【前編】<あえて声を大にして言いたい>ママたちが思う園や学校の先生たちのすごいところ
皆さんは、子どもの園や学校の先生にどんな印象を持っていますか? いい印象、悪い印象、いろいろあるかもしれません。今回の座談会では「学校の先生のすごいところ」にフォーカス! 先生たちに対する思いをママたちに聞いてみました!
【今回の座談会のメンバーはこちら】
田崎さん:小学校高学年の男の子ママ。息子さんが低学年のとき不登校に。不登校明けの3ヶ月間、毎日一緒に登校して授業中も付き添い続けた経験がある。祖母が元小学校教員。
上岡さん:社会人の息子、高校生の娘がいる。息子さんの不登校をきっかけに、不登校の子をもつママの会を主催したことも。自身の両親が、ともに中学校教員。
林さん:中学生&小学校高学年の男の子きょうだいのママ。小学校の近くに住んでいて、先生たちの残業を目にすることが多い。
佐野さん:大学生の息子と、高校生の娘を持つ転勤族ママ。地域や学校によって異なる教育環境に驚くこともたびたび。
中里さん:小学校低学年の女の子ママ。先生との距離感が密だった幼稚園と違い、先生と話す機会の少ない小学校の環境に戸惑い気味。
授業中ずっと立ちっぱなしというだけですごい!
佐野さん:私はアラフィフなんで、授業45分間とか50分間ずっと立ちっぱなしで教えてるってだけでも先生すごいなって思うんですけど(笑)。
田崎さん:本当に、ずっと立ってるんだよね。
佐野さん:こっちは授業参観で立って見ているだけでもしんどい。腰が痛い(苦笑)。
林さん:それこそちょっと前まで、エアコンがない教室なんかいっぱいあったわけじゃないですか。今でも図工室とか特別教室にはエアコン設置率が低い自治体があるってニュースでもやってましたよ。気温が30度超えの教室では子どもたちの集中力が続かないって言ってるけど、先生たちも同じ状況ですもんね。
中里さん:そうですよ。めっちゃ暑いのに、校庭で体育とかもしないといけないしね。
林さん:嫌かもしれないのに、プールも入らないといけないし。
上岡さん:苦手かもしれないけど、ピアノを弾かなきゃいけない場合もあるだろうし。
大変そうな場面は次々と……
いくら自ら希望して教職に就いたとはいえ、先生たちだって得意不得意があるはず。また授業中ずっと立ちっぱなし、あるいは体育や音楽の授業など、若いときは平気だったけれど、年を重ねるごとにつらくなることもありそうです。そんな先生たちの苦労が偲ばれるなか、毎日教鞭をとってくださっている姿をママたちはシンプルにすごいと感じているようですね。
ちょっと切ない……特技は「早食い」?!
佐野さん:一時期わが子が「給食を食べる時間が短くてつらい」って悩んでたんです。そのとき「先生って子どもたちを見ながら、もっと短い時間で給食をかきこんでるんだろうな」と気付いて。
林さん:会社員とかだと、昼休みがちゃんとあって、それでランチを楽しむわけじゃないですか。そういう余裕はなさそう。
田崎さん:私のおばあちゃんが定年まで小学校の教員として勤めあげたんですけど、今でも食べるの超早いですよ。
上岡さん:そうなるよね。
田崎さん:一緒にコース料理行ったときなんか超恥ずかしかった(笑)。コース料理を食べるスピードじゃない! でも、そうならざるを得なかったんでしょうね。先生って、ご飯の楽しみもないんだなと思っちゃいましたよ。
食事くらいゆっくり召し上がってほしいところですが……
ママたちだってわが子が小さかった頃は、子どもたちのお世話をしながらご飯をかきこむ日々だったかもしれません。でもある程度大きくなれば、ひとまず食事どきくらいはゆっくりできるのでは? でも先生たちのランチタイムは、そうもいかないようです。
3ヶ月間ずっと学校に付き添って気付いたこと
田崎さん:うちは息子が低学年のとき不登校になって。その後3ヶ月間、息子と一緒に登校して、一日中付き添っていた時期があったんです。その日々のなかで、何度も「先生って本当に子どもが好きなんだろうな」っていう表情を見たんです。子どもたちがやるべきことをやれてないときとか、恥ずかしいことや下品なことを言ったときとかも、「もぉ~お前たちは~」みたいな感じで見守ってて。そんな先生の姿を見ると、教員っていう仕事は、そもそも子どもを好きじゃないとできないなっていうのがすごい分かったんです。
林さん:ほかの先生も?
田崎さん:担任が休んだりすると、ヘルプの先生が来るじゃないですか。どの先生も「子どもをかわいいと思ってるな」って表情をするんですよ。そりゃ怒るときもあるし、イラッとしてるなってときもありますけどね。うちの子のことも、クラスの子たちのことも「かわいい」と思ってくれてんだなって。その瞬間が一番嬉しかった。何か具体的に子どもにこれをしてくれて嬉しかったってよりは、かわいいって思ってくれているんだなって思えたのがすごい嬉しかったです。そういうのを普段、親は見られないですからね。先生ってすごく尊い職業なんだなっていうのは感じたかな。
上岡さん:でも先生って、世間から叩かれること多いですよね。
田崎さん:こんなに大変な職業なのに……報われないですよね。
じっくり先生と向き合えたからこそ……
お子さんに付き添い続けた日々のなかで、参観日だけでは分からない先生たちの様子を知ることができたのかもしれません。わが子が先生から「かわいい」と思ってもらえていると知って、嬉しくない親はいないはず。先生を見る目が変わるのも自然なことでしょう。
教師、母親、妻、嫁……役割が多すぎない?
佐野さん:うちは伝統行事を重んじる地域で暮らしたことがあって。とくに一年で一番大事な行事で親戚中が集まる日は、学校が休校になるんですよ。私、びっくりして女性の教頭先生に「学校が休校になるなんて、伝統行事をすごく大切にされてるんですね」って言ったんです。そしたら先生がこそっと「休校になるのは、実は女の先生たちが親戚のおもてなしとか食事の準備とかが大変で、出勤できないからなんです」って。
中里さん:うわ……。
佐野さん:そのとき改めて「そうか。先生たちは母でもあり、妻でもあり、嫁でもあるんだよな……」って痛感したんです。自分が結婚して母になったからこそ、その大変さが分かるというか。
林さん:わが家は小学校のすぐそばなんですけど、夜8時とかでも学校に明かりがついていたり、土曜に出勤して事務作業している先生がいるとも聞きます。「先生いつ寝てるんだろう」とか「ちゃんと休んでいるのかな」とか心配になります。
中里さん:しかも子どもがいる先生なんか、プライベートでも育児してるわけで。
田崎さん:そうそう、考えられない!
上岡さん:うちは両親が教師だったんです。で、うちの母が口癖で言ってるのは「よその子は見れたけど、うちの子のことは何もできなかった」って。同じように後悔してるOBの先生たち、私の周りには多いです。私自身、授業参観とかに父や母が来た覚えはなくて、おじいちゃんおばあちゃんが来てました。内心、嫌だなと思ってました(苦笑)。
田崎さん:元教師の祖母も「わが子のイベントに出たことない」って言ってますね。周りでも「もっと自分の子に関わりたかった」っていうのはよく聞くみたいです。でも「教師という仕事が好きすぎて仕方なかった。わが子の子育ても大事だけど、やっぱり仕事と子育ては全く別だから」っていう先生もいるし。
上岡さん:今の先生たちはそのあたり、もうちょっと調整できるようになってきてるのかな。
中里さん:ですね。娘の担任の先生とかも、「お子さんの行事でお休み」なんて聞くことありますしね。
林さん:もっと先生たちも働き方改革っていうかね……余裕がある生活というか。プライベートも充実して過ごせるようになって、結果的に学校で子どもたちと接する時間も豊かになるようになってほしいなとすごく思います。
同じ「母」だからこそ尊敬します!
子育ての大変さを知るママたちだからこそ、「職場でも子どもと関わり、家に帰っても子どもと関わる」ことをしている先生たちを賞賛する声が……。でも身内に教員がいる人の話を聞くと、やはりさまざまな苦労をされているようです。ママ先生だけでなくパパ先生も、そして独身の先生たちも、公私ともに充実した環境になるといいですね。
感謝しているからこそ、心配もしてます
座談会では他にも「生徒一人ひとりに合わせた指導をしてくれる先生」や「教員の得手不得手を上手にサポートして、結果的に学校全体の雰囲気を良くしてくれた校長先生」など、ママたちが「すごい!」と思う先生のエピソードが次々と出てきました。
しかし同時に先生たちの職場環境や世間の評価を憂慮する場面も……。また学校での仕事をしながらの子育てや介護、親戚づきあいなどのプライベートでの大変さもあるだろうと心配する声もありました。先生の笑顔は子どもたちだけでなく、親である私たちも安心させてくれますよね。先生たちが余裕をもって子どもたちと過ごせるよう、ママたちも願っています。
インタビュー、文・千永美 編集・ここのえ イラスト・Ponko