共働きのわが家、子どもが「さびしくなっちゃった」とよく言います
ママスタのみなさま、こんにちは。しがなき母子です。
零細企業ではないけど、関係者以外は誰も知らない中小企業に勤めながら、管理系のお仕事をしています。私はよく雑誌に出てくるような、有名企業で働くネイルもキラキラ、ママバッグはブランド物……みたいな「輝く女性」ではありません。子どものお迎えをシッターにお願いするお金ほどは稼げませんし、親と同居や近居でバリバリやれる環境でもありません。そんな等身大のワーキングマザー(ときにはワーキングファザー)の生活や思うところを紹介していきたいと思い、ママスタさんで記事を書かせていただくことになりました。
共働きの最大の悩みは「子どもの情緒面」
さて、第一弾は共働きなら一度は悩む子どもの精神的な問題です。我が家は夫婦ともに中小企業に勤めているので、経済的にも共働きがほぼ必須。幸い、私は仕事も好きだったので2度の産育休を経て、4歳の娘と0歳の息子を育てながら働き続けています。
皆様がご想像の通り、核家族での共働きは苦難の連続です。楽しいこともたくさんありますが、とにかく時間がなかったり、体力勝負だったり。
でも、私が共働きを選択するにあたって、もっとも気にしたのは「子どもの情緒」でした。忙しいことや体力的なことは、自分が負担したり、機械に頼ったり、外注したり、工夫すれば乗り切れるけれど、その負担が子どもの心に行くことは、これほど親として心苦しいことはありません。これは理由はどうであれ、親ならみんなそう思うのではないかな。(例えばママが入院して、子どもが愛情不足で爪を噛むように……なんて言ったら、身体が辛くても早く退院したい……と思いますよね)
私は自分自身が専業主婦家庭で育ったので、共働き家庭の子どもの情緒がイメージしづらく、とても不安に思っていました。
共働きの「かわいそう」と「さびしい」は違う
よく共働きは「子どもがかわいそう」や「子どもがさびしい思いをする」と言われますが、この二つは似ているようで全然違います。「かわいそう」は子どもにとって他人から見た状況ですが、「さびしい」は本人が感じる感情。私は「かわいそう」と他人に思われることはあまり気にしませんし、とくに対処が必要だとも思いません。(ただし、子ども本人に「かわいそう」と言われるのは腹が立ちます)一方で、子どもが「さびしい」という点については、絶対に見逃してはならないと考えています。
子どもに「さびしい」という気持ちを教えてみた
とにかく共働きが子どもの情緒にどう影響するのか、を気にした私はいろいろと調べたり聞いたりしました。すると子どもにとって「さびしい」という気持ちはなかなか難しく、大人になってから「あのとき私はさびしかったのだ」とか「親が忙しいとさびしいと言えなかった」……という話がたくさんあることが分かりました。
そこで私は子どもが1歳を過ぎたあたりから、なんでもない時に親にくっついてきたときには「おぉ、さびしくなっちゃったのね」と声をかけて、無条件で抱きしめていました。というか、情緒面を気にするあまり、ついつい声をかけて甘えさせていたのです。
すると、子どもが言葉を話せるようになると、徐々に「ママぁ、さびしくなっちゃったから抱っこして」と、自分から「さびしい」という気持ちを言葉にできるようになりました。最初は「あぁ、さびしいなんて思いをしょっちゅうさせてしまって申し訳ないな」と思って苦しかったのですが、これがのちのち、思わぬ効果がありました。
「さびしい」と言えることのメリット
子どもが自分で「さびしい」と言えることが良かった……と思ったのは、第二子を妊娠~出産したとき。やはり、妊娠中や手のかかる新生児の育児+仕事(第二子はほぼ産休のみで復帰)はかなりハードで、どうしても上の子にしわよせが行ってしまうことが多々ありました。まだイヤイヤ期が抜けきれなかったこともあり、かんしゃくを起こしたり、朝の支度がぐずぐずだったりと、イライラさせられることもしょっちゅう。煮詰まった私は保育園の先生に相談しました。
すると、園の先生が「上の子ちゃんは、ちゃんと甘えたいときに『先生、さびしくなっちゃった』って言ってくれるから、フォローしやすいです」と言われたんです。
「なるほどー!」と思いました。言えない子は赤ちゃん返りがもっとひどくなったり、下の子に危害を与えたりするともお話してくれました。
正直、保育園の先生のお仕事を見ていると、基本的に「お世話」で精一杯です。でも、子どもたちの精神的なケアをしたくないかといえば、全くそんなことはなく、気づけば最大限対応してくれました。保育園生活という意味でも、子ども自身が「さびしい」のSOSを出せるのは良いことでした。
共働きの親としては複雑だけど……
上の子は4歳になった今でも、弟にかまっていることが増えると「さびしくなっちゃった」と甘えてきてくれます。たしかに「さびしい」としょっちゅう言われるのは親としては心苦しいところ。でも、「爪を噛む」とか「他害」などの「もしかして愛情不足?」(本当は違うかもしれないけど)と親が深く悩んでしまうような症状が出るよりも、言葉に出して甘えてくれる方が思い悩むこともなく、フォローのタイミングも適切にできることはたしかです。
共働き以外の選択肢が今のところない我が家。必ずしも、共働き=子どもの情緒にマイナスとは限りませんが、やっぱり気になるのはまぎれもない事実。だからせめて、マイナスの感情は押し殺すことなく、親にどんどんSOSを出していいんだよ、いつでもママはフォローするよ、と子どもには伝えていこうと思った出来事でした。
文・犬山柴子 イラスト・ちうね