<最高のママ友は元カノ>【第12話】本当は全部知っていた。元カレに会うため公園で妻に近づいて
前回からの続き。育児に悩んでいたマサエが知り合ったメグミは、夫・ユウゴの学生時代の元カノでした。何年間も内緒にされ、旦那と仲のいいママ友の関係だと信じ切っていたマサエは裏切られた形となりました。ユウゴとメグミに、いっさいの連絡を絶つよう告げて、マサエは自分の地元で家族をやり直す決心をしました。そもそもマサエはなぜメグミと出会ったのでしょうか。それはメグミのユウゴへの思いからの行動だったのです。
ユウゴの妻・マサエが慣れない土地にきて知り合いもおらず、はじめての育児にとまどって悩んでいたころ。メグミが声を掛けたことをきっかけに2人は仲よくなり、だんだん互いに育児の相談もするようになりました。
ある日、いつもの公園でメグミはマサエに自分のことを打ち明けました。大学時代に大好きな彼がいたこと、別れたあと親に勧められた男性と結婚したこと。子どもができたけれど、どうしても結婚生活が続けられずに離婚したこと。今、シングルマザーだということ。マサエはメグミに聞きました。
「昔、好きだった彼とはそれっきり?」
「私と別れたあとに転職して引っ越しちゃったみたい。もう過去のことだけどね。あのとき親の反対を押し切ってでも彼と一緒になっていれば今ごろ……とは思うけれど。でも自分の決めたことだから後悔はしていない。今はこの大事な息子という宝物がいるしね」
「たいへんだったね。でもメグミさんと会って友達になれたから、私はメグミさんがこの街に引っ越してきてくれて“ありがとう”という気持ちだよ」
マサエの屈託のない笑顔に、メグミの心に嬉しさと罪悪感が同時にやってきます。彼女は心がキレイな人。ユウゴはきっと彼女のこんな素直さに惹かれたのだな。そう思うとマサエが眩しくて、メグミは微笑むので精一杯でした。
マサエと出会って数カ月が経ちました。マサエとの時間が楽しくなかったわけではありません。とはいえマサエの話にだけ出てくる「うちのパパ」、ユウゴの話を聞くたびに想いは募るばかりです。そんなときマサエの口からメグミが待っていた言葉が飛び出したのです。
「うちで、BBQをやらない? パパもいるけどいい?」
メグミが待ち焦がれていた言葉でした。やっとユウゴに会える!
そしてマサエの家で会ったユウゴは、学生時代と同じようにメグミに優しかったのです。
「メグ、元気だったか?」
ユウゴの声が胸の奥に届きます。
「うん。いろいろあったけど、元気でやっているよ」
泣きそうだったけれど、一生懸命明るく振舞います。
「そりゃあ無理はするよ。ひとりで育てているのだから。でも今は子どもといられる時間が何よりの宝物だから、頑張るよ!」
本当は言ってしまいたかった……。あのとき別れたことを今でもすごく後悔している。ユウゴ以上に好きになれた人にいまだに出会えていない。でも彼はママ友の旦那さんでした。彼にとってもメグミはもう「過去の女」……。これで終わり? もう会えないの?
メグミはユウゴに言いました。
「もうマサエさんとは会わない方がいいのかな」
メグミは切なそうな声を出しました。でも本当はわかっていました。優しいユウゴはマサエから大切な友人を奪うようなことはしないだろうと。案の定ユウゴは答えました。
「これからも、マサエと仲よくしてあげてくれないかな? アイツ、こっちきてあんまり友達もいなくて、メグのことすごく慕っているし」
「いいの?」
「メグさえよければ」
まだユウゴに会える。メグミは「恋人」ではなくても、彼のそばにいられることに喜びを感じていました。
【編集部のあとがき】
メグミの心はマサエの頭の上を通り越して、ユウゴの方へしか向いていなかったようです。メグミにとっては子どもたちもユウゴに会うための口実に過ぎなかったのでしょうか。母の心と女の心。メグミには女の心が優先されてしまったのかもしれません。昔好きだった男性、どうしても諦められない男性。もし結婚できたなら、きっと幸せだったに違いない。マサエの立場は自分だったかもしれない。そんな思いにとらわれているのでしょう。
文・編集部 編集・ここのえ イラスト・Ponko
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