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<ママの投資・第1回>「資産所得倍増プラン」と言われてもピンとこない。そもそも「投資」って何?

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ニュースなどで、岸田総理が掲げる「資産所得倍増プラン」について見聞きしたことのあるママもいることでしょう。柱の1つは「NISA制度(少額投資非課税制度)」を今より始めやすく、また長く続けられるようにすることです。ただなんといっても、投資は少し難しい印象がありますよね。

そこで今回は、一般社団法人投資信託協会副会長であり、セゾン投信株式会社 代表取締役会長CEOの中野晴啓さんにお話を伺いました。まずは「そもそも投資とは何か?」をテーマに、わかりやすく解説していただきます。

中野晴啓さんプロフィール画像

「資産所得」とは一体どんなもの?

――岸田総理が掲げている「資産所得倍増プラン」について、教えてください。

中野晴啓さん(以下、中野):岸田総理は、今、どうすれば国民の所得が上がるかを考え、さまざまな政策転換に取り組んでいます。そのなかの1つに「資産所得倍増プラン」があります。一般に「所得」というのは、仕事をして得られる「給与所得(給料)」です。それに対して「資産所得」とは「金融所得」と考えます。たとえば銀行にお金を預けたときの“利息”も金融所得の1つになります。他にも投資をしたときの利益も同様に「金融所得」になります。

岸田総理は、国民の「金融所得」を増やすことで、たとえ給料が増えなくても所得が増えるようにしたいと考えているのです。

参考:内閣府|経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ〜課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~

――今後、給与所得が増えない可能性が高い、ということですか?
中野:給与所得が増えないのは困りますね。じつは過去20年間、日本人の給与所得は増えていません。給与を増やすためには一定期間、日本で生み出された儲け(GDP)を増やさないといけませんが、過去20年間はずっとできずにいました。もしこの先も日本の儲けが増えなかったら、給料も増えない可能性があります。それならば給与所得ではなくて金融所得を増やそうというのが、「資産所得倍増プラン」の中身なのです。

投資が必要な理由は、預けていても利息がほとんどつかないから

――金融所得には利息も含まれるとのことですが、現状では銀行に預けても利息がほとんどつきませんね。

中野:現在「ゼロ金利」ですから、銀行にお金を預けても利息はほとんどつかない状態です。だからこそ「貯蓄から投資へ」と言われるようになりましたよね。要するに、銀行に預けているお金を投資に回して、資産所得を増やしていきましょうということです。

――そもそもなぜ投資が必要なのでしょう?

中野:日本人は銀行などにお金を預けることを好みます。おそらく親御さんの影響が大きいのでしょう。というのも、親御さん世代は給料がどんどん右肩上がり、銀行に預けたお金にもちゃんと利息がついていたのです。つまり、知らない間にもしっかりと「金融所得」を得られていたというわけです。その経験をした親御さんは、お子さんにも貯金をすすめることが多かったのでしょう。

しかし「ゼロ金利」時代の現代においては、預貯金で預けたお金よりも大きく増えることは残念ながらありません。利息がつかないこの時代にお金を増やそうと思えば、違う方法を取る必要がある。それが「投資」なんです。

ただ「投資」というとまだ「怖い、損をする」というイメージがあるでしょうか。私がここでお話をする投資とは短期売買で目先の利益を得るようなものではありません。そういうものは「投資」ではなく「投機」といい、相場によっては短期間で大きな損失を出してしまうこともあるのです。私がおすすめするのは「長期投資」。本当の「投資」とは応援したい企業や将来性のある事業に資金を投じ、企業の業績が上がることで、私たち投資家に利益がもたらされるため、時間がかかるものなのです。

ただ国の政策として金融所得を増やしましょうと言われても、実際どうすればいいのかわかりませんよね。そのきっかけになるのが、国がすすめている「NISA制度」というわけです。

――ママにとって投資の最初の一歩を踏み出すのは大変なことと思います。

中野:だからこそ「つみたて投資」という方法があるわけです。投資のためにいきなり「100万円必要です」と言われたらちょっと難しいと思う人でも、自分が投資にまわせる範囲内で続けていくことはできる、と考えれば始めやすいのではないでしょうか。投資は決してハードルが高いことではなくて、誰でもできることです。これからの時代、どれだけ勇気をもって投資にお金を回せるかが、重要になってくると思います。

(編集後記)
岸田総理が掲げる「資産所得倍増プラン」は、国民ひとりひとりが、自分で金融所得を作っていく機会であることを教えていただきました。給料が上がるかどうか不安な世の中だからこそ、自分で考え、決断して「投資をする」必要性がある、と中野さんは話します。

取材、文・川崎さちえ 編集・すずらん イラスト・はなめがね

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