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かわいい子には旅をさせよ!ステップ・バイ・ステップの「一人旅への挑戦」

little girl travels
旅行が好きな人はたくさんいると思います。日常から離れるというわくわくした思い、新しいものとの遭遇、思いがけない出会い、美味しいものを発見したり、びっくりするような体験をしたり……。

中でも、「一人旅」というものはその最高峰とも言えるものではないかと私は思うのです。
誰かと一緒にわいわい楽しく旅行するのもいいけれど、知らない土地を目指してたった一人で向かう時の高揚感、緊張感、そして孤独感…… そこには独特の感情があるのではないでしょうか。

「かわいい子には旅をさせよ」という格言のとおり、一人旅がもたらしてくれる特別な体験や思いを、ぜひわが子にも味わってほしい! 息子がまだよちよち歩きの頃から、私と息子の「一人旅への挑戦」は始まりました。

ステップ1:公共交通機関に慣れさせる!

Happy little boy in a subway station.
息子が2歳を過ぎたあたりから、外出の際はとにかく鉄道やバスなどの公共交通機関をできるだけ利用することを心がけました。車なら10分で行ける公民館などにもわざわざバスに乗って行ったり、最寄り駅から20分歩かなければいけないという場所にも、あえて電車を使って行ったり。

時計の見方、時刻表の読み方、切符の買い方、お金の計算、公共の場所でのマナーやルール。子どもにとってはすべてが「学び」のチャンスです。幼稚園に行き始める頃になると、一緒に路線図をながめたり、時計を見ながら「あと何分」の計算をしたり、売店でジュースを買わせてみたり……。「そうか! 子どもってこうやって社会の仕組みを知っていくんだ!」と一緒にやっている私自身にも新鮮な体験でした。

ステップ2:一区間だけ指定席に乗ってみる!

1年生になった春、息子が突然「指定席に乗ってみたい」と言い出しました。ふだん使っている鉄道の特急は、一部の車両が指定席でそのほかは普通車両です。いつもは普通車両に乗るのですが、指定車両と普通車両の間は自由に通行できなくなっていて息子にとってはちょっと「特別感」があったのでしょう。

「よし、これだ!」と思った私は、その特急の指定席を1枚だけ買いました。しかも一区間だけ。そして指定席に息子を乗せ、私はその隣の普通車両へ。通行が許されない隣の車両のガラス窓からガン見で監視する私の存在には全く感知することなく、1年生の息子はおよそ10分間の「一人旅」を満喫したのでした。

ステップ3:二駅先のおばあちゃんの家へ

3年生の夏休み。それまで通っていた学童保育がだんだんつまらなくなってきた息子は「もう学童はやめたい」と言い出しました。そこで問題になるのが、毎日の「行き先」。とりあえず隣の市に住むおばあちゃんの家にお世話になるしかありません。電車でたった二駅なので、乗せてしまえばだいじょうぶだとは思ったのですが、問題は駅からおばあちゃんの家への10分ほどの道のり。息子は「だいじょうぶ! 覚えてる!」と自信満々。

不安に思いながら送り出した初日。案の定、駅を出てからすぐに道が分からなくなり、半べそをかきながら30分以上も駅の周りをぐるぐる歩いていたとのこと。「もうだめだーって思っておばあちゃんに電話しようとしたら、ぱっと知ってる道に出たんだよ! だからだいじょうぶだった!」とあっけらかんと笑う息子に、こっそり冷や汗をかいた私でした。

ステップ4:習い事に一人で通わせる

5年生になりました。2年生の頃からローカル線から地下鉄に乗り継いで小一時間かけて通っていた週1回の習い事に、一人で通わせる決断をしました。いつもビジネスマンや観光客でごった返している乗り継ぎ駅、人混みに流されずきちんと目的の場所にたどり着けるかどうかがポイントでした。私は自宅で、持たせたキッズケータイのGPS機能で10分ごとに位置確認をする緊張ぶりでしたが、さすがにこれまで3年間つきそって通ったルート、難なくクリア!

それでも、初めて無事に一人で帰ってきた日は「え、なに? ぜんぜん平気だったけど?」などと言いながらも、顔は紅潮し鼻息荒かったのを覚えています。

ステップ5:飛行機の旅

boy in the plane
6年生の夏。四国のおじいちゃんの家に、ひとりで行かせることにしました。調べてみると、いつも家族で利用しているLCCの規定では「お子様は12歳から保護者なしで搭乗できます」ということだったので、「チャンス!」と思ったのです(大手航空会社では12歳未満の子どもが一人で搭乗する際にサポートするサービスもあります)。

実は、飛行機というのは「初めての一人旅」には最適な交通機関です。機内ではCAさんが頻繁に行き来しているので何かあっても助けを求められます。乗ってしまえば必ず目的地に着くので「寝ていて乗り過ごした!」なんてこともありません。目的地の空港にお迎えに来てもらっていさえすれば、最も安心・安全な一人旅となります。息子も、CAさんに飴玉をもらったり機内でスナックを買ってみたり(機内販売は高いのに!)と、満喫したようです。

ステップ6:晴れて中学生!新幹線にチャレンジ

そしてこの春、息子は晴れて中学入学。ゴールデンウィークはいよいよ一人で新幹線に乗って東京に行く計画を立てています。

新幹線は飛行機とは違い、乗務員さんが常に目を届かせてくれているわけではありません。何百人の乗客に対して車掌さんが一人、時々回ってきてくれるだけ。しかも素性のわからない赤の他人の隣に何時間も座るわけですから、ある意味ギャンブルです。

でもそんなことを思って内心はらはらしているのは私だけ。当の本人はいたってお気楽で、駅弁はどんなのを買おうか、持っていく本は何にしようか、東京で会う旧友へのおみやげは何がいいか、今からあれこれ考えては楽しみにしている様子。

息子の「一人旅への挑戦」の話をママ友たちにすると、たいていの人は驚きます。「すごいねー! うちの子、切符の買い方も知らないかも」「地下鉄の乗り換えとか、無理!」「飛行機に一人で乗せるなんてありえない……」などなど、ほめてくれる人から眉をひそめる人までさまざまです。

子どもにはそれぞれ成長のタイミングがありますし、一人旅も男の子と女の子ではまた方法が違うかもしれません。各家庭での考えも大きいでしょうし社会情勢にも左右されるでしょう(欧米などでは13歳未満の子どもを一人歩きさせていると親が罰せられます)。

それでも、子どもはいつか自分の手を離れていくもの。その日に備えて、ステップ・バイ・ステップの一人旅への挑戦、「親としての心の準備」をしておくためにも、少しずつ始めてみませんか?
「かわいい子には旅をさせよ」とは、実は親への励ましのメッセージなのかもしれませんね。

文・キッズバレイ はらじゅんこ

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