専業主婦から社会復帰するママたち。企業採用担当者はなにを見る?【トゥモローゲート 西崎康平さん・第1回】
妊娠出産を経て落ち着いたころ、「また仕事がしたい」と思うこともあるでしょう。社会復帰を決意したママたちを前に、企業の採用担当者はどんなところを見ているのでしょうか? 「大阪で一番オモシロイ会社」を目指す、トゥモローゲート株式会社代表取締役、西崎康平さんに詳しく聞いてみました。復帰までのブランクを埋める方法なども、チェックしておくと役立ちそうですよ。
「子育て中だけど仕事がしたい!」企業が採用したくなるのはどんな人
――子育て中のママを採用する場合、どんなところを見ますか?
西崎康平さん(以下、西崎さん):子どもがいるいないに関係なく、会社のミッションやビジョンに対してフィットするかどうか、そして成果を出せるかが大事です。そこがクリアできる人であれば採用しますし、会社側も子どもの発熱などによる急な休みや早退などにもちろん対応できます。
――専業主婦だったママが社会復帰する際、社会人生活にブランクがあることも。なにからはじめたらいいですか?
西崎さん:まずはX(旧Twitter)やYouTubeなどでビジネスに関する情報を学ぶということも一つだと思います。そして学んだことを自分のアカウントなどで投稿する。インプットするだけではなくアウトプットすることで、自分自身の考え方がまとまったり、深まったりします。ビジネスに関することを学び、アウトプットする癖をつけると仕事復帰した際にスムーズにいくと思いますよ。
たとえば、「トゥモローゲート」の場合だと僕も含め社員がX(旧Twitter)やYouTube、TikTokの発信に力をいれていて、社員の働くマインドや仕事のなかでの気づき、学びなどを発信しています。広告デザインの話や働き方改革、採用・面接のポイントについても話しているんです。育児の合間などにちょっと見ていただけると、実際に働き出そうと思ったときに役立つことがあるかもしれません。
働いている人に聞くのが一番わかりやすい
――SNSはただ見て楽しむものというよりも、積極的に情報収集して、さらに自分の意見なども発信していく。そういう使い方をしたら自分自身、変わっていきそうですね。
西崎さん:核たるものを持っている方は、それだけで魅力が増しますよね。うちの会社は、男性、女性関係なく、多くの社員が自分の意見を発言します。ただ会社によっては上司に意見を言いづらい環境の場合もあるので、会社の文化や雰囲気は働いている人に直接確認したほうがいいですね。
――企業に連絡して働いている人の話を聞くのもありですか?
西崎さん:うちはウェルカムです。ママが働こうとなったら、子どもの保育園の送迎や急な休みなどへの対応、勤務時間や福利厚生などが気になると思います。安心して働けるかどうか、心理的安全性の確保が大事ですよね。
極端な話をすると、たとえば先天的なものを持って生まれた子のママや3つ子育児をしているママがいるとします。それを「子どものいるママの働き方」とひとくくりにして対応をしていたら、心理的安全性にはつながらないんじゃないかと思います。
働きやすい環境を整えることが成果への一番の近道
――「子育て中のママ」は、ひとくくりにされがちです。
西崎さん:人それぞれ事情が違うのに同一ルールをみんなに当てはめるのはフェアじゃないと思うんですよ。また「ママ」であり悩んでいる条件がまったく同じ人が2人いた場合に、Aさんにはこういう対応をする。Bさんにはこういう対応をすると、対応を変えるのであれば、それもフェアじゃない。うちは一人ひとりの働き方に合わせ、フェアな対応を心掛けています。
これ、一般の人から聞いたらものすごくきれいごとに聞こえるかもしれないですよね。だけど経営者の観点からしたら、それが一番成果や利益に繋がっていくんですよ。というのも、働きやすい環境を整えることによって、会社にいい人材が集まります。その結果、生産性につながり成果が上がってきます。
会社が一方的に社員に働きやすい環境を提供している、というわけではないんです。お互いにとって一番働きやすく、生産性を上げることが重要です。実際、社員一人ずつ状況が違うので、それぞれ働き方が違うんですよ。
うちの会社には週1回働いている社員もいれば、2~3カ月働いてその後の1か月は丸々休むという舞台女優の社員もいます。その社員は、舞台公演をやっているため今の働き方になりました。また、完全に在宅勤務の社員もいます。
変えるべきは会社の制度? それとも会社自体?
――社内に自分以外のママ社員がいないと、働きにくいかなと思います。そういった場合、どのように会社を変えていったらいいですか?
まず社員の意見を受け入れる会社かそうじゃないかで対応は変わると思います。
僕がいろんな経営者を見て感じたことですが、いい会社に変えていこうと意識を持った部下が何を言っても聞く耳を持たない経営者はいます。変わらない会社はいくら訴えても変わらないので、それなら転職したほうがいいです。
もし社員の話に耳を傾けてくれる経営者ならその会社は変わる可能性があります。どういう働き方がいいのか、制度などを導入または変更することによって、会社にとってどんなメリットがあるのか。そのうえで利益が生まれるのか。そこを伝えたうえで導入してもらうのはどうでしょうか。
もしやってみてうまくいかなかったら、どこがだめなのか、どう変えたらいいかみんなで考える。諦めず、トライし続けることが大事だと思います。
【トゥモローゲート 西崎康平さん・第2回】へ続く。
取材、文・長瀬由利子 編集・荻野実紀子