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<受験時の行動>発達障害の高校生が、大学受験で合理的配慮を受けるには?【発達障害は個性なの?】

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「発達障害は個性なの?」答えはYesでもありNoでもあり、どちらでもない可能性があります。困り事があればそれは「個性」という言葉では片付けられないし、困っていないのであればそれは「個性」なのかもしれません。

この記事では、発達障害の子育てをするなかで見えてきた、さまざまな悩みや問題・対処法などについて紹介していきます。今回のテーマは「大学受験での合理的配慮」についてです。

大学受験にも合理的配慮は適用される

発達障害に限らず、さまざまな障害をもつ子どもたちが、健常者と同様のチャンスを獲得するために、個々にあった適切な調整や変更を行う「合理的配慮」。たとえば睡眠障害を持つ子どもが授業中に寝てしまったら起こしてもらったり、学校からの連絡をうまく親に伝えられない場合に先生に声掛けしていただいたり。子どもの特性に合わせて、いろいろ配慮をしてもらえます。

さらに将来を決める大きな一歩となる「大学受験」でも、合理的配慮を申請することが可能です。

2022年11月現在、発達障害(ADHD)をもつ高校3年生のわが子は、大学受験に向けての準備まっただなかです。そしてすでに大学受験の際に必要となる入試時の合理的配慮の手続きを進めています。この合理的配慮について知人に話していると、「どうして合理的配慮を受けることにしたんですか?」とか「どのような合理的配慮を申請されましたか?」などと聞かれることがありました。

そこで発達障害のお子さんをお持ちで、今後大学受験を検討されているかたのために、筆者が行った合理的配慮の申請についてお伝えします。

なぜ大学受験で合理的配慮を受けようかと思ったのか

大学受験で合理的配慮を受けようと思った理由、これは単純明快で、わが子が希望したからです。受けられる配慮があるならすべて受けたいと希望するので、私も遠慮せず受けなさいと背中を押す形になりました。

合理的配慮は、言ってみれば他人に配慮をお願いすること。ときおり、合理的配慮を受けることに引け目を感じるという声を耳にします。しかし合理的配慮を受けることに、引け目を感じる必要なんてないと筆者は考えています。たとえるなら視力の低い人がメガネをかける、高いところのものを取るために踏み台を使う。これらと合理的配慮は同じで、ズルでも特別扱いでもないと筆者は思います。

発達障害の特性や二次障害のせいで困り事がたくさんある。少しの「困った」が積み重なることで、人生を棒に振ることや、他の人たちができることを諦めたことがたくさんある。こんな苦しさやツラさも、「少しの協力=合理的配慮」があれば、解消できることが増えるのです。

もちろん、希望しても配慮してもらえないこともあるだろうことは親子ともども理解しています。それでも未来を切り開くために少しの助けがほしい。ただそれだけのことなのです。これが筆者親子が大学受験時に合理的配慮を申請しようと決意した理由です。

大学受験の合理的配慮の申請先

大学受験の場合、合理的配慮を受けるための申請は、「大学入学共通テスト(以下・共通テスト)」と志望する大学、それぞれ別に申請を行う必要があります。

共通テストの合理的配慮の申請先

共通テストへの合理的配慮の申請は、独立行政法人 大学入試センター(以下・大学入試センター)におこないます。大学入試センターへの申請は全国共通です。今回申請することとなった、2023年度の受験生の場合は、2022年8月1日より申請がスタートしました。

共通テストの合理的配慮の申請は、「出願前申請」と「出願時申請」の2つの期間が設けられています。また「出願前申請」には、出願前までに受験上の配慮希望に対する結果の通知を希望する場合には、締切が別途設けられています。

わが家では「出願前申請」のなかの一番早い締切での申請を選択しました。その理由は、わが子が審査結果を早く知りたいと希望したことと、志望する私立大学から合理的配慮の申請時に受験上の配慮希望に対する結果があると助かると聞いていたためです。

共通テスト以外での合理的配慮の申請先

共通テスト以外では、受験予定の大学それぞれに別途申請を行うこととなります。大学や、受験の方式(前期・中期・後期など)によって申請の時期が異なります。

筆者は3つの大学でお話を聞きました。大まかな申請内容や流れは同じでしたが、大学ごとに考え方や扱い方、できる配慮・できない配慮などが異なるようです。合理的配慮申請の流れや、合格後の合理的配慮・受けられるサポートについても受験したい大学が決まった段階で確認しておくことをオススメします。

共通テストで、どのような合理的配慮を申請し許可が降りたのか

さてわが子の共通テスト時の合理的配慮は、以下の配慮を希望し、すべて許可されました。

・拡大文字問題冊子の配布+別室受験
・イヤーマフ持参・使用
・読書補助具の持参使用

それぞれを詳しく説明していきます。

拡大文字問題冊子の配布+別室受験

拡大文字問題冊子とは、文字のサイズが大きくなった問題冊子です。大学入学共通テストの問題冊子には、文字の大きさが14ポイントのものと22ポイントのものがあります。22ポイントの方が文字が大きいものです。

受験の問題文はどうしても長文になりがちなため、文字がかなり小さく密集します。わが子は発達障害の特性上、文字が小さいと読み飛ばしてしまうことが多々あります。限られた時間で問題に挑むためには、文字のサイズを大きくしてもらって読み飛ばしを極力防ぐ必要があると考え、申請しました。

ちなみにこれは直接問い合わせて知ったのですが、わが子の場合、拡大文字問題冊子を使う場合は、別室受験となるようでした。別室受験の希望も出していたのですが、拡大文字の方で別室受験が認められたので、結果的に許可された形になっています。

イヤーマフ持参・使用

イヤーマフの持参・使用も申請し、許可をいただきました。わが子は耳の感覚過敏「聴覚過敏」により、周囲の音などに過敏に反応してしまい集中ができなくなってしまいます。突発的な物音などに過敏に反応してしまったり、文字を書いている音や誰かの呼吸音などに意識を持っていかれたりすることも。わが子にとってイヤーマフは、試験などの際、必要不可欠なアイテムなのです。

わが子の使用しているイヤーマフは、電子機器との接続ができない形式のヘッドフォンです。あくまでも聴覚過敏の症状を緩和するアイテム。イヤーマフを装着しても完全にすべての音を遮断するわけではなく、開始や終了の合図などは聞こえるようなので、その点は問題ありません。

読書補助具の持参・使用

「リーディングルーラー」などの名称で販売されているものを、総じて「読書補助具」と呼びます。リーディングルーラーとは、定規のような形をしており、中央がセロファンのような半透明のフィルムが張ってあります。このリーディングルーラーを文章の上に置くと、半透明な部分だけ文字が見える仕組みになっています。一行読んだら次の行へとリーディングルーラーをスライドしていくことで、文章の読み飛ばしを防いでくれるアイテムです。これも持参・使用OKとなりました。

合理的配慮を申請するために「実績」を作る

共通テスト時の合理的配慮に申請した項目はすべて、通っている高校でも同じ配慮をお願いしています。模試や検定試験では対応が難しく許可されませんでしたが、学期ごとに行われる定期考査ではすべてを許可していただいていました。

合理的配慮を申請すると決めたあたりから、本番に受けたい配慮に限りなく近い形を取ってもらい、「実績」を作ることを意識しています。実績そのものは申請の際に必須ではないのですが、実績があれば書類が作成しやすく、審査でも判断がしやすいかもしれないという話を同じ発達障害の子どもをもつママから聞いたからです。可能であれば、早い段階から学校と協力して実績を作っておくといいかもしれません。

時間に余裕をもって申請しよう

大学受験に対する合理的配慮の申請についてお伝えしました。難しそうな言葉の羅列や大量の文章に、「申請が大変そう」と感じるかもしれません。しかし落ち着いて余裕をもっておこなえば、決して難しい申請ではありません。もしわからないことがあれば、些細なことでも各窓口へ問い合わせをしてみてください。みなさん、とても親切丁寧に教えてくれますので怖くないですよ!

わが子の困りごとを少しでも緩和し、本来の力を発揮できるようにしてくれる合理的配慮。どうかためらわず思い切って申請し、わが子の不安や心配を取り除いてから、大学受験に挑みましょう!

※本記事の内容はあくまで個人の体験に基づいた内容であり、人によっては当てはまらないケースもあります。
※本記事の内容は令和5年度の入試時のものです。

櫻宮親子2022

文・櫻宮ヨウ 編集・しらたまよ イラスト・Ponko

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