<30万貸して!義母>長男は「都合がいい」存在!?違和感に気づいた夫【第3話まんが:夫の気持ち】
前回からの続き。最近のお話です。俺は40代後半のトオル。妻のマドカと共働きで夫婦2人暮らしをしています。ひとり息子は大学生で家を出ています。実家は車で20分ほどの距離にあり、子どもの頃から両親には「おまえは家を継ぐ長男だから」と言われて育ってきました。俺にとって両親が支え合う姿は憧れだったのです。
結婚したときには、妻マドカと一緒に両親の老後を支えていくと決めていました。同じ時期に弟のハヤトも結婚しましたが「両親を支えるのは長男の自分の役割だから」と、俺は責任感を持っていました。この気持ちに妻も賛同してくれたことが、なによりも嬉しかったです。やがて父は定年退職し……。
実家から「お金を貸してほしい」と頼まれるようになりました。最初は10万でした。父が足を悪くしていると聞いていたので、急ぎで治療費でも必要になったのかと思いました。妻にもそう伝えました。しかし……貸したお金の使い道は、特に壊れてもいないテレビを買い替えることだったのです。
父が「母さんは新しいもの好きだからなー」と笑いとばすので、「もー、昔から変わってないんだから!」と調子を合わせましたが、どこか違和感がぬぐえなかったのは事実です。(えぇっ、テレビを買うなんて、聞いてないよ……!)
マドカが怒っていたのでこう諭しました。「家や遺産も、長男の俺優先で考えてくれてるみたいだしさ。その分返していると思えば普通だよ」マドカに言いながら、俺は自分にもそう言い聞かせていました。
その後も何度もお金の催促があり、そのたびに妻から相談されました。でも俺は長男だから、断るわけにはいきません。「長男の俺が金を出すべきなんだ。次男のハヤトに出させるわけにはいかない」と考えていたのです。貸す金額が増えていくほどモヤモヤした気持ちになりましたが、それがなぜかはわかりませんでした。そんなある日のこと。
マドカが弟夫婦に電話して「代わりに30万を貸してあげてほしい」と伝えたらしいのです。それを聞いた母は激怒し、家に押しかけてきました。「長男夫婦はあなたたちでしょう! ハヤトたちに余計な心配させないでちょうだい!」
「母さん落ち着いて!」マドカを叱りつける母をなだめながら、心のなかには葛藤が生まれます。「やっぱり俺が出さないとダメなんだ。……でも、なんで俺だけ? 俺は長男だから負担をかけてもいいってこと?」
母が帰っていった後、俺はマドカとあらためて話し合うことになりました。「俺は長男だから遺産でもらえる分を負担するんだって言ったよね? だからハヤトたちにはなんにも言わないでほしいんだ」「……私たちさ、お義父さんたちの遺産や家を期待する必要はないよね? お金をふたりに融通してもらうことだって一度もなかった」「でも長男なんだから、負担かけたらダメに決まってるだろ?」するとマドカからは核心を突く一言が……。
「でも、お義父さんたちはあなたには負担かけてもいいって思ってるみたいだった。なんかおかしいって、本当はわかってるでしょ? お金も老後の面倒もちゃんとハヤトさんたちと話し合おうよ」マドカの言葉に、俺ははっとしました。
両親が今まで「長男だから」という言葉を都合よく使っていたことに、俺はようやく気づいたのです。俺自身も「長男だから」親を助けなければいけない、「長男だから」親に頼まれたことをできるだけ叶えなければ、と思い込んでいました。けれどマドカの言葉や、そして母の「ハヤトたちに余計な心配させないでちょうだい」という言葉に考えが変わったのです。俺には心配をかけてもよくて、弟にはかけたくない? その感覚はやはりどこかおかしいと思いました。弟とも話して、今の状況を変えていこうと思います。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・古川あさこ 作画・ももいろななえ 編集・井伊テレ子