどん肉がつきます。背中の筋肉を使わないので肩凝りになったり、内臓も下垂しがちです」
──ひゃー。私の場合、子どもを抱っこするときはよくお腹を突き出しています。下っ腹のお肉の上に子どもが乗っかって、安定するんですよ(笑)。
「うん、身体が反るタイプの人もいますよね。反るタイプは背中はスッキリするけど、腰痛になりがちです。猫背とは逆に骨盤が前傾するので、ますます下っ腹だけがポコッと出ちゃう。いずれにしてもその人が普段どんな身体の動かし方をしているのか、その積み重ねが体型になって出るんですよ」
──やっぱり出産すると体型が崩れてしまうのは、仕方のないことなんですね…。
「そうした変化に加えて、出産前とは環境が変わるので運動不足になりがちですし。あとはホルモンが大きく変動するので自律神経も乱れやすい。でもね、逆に考えれば産後は自分の体型をリセットできる大きなチャンスでもあるんですよ。ちゃんと身体のことを意識してあげれば、産前以上の理想的な体型になれます」
──えーっ、本当ですか? すぐには信じられないのですが(笑)。
「大丈夫、自分史上最高の体型になれます! 出産後って、身体がダメージを受けているので骨が安定していないんですよ。だから妙な使い方をして体型を崩すわけですけど、安定していないからこそ正しい位置にも戻しやすい。
それに子どもを産んだことで、社会の一員としての責任感も芽生えていますよね? 子育て中は短時間でどれだけ効率よく動けるかを考えるから、クリエイティブな発想も生まれやすい。感受性だって産前よりうんと豊かになっていますよね。つまり出産したママは、より素敵な自分になるためのチャンスをもえらえた人なんです」
──すごい! それは出産してからいつまで可能なことなんですか?
「一番効果的なのは、ホルモンが活性化している授乳中。次が抱っこしている期間。その次が未就園児くらいまでかな。だいたい出産後5年くらいまでの人が、効果は大きいです。でも出産から10年たっていたとしても、意識すればちゃんと効果は出ますよ。だからあきらめずに、ちゃんとメンテナンスしておいたほうがいい。出産後はどうしても自分のことは後回しになっちゃうけど、自分の身体を後回しにすると…」
──なんだか怖い…。どうなるんですか?
「体型の崩れや不調はもちろんですけど、女性ホルモンの分泌量が減少してお肌がくすみます。将来的に、更年期障害の時期も症状が重くなりがちです。あとは、気持ち。産後うつっぽくなるのも、身体が原因ということが多いんですよ」
身体を動かせば、落ち込んでいた気持ちも前に動き出す
──では、どんなふうにメンテナンスしていけばいいんでしょうか?
「まずは基礎体力をつけることですね。身体を回復させるためにはエネルギー物質が必要なので、基礎体力をつけないと。身体だけじゃなくて、思考するのにもエネルギー物質は不可欠なんですよ。通勤などで多少でも動いている人はいいけれど、家の中にずっといる人って生産性のない身体になっているんです。育児・家事など目の前にあることでキャパがいっぱいになってしまうから、やりたいことも浮かんでこない。体力がないから身体もなるべく体力を使わない”省エネ”モードになって、うつっぽくなっちゃうんです。でも体力がつけばやりたいことが浮かぶし、目的に向かっていく気力が出てくる」
──身体が元気になると、心も元気になるんですね。
「そうなんです! 一番最初にやっていただきたいのは、姿勢を意識することです。まずはお腹を引き上げる…お腹をへこませて、内臓を上に引き上げているようなイメージをするといいですね。あとは肩を引き下げる。これが基本形です。次にゆっくりとした呼吸をすること。姿勢と呼吸を意識するだけで、身体が変わってきますよ。
そしてできれば、毎日10分くらいの運動やストレッチをするといいですね。やはり骨盤周りが歪んでいる人が多いので、歪みを取るストレッチはおすすめです。フラフープを回すみたいに腰を回したり、揺すったりひねったり。バランスボールの上でやると、さらに楽しくできますよ。あとは凝りを感じたところを、自分でケアする」
──自分で、ですか? なんだか大変そう…。
「つまり凝りを感じた部分の筋肉を動かせばいいんです。肩凝りがあるのなら、肩甲骨を大きく回す。肩甲骨周りは前後左右上下と可動域の広い部分なので、肩甲骨を背中の中央に寄せたり上下に動かしてもいいですね。筋肉を動かすと、その部分に酸素が必要な状態になるんですよ。そうするとそこに血液が送り込まれるので、血液がそこに溜まった汚れを押し流してくれるわけです」
──姿勢と簡単なストレッチくらいなら、なんとか続けられるかも。
「さらに可能であれば、基礎体力をつけるための有酸素運動を加えられると理想的ですね。やりすぎると疲労物質が出てくるので、程よいハードさで。やりながら人と会話できるくらいを目安に、ジョギングや水泳、エアロビなどの有酸素運動をするといいですね。身体の内側の筋肉をつけることが目的なので、30分程度で十分です。
あとは体幹を鍛えること。うちでおすすめしているのが、バランスボールなんですよ。バランスボールの上に座って弾むだけでも、十分。赤ちゃんの寝かしつけにも効果的ですよ〜。
姿勢を意識して簡単な運動を毎日コツコツ10分やるだけでも、身体はちゃんと変わります。あきらめる前に、だまされたと思って(笑)2〜3ヶ月でもまずは身体を動かしてください。気持ちも元気になって、きっとさらにイキイキした毎日が過ごせるようになりますよ」
*1【骨盤が広がっているかの、簡単自己チェック法】
1.座って足を前方に伸ばし、左右のかかとを少しだけ離した状態にする
2.足の先を軽く揺らしながら、トントンと中央で打ち合わせる
3.軽く力を抜く
正常ならば足先の「V」の字が80〜90度ほど開く。歪んでいる場合は、左右の片足だけが大きく外側に開く。両足とも開きすぎた場合は、骨盤が広がりすぎている。
朴 玲奈さん PROFILE
一般社団法人体力メンテナンス協会 代表理事、ココロとカラダのメンテナンススタジオ Studio Reina Park オーナー
取材、文・鈴木麻子