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「独自の支援策で困っている市民を助けたい」【明石市 泉房穂市長・第6回】

明石市市長⑥
前回からの続き。「溺れかけている市民がいたらすぐに助けるのが政治」と語るのは、兵庫県明石市の泉房穂市長。2020年新型コロナウイルス感染症が蔓延し、緊急事態宣言が出されたすぐあと、明石市では独自の支援を次々に打ち出します。支援策の具体的な内容とともに、当時のことについて伺いました。
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明石市独自!20のコロナ支援対策で市民の窮地を救う

――コロナ禍での迅速な対応が、市民の方から高く評価されたそうですね。

泉房穂市長(以下、泉市長):いろいろ実行しましたね。とにかくスピード重視です。困っているところにはすぐに助けにいくと決め、行動し続けました。コロナ禍で明石市が独自で実施した主なことを紹介します。

1.学生に学費上限100万円
2.ひとり親家庭に児童扶養手当5万円上乗せ
3.子育て世帯に児童手当を1万円上乗せ
4.中学3年生に給付型奨学金30万円
5.子どもの養育費緊急支援
6.未就学児に絵本の宅配便
7.テイクアウト・デリバリー子ども食堂
8.赤ちゃん応援給付金10万円
9.生活困窮者に10万円先行支給
10.市税の納付期限の延長
11.水道基本料金6カ月分を無料
12.個人商店に家賃上限100万円
13.飲食店感染症対策5万円
14.3割おトク商品券
15.高齢者・障害者サポート利用券1万円分
16.明石市サポート利用券5,000円分
17.認知症家庭サポート交付金・在宅介護支援金最大3万円
18.生理用品サポート事業
19.あかし支え合い基金
20.コロナ条例を制定

以上、20の支援策などを実施しました。

「店舗の家賃が払えない」と聞いてから約10日で100万円融資

――具体的には、どのようなコロナ支援を行ったのでしょうか。

泉市長:私は、常日頃から市民の声を直接聞くことがとても大事だと考えています。新型コロナウイルス感染症が蔓延しはじめた2020年4月10日、いつものようにまちを歩いていたら、商店街のある個人店主が「店舗の家賃が払えそうになくて困っている」と言うんです。さらには「3月分を滞納しており、4月分も4月25日までに払えなかったら出ていかないといけない」と。それを聞いた私はいてもたってもいられず、すぐさま市役所に戻り、職員に指示し、銀行に話をつけて、2週間で100軒くらいの困っている個人商店に融資しました。

――「とにかくスピード重視」に納得です!

泉市長:商店街の個人店主から「家賃が払えなくて困っている」という話を聞いたのが4月10日。4月20日には臨時市議会を開いてもらい、全会一致で補正予算を通すことができました。結果として2020年4月21日から5月31日までの間に申請数は585軒、貸付合計金額179,566,000円となりました。

市民からの要望「ひとり親家庭を助けてあげてほしい」も即実行

――ほかにも市民からの要望はあったのでしょうか。

泉市長:いろいろありましたが、そのうちの1つが「ひとり親家庭の支援」です。さきほどの個人店主と話しているときに、こんなことも言われました。「うちに働きに来ているパートさんがひとり親家庭なんです。うちで働いたお金で子どもを養っている。だけど、お客さんがほとんどゼロだから仕事を休んでもらっている。給料も払えない。なんとかひとり親家庭を助けてあげてほしい」と。その話を聞いた2週間後に「ひとり親家庭に児童扶養手当5万円上乗せ」を実施しました。

前例のないものにもスピード感を持って臨機応変に対処

――そんなに早く対処できるものなんですか!?

泉市長:「行政は物事がなかなか進まないんだよ」って、みなさんおっしゃるじゃないですか。そんなことはありません。やる気になったら何でもできますよ。人事異動に関していえば、私が市長になる前は年1回だけだったようで、私も市長になったときにそれを知り、びっくりしました。明石市の人事異動、2020年度は19回、2021年度は27回しましたよ。

――どういうタイミングで人事異動を行うのでしょうか?

泉市長:「コロナで保健所が大変だから、何人か手伝いに行って」と。状況が落ち着いたら「戻ってきて」という感じです(笑)。やるべき課題が見つかれば解決できそうな職員に指揮を取らせ、別の問題があれば今度はそっちに行ってもらう、という感じです。市役所にいる職員の数は限られているわけだから、みんなで手分けてしてやるしかないですよね。

“溺れかけている市民”がいたらすぐに助ける!

――かなりの数の政策を打ち出して、かつ予算までしっかり取っているんですね。

泉市長:常に、「困っている人は誰だろう」「なにが必要だろう」ということを見ています。必要があると判断すれば、今回と同じように迅速に対応する。溺れかけている市民がいるのに、助けなかったらキケンな状態になってしまう。浮き輪があれば浮き輪を、浮き輪がなければ近くにある浮き輪の代わりになるものを投げて、命を助けるのが政治の果たす役割です。

「やれるかどうかわからない」ではなく、「どうしたらこれを達成できるか」「課題を解決できるか」が大切です。まずは市民の声を聞くこと。どんなことで困っているのか、今、何を求めているのか、何が必要なのか。しっかりと話を聞くことで、これから先のすべきことが明確に見えてくるのです。それがわかったら、あとはやるだけです。

【明石市 泉房穂市長・第7回】へ続く。
取材、文・間野由利子 編集・荻野実紀子 イラスト・おんたま

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