<毒親との距離感>両親から愛されていた兄からの連絡!「逃げてほしかった」兄の苦悩【第3話まんが】
前回からの続き。私はユウコ。現在2人目を妊娠中の35歳です。そろそろ臨月なのですが、両親に出産報告をすべきかどうかを悩んでいます。私の両親は、いわゆる毒親……というのでしょうか。父と母、そして5歳上の兄とは疎遠になっています。夫のショウタと結婚したときも冷たい言葉をかけられましたが、それでも親に期待することはやめられません。第1子のマサミが生まれたとき、母に産後のお世話を頼みましたが、何もしてくれず、私は自分が愛されていないことを再認識しました。
産後の大変なときを乗り越えられたのは、義母のおかげでした。義母も義父も、娘にとてもよくしてくれました。そして2人目の妊娠がわかりました。夫はもちろん、義両親も大喜びしてくれています。
マサミの出産のときは、母がうちに手伝いに来てくれました。しかし私の期待とは裏腹にひどい態度をとられたので、2人目の出産ではもう母に助けてもらおうとは思えませんでした。ですが今回の出産では、夫が育児休業を取得してくれることになりました。優しい夫に感謝です。
「仕事の調整もしたし、僕に任せて! 赤ちゃんのお世話も一緒にできるから!」夫もマサミも産後の大変な時期を一緒に乗り切ろうと協力してくれると言ってくれました。「2人とも……ありがとう」そんななか、浮かない顔をしている私に、夫が問いかけます。
私はもう、母親にも父親にも期待していません。実の両親よりも孫を可愛がってくれる義両親がいます。しかし、生まれてくる子は両親の孫でもあるのです。知らせるだけでも知らせたほうがいいのでは……と踏ん切りがつかないでいました。
私は自分の心に問いかけます。「知らせなくていい」とわかっているし、頭では母が私に振り向いてくれることはないと本当はもうわかっています。でも……でも、心のどこかで母の愛を期待する気持ちを捨て切れないのです。
ある時、見知らぬ番号から着信がありました。
電話にでてみると、その相手はなんと兄でした。兄とは私が結婚する前に会って以来だったので声を聞いたのは久しぶりでした。もちろん兄の近況も知りません。そんな兄が私に会いたいと言ってきたのです。突然の連絡に驚きはしましたが、二人で会うことにしました。
兄妹だというのに、いままで兄妹らしい会話をしてこなかった兄と私は、他人のようなよそよそしさがありました。
実は、兄も数年前に実家をでて、いまでは家を出るきっかけをくれた女性と、結婚をし、子どももいるそうです。
「あの家でお前をかばってやれなくて、ごめんな」兄は私に謝ってきました。兄も高校生のころから「自分はこの家にいちゃいけない。母は自分のために俺を育てただけなんだ」と痛感したそうです。でも、いつも叱られる自分を父からかばってくれた母を置いていけず、ずっと家を出れなかったと言っていました。
「ただ、ユウコに同じ思いをさせちゃダメだって思って……お前だけでも逃げてほしかったんだ」
だからあのとき……! 兄はわざと私に家をでていくよう仕向けるような冷たい言い方をしたのだと知りました。兄にずっと裏切られたような気がしていましたが、実はそうじゃなくて、両親に愛されることに囚われ続けている私を解放しようとしたのではないかと思えてきました。
いま私の目の前にいる兄は実家にいたときのあの頃の兄とはまったく別人に見えました。長い間「兄にも見放された」と絶望していたことが実は私の勘違いだったと知りました。私は兄に自分の悩みを打ち明けることにしました。
「私……2人目ができたんだ。あんなお母さんたちでもちゃんと知らせなきゃいけないんじゃないかって、ずっと悩んでて」
まず、兄は「おめでとう」とお祝いの言葉を私にかけてくれました。そして1人目の子どものお祝いもできていなかったことを謝罪してくれました。
「連絡しなくていい」兄はきっぱり私に言いました。
「あの頃、ユウコを守れなかった俺が言えたことじゃない。だけど……もうこれ以上あの親たちのことで傷つくことはないんだよ」兄自身も子どものことを母たちに知らせるつもりはないことや距離は置くけれど、最後は自分が両親を看取るつもりだからユウコは自分の幸せだけを大事にしてほしいと伝えてくれました。
兄との久しぶりの再会を果たして、私はとても驚きました。兄は父と母に愛されているんだろうとばかり思っていたのですが、兄は兄で苦しんでいて、今は家を出ているというのです。そして「第二子について家族に伝えるべきか」という自分の悩みについて、兄に背中を押してもらい、私はようやく心を決めることができました。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・古川あさこ 作画・ちょもす 編集・横内みか