7割が「親に運転免許証を自主返納してほしい」と回答。高齢の親にどう伝える?<ママのリアル調査>
今年も「秋の全国交通安全運動」が9月21日(木)から30日(土)までの10日間実施され、交通ルールの遵守や交通マナーの実践、交通事故防止などが呼びかけられます。なかでも75歳以上の運転者は、75歳未満の運転者と比較して死亡事故件数が多い実態があり、高齢者の運転免許証の自主返納について関心が高まっている様子がうかがえます。そこでママスタセレクトでは、高齢となった親の「運転免許証の自主返納」についてどう思っているかのアンケートを実施。選択肢には「自主返納してほしい」「自主返納してほしくない」「どちらともいえない」「すでに自主返納している」の4つを設定しました。
運転免許証を「自主返納してほしい」が7割を超える結果に
今回のアンケートの回答総数は2,725票。もっとも多かったのが運転免許証を「自主返納してほしい」と答えた2,002人のママたちです。全体の7割を超える結果となりました。
「自主返納してほしい」その理由とは……
『事故を起こして加害者になる前に返納してほしい』
『人にケガをさせたり、物を壊したときに「防げた事故だった」と家族まで後悔することになる』
などなど、「親の命も他人の命も傷つけてほしくない」という強い気持ちが伝わってくるコメントが続々と届きました。
『私自身、事故で息子を亡くしているので、絶対に返納させます。命には変えられない』
高齢になった親に運転免許証を「自主返納してほしい」と考える人たちからは、「できれば自主返納してほしい」という希望ではなく「絶対に自主返納してほしい」という強い意志が感じられました。
「どちらともいえない」は2割
次いで多かったのが「どちらともいえない」を選んだ568人、約2割のママたちです。
車がライフラインとなっている地域もある
『バスも電車もなく、自家用車のみがライフラインなので』
『1番近くのスーパーまで5km。バス停も駅も近くにない地域なので、車がないと生活できない』
できれば自主返納してほしいが、日々の生活を考えると一概にすすめられないと迷う気持ちがあるようです。自家用車が利用できないことは不便なだけでなく、病院や買い物に行けないなど生活難に直結するともいえるのかもしれません。さらにはこんな声も……。
親を手助けできない、子どもとしての葛藤
『バスが2~3時間に1本あるかどうかのところに住んでいるのに、私も遠方で助けられない』
親の生活を助けられない自身の状況に、葛藤する気持ちを吐露する人も少なくありませんでした。
自営業で車が必要なケースも
『実家は農業をしているので軽トラックを運転できないと出荷ができません。生活がかかっています』
また「自営業だから車は必要」というコメントも。自主返納が理想とはいえ、車を必要とする生活がある以上、簡単には実現できないというジレンマを抱えています。「きれいごとでは済まされない」というのが本音かもしれませんね。
「すでに自主返納している」と回答した人は少数派
「返納してほしくない」を選択したママは1.6%。さらに「すでに自主返納している」を選択したママは4.1%と、いずれも少数に留まりました。返納したきっかけはどんなところにあったのでしょうか……。
『母が77歳のときに物損事故を1日に2度も起こしてしまい、廃車にしたことがきっかけに』
『70歳を迎えた母が交通事故を起こしたので返納した』
実際に事故を起こしたことにより、親本人にも危機の意識が生まれたのでしょう。どれほどの事故だったかはわかりませんが、子どもとしては「事故を起こす前に返納してほしかった」という率直な感想もありそうです。
『免許更新の試験で点数が悪く、返納をすすめられたらしい』
『父は闘病しており、亡くなる前年の70歳で自主返納しました』
病気やケガをきっかけに返納した人、免許更新の試験にパスできなかったなど、本人の気持ちよりも外的要因によって「いたしかたなく」返納した人も一定数いました。親が70代に入った頃、親の様子が心配になることが徐々に増えてくるのかもしれません。
免許証を自主返納することで受けられる特典が
運転免許証の有効期間内に自主返納すると「運転経歴証明書」を受け取ることができます。公的な本人確認書類として利用できるので「免許証は身分証明書として持っていたい」という理由で保持しているのであれば、返納しても問題なさそうです。(交付には手数料がかかります。)
また返納することで、受けられる特典もあります。「タクシーやバスを利用する際の運賃割引」「百貨店の宅配料金の割引」のほか、「美術館、飲食店の料金割引」などもあり、自治体によって特典内容は異なるものの、自主返納の支援は広がってきているようです。
自主返納をさせたい側と親世代に亀裂が生じない解決法を
今回のアンケートでは7割以上の人が「親に自主返納をしてほしい」と答えたものの、「自家用車がないと生活できない」と返納後の生活を危惧する声も少なくありませんでした。公共交通機関の整っていない地域で、自主返納の取り組みをどう推進していくのかはひとつの鍵となるでしょう。
いっぽう筆者は都内在住ですが、交通網が整い自家用車がなくても十分生活できるにもかかわらず、自主返納をしない高齢者が身近にいることも感じています。そのような人たちからは「長年運転をしてきたのだから大丈夫」といった過信や、「買い物など日常生活には車があると便利」など、“これまでの生活を手放したくない、変えたくない”という心情がうかがえます。
地方在住や都心部在住にかかわらず、親世代が自主返納をしようと決断するのには、家族が思っている以上にハードルが高いともいえるのかもしれません。今後ますます高齢者社会が進むであろう日本。自主返納をさせたい子ども世代と親世代に亀裂が生じない方法を模索していく必要がありそうです。
総回答数:2,725票
調査方法:インターネット
調査月:2023年8月
調査・分析:ママスタセレクト編集部
文・編集部 イラスト・Ponko