「育休は休みではなく大切な仕事」東京都は育業を推進中【東京都定例記者会見 ママ向けレポート】
会社員として働くパパやママに子どもが生まれたら、「育休(いくきゅう)」について考えることがありますね。この「育休(育児休業)」とは、労働者と法律上の親子関係がある「子」であれば、実子、養子を問わず、子を養育するための休業制度のことです。ただ育休に「休み」という言葉が付いていることで、育児にのみ専念することをパパやママたちが後ろめたいと感じさせてしまう空気が……。そこで東京都では「育休」について「育業」という愛称を掲げることで、社会全体で育児を支援する動きを進めることにしました。3月22日(金)に行われた「東京都定例記者会見」であった小池百合子都知事からの提言をもとに「育業」と、新サイト「Tokyo支援ナビ」の取り組みについて紹介します。
東京都が育児休業を「育業(いくぎょう)」へと変えたわけ
育児休業(通称「育休」)は、ここ数年で広く社会に浸透してきた制度と言えるかもしれません。しかし会社に育休を申請する際、人によっては「育休=休み と思われるようで育休が取りにくい、うしろめたい」という気持ちになることも。雇用する側も同じように考えていた場合、申請自体がしにくくなってしまいます。
2022年度都内の育休取得率は、女性が94.1%なのに対して、男性は26.2%と半分以下。東京都では育休を「休み」というだけではなく、「大切な仕事」と考え、その理念を浸透させるために「育業」という愛称を掲げ、社会全体で育児を支援する動きを進めています。
「育業」の推進に向けて
会見では育業中の家族の様子を撮影した「育業を、しています」という動画の紹介がありました。一般家庭のパパの育業の様子を撮影したVTRを、育児経験のある著名人が「自らが育業して気づいたこと」などについて語る動画です。育児休業を考えているパパやママたちがより育業を、リアルにイメージできるかもしれません。ほかにも「こどもスマイルムーブメント」のサイトでは子育てマンガや川柳など、育児の合間に見てクスッと笑ったり、共感できる話もあり、息抜きにもなりそうですよ。
「日本の育業制度は世界一」だけど……
会見で小池都知事は「日本の育業制度は世界一と評されるほど整備されていますが、実際に利用する人が少ないことが課題です」と話しました。東京都では育業のアイデアやエビデンスをとりまとめ、企業の優れた取り組み例や具体的な手順などを掲載したデジタルブック「育業応援ハンドブックー先進的企業事例に学ぶー」を東京都のホームページで公開中です。このデジタルブックは企業向けではあるものの、個人が育業を取る際の参考として使える事例も掲載されています。このハンドブックのポイントを簡単にまとめた「育業応援ポケットブック」もあります。ぜひこちらも合わせてチェックしてみてください。
探している情報がすぐに見つかる「Tokyo支援ナビ」
もう1つ「Tokyo支援ナビ」についてもお知らせがありました。現在東京都では、子育てに関する相談や補助金、支援事業などについて、それぞれホームページを作り案内しています。ただ実際に使おうとしても情報が多すぎてどこになにがあるのかわからない、必要な情報にたどり着けないということも。せっかくたくさんの専門的な情報が載っていても、使いづらさを感じたら忙しい育児の合間をぬって探そうとは思いませんよね。
そこで東京都では、育児、教育、学校授業料の無償化、介護など、必要な情報がすぐに取り出せるように新しいサイト「Tokyo支援ナビ」を制作、公開しました。たとえば、
・カテゴリ(子供・教育 等)
・ライフシーン(結婚・子育て 等)
・行政サービス(助成金 等)
など必要なキーワードを入力、検索することで、探している情報にたどり着きやすくなります。「Tokyo支援ナビ」を使って、大切な情報をしっかりと取得し、活用してみてくださいね。
取材、文・長瀬由利子 編集・編集部