<介護問題>認知症の母、助けてくれない弟「偉そうに言うなよ!」【第5話まんが:旦那の気持ち】
前回からの続き。数年前の話。これまで母さんの介護をしてくれていた妻のアカネが娘(ナナミ)を連れて出ていってしまった。アカネへの怒りを抱きながらも、とにかく母さんの世話をしなきゃ。俺1人だってどうにかなるはず! しかし在宅で母さんをみながら仕事はできないことを悟った俺。
1人で母さんをみていたらまったく休むことができず、まだ2日目だというのに疲れ果ててしまった。ふと「老人ホーム」のことが頭をよぎったが、すぐに思い直した。
「母さんの幸せを考えなくてどうする!」ただ人手が足りないのは確かだったから、弟に助けを求めることにした。きっと弟なら飛んで来てくれるはず……。
「もしもし? 俺1人じゃ母さんの面倒見るのは無理だから、お前も少し休みをとって手伝ってくれよ」とヘルプを出したが、弟からの返事は予想外のものだった。
無責任なことばかり言う弟にもだんだん怒りがこみあげてきた。「兄貴が実家に住んでいるんだから、兄貴が面倒見るべきだろ?」いやいや! 家族には変わりないだろ? なんで俺の気持ちをわかってくれないんだ!
あまりの理解のなさにとっさに大きな声が出た。「大変さをわかってないくせに」「何もしてないくせに」そんな思いがあふれて出た言葉だったのだが、その言葉は、どこかで聞いたことがある言葉だった。
アカネから言われた言葉が頭にうかぶ。「……その“家族の絆”とやらは、誰の犠牲のもとに成り立っているか……考えたことはありますか?」「こんないい歳した大人がちっとも現実をみようとしないで、理想論ばっかり並べて……」
弟の声がどんどん遠くなる気がした。理想論……そうだよな……。アカネはずっと現実の中で頑張ってくれていて、でも俺はそれをみようともしないで、自分の理想ばっかり押し付けて……。俺たちの言う理想は、アカネの犠牲のもとに成り立っていたものだったんだ。取り返しのつかないことをしたんだ、俺は。
「いろいろ勝手なことを言ってすまなかった。母さんの施設入所の件、前向きに話したいから戻ってきてほしい」震える手でアカネに、こうメッセージを送ったんだ。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・よしはな 編集・Natsu