<奨学金で結婚が……>奨学金を借りて大学に進学した俺「後悔ない!」【第8話まんが:息子の気持ち】
前回からの続き。俺は田上ユウスケ。両親と姉のユミカ、弟のタイキの5人家族で暮らしてきた。小学生の頃に父親が無職になってしまい、家計は一気にピンチに陥った。けれど家族で力を合わせて頑張り、俺は奨学金を借りて大学を卒業した。けれど付き合っていたマイとの結婚は、その奨学金を理由に破談となった。マイには「私はユウくんよりも両親を選んだの」と別れを告げられてしまい……。
マイは去っていった。もう会うことはないだろう。マイと話をしていた公園のベンチにひとり残って、俺は空を見上げる。そりゃ奨学金がないに越したことはないけれど……。俺は自力でどうにかしてみせると思い、道を切り開いてきたつもりだった。
そのとき姉のユミカから電話がかかってきた。
「振られた?」いつもと変わらず、さりげない口調でたずねる姉。しかしこっちはダメージを受けたばかりだからグサッと突き刺さる。なんだ、破談の件は先に両親や姉に伝わっていたのか……。結婚の話をしたとき喜んでくれた両親が傷ついていないか気にかかる。
「ユウスケ、自分を責めちゃダメだからね? あんたは悪くない! 絶対に!!」ふいに姉が俺のことを励ましはじめた。
「もっと言うなら、別に彼女も悪くない!! 結婚はもともと価値観の違うもの同士がするものでさ……」「うん……」
地元に住む姉は3年前に結婚している。
「でもたまにその価値観の差が埋めきれなくて、別れてしまうこともあるの。あんたたちの場合は、それが結婚前にわかっただけ」
俺の性格を知り尽くしている姉。マイに別れを告げられて俺がどんなふうに引きとめようとしたのか、悔しいけれど全部お見通しのようだ。
「彼女がそれを拒否したってことは、言い方は悪いけどそこまでの相手だったってことよ」一生かけて大切にしようと思っていたマイが「しょせんその程度の相手」か……。なかなか辛辣なことを言ってくる。
「夫婦の価値観の違いって、多かれ少なかれあると思う。でもいろんな価値観の違いを乗り越えてでも、結婚したい相手だっているはずよね。ユウスケだって絶対出会えるはずだよ」
「あんたの運命の相手は他にいるのよ。今は落ち込むかもしれないけど、前を向いていこうよ!!」そう簡単に別れの傷は癒えないだろうけど、軽やかな姉の言葉にちょっとだけ救われたような気持ちになる。
俺は奨学金を借りて進学したことを後悔はしていない。自分の将来のために決めたことだし、大学を卒業したからこそ今の自分があるのだと誇りを持っている。残り数百万円の返還はこれからも続くけれど、それも大切な人生の一部だ。今すぐにはまだそんな気持ちにはなれないけれど、いつか理解して受け入れてくれる人と出会うのかな……。そう思いながら、俺は公園を後にしたのだった。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子