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地震に備えて覚えておきたい「とっさの行動」ママと子どもが生き残るための防災術【第1回 地震編】

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地震や大雨など災害が起こるたびにママは不安になりますよね。子どもと一緒にいるときに災害に襲われたら、ママたちはどのように行動すればいいのでしょうか? 今回、防災家/危機管理アドバイザーの野村功次郎さんに、災害時の状況や場面に応じた「ママにできる防災術」を教えていただきました。野村さんは数々の大きな災害で消防隊員・レスキュー隊員・救急隊員として活動されてきた防災スペシャリストです。

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緊急地震速報が鳴ったらママはどうすればいい?

――子どもが近くにいるときに緊急地震速報が鳴ったときママはどうすればいいですか?
野村功次郎さん(以下、野村:):緊急地震速報が鳴ってから、どのぐらいでどんな揺れが来るかはその時々で違います。ママは、リビングなど広い部屋で、割れる可能性のある大きな窓と上の照明を避けるような位置でお子さんを抱えて屈んでください。ママとお子さんの頭を守ることが大切です。
時間があれば脱出を考えて、玄関に向かうといいでしょう。玄関はちょっとした照明しかないですし、リビングにあるような大きな窓もありませんから、ガラスで怪我をする可能性が低くなります。柱や壁に囲まれている玄関で、扉を少し開けて出口を確保しましょう。

――子どもを抱えて屈むということでしたが、どのような姿勢をとればいいですか?
野村:片方の手のひらで子どもの頭と首を覆うように支えながら抱きかかえましょう。このとき、あまりぴったりとママの胸に押しつけると子どもが窒息してしまうので気をつけること。お子さんが2人以上いる場合は、両手でお子さんの首元を抱きかかえましょう。

――登下校しているときに緊急地震速報が鳴ったら、子どもはどうすればいいですか?
野村:お子さんは、倒れてくるものがないか前後左右を確認してください。落下物がないか上も確認しましょう。後頭部から首の後ろを守ることが大切です。後ろ手にランドセルの留め金を外して、後頭部から首の後ろを覆うように蓋をかぶってもいいでしょう。

――登下校中の子どもが普段注意する点は?
野村:登下校中は服や靴などのどこか一か所に、目立つ色をつけておくといいですね。そうすると災害にあったときに発見されやすくなります。通行人の目につきやすいので、犯罪者が手を出しにくいという防犯面の利点もあります。また防災の小道具として、連絡先を3つほど表に、ハザードマップを裏に印刷したハンカチなど防災グッズを作って携帯するといいのではないかと私は思っています。

家のこんな場所で緊急地震速報が鳴ったら

――キッチンで料理中に緊急地震速報の警戒音が鳴ったら?
野村:調理中で手が届く範囲にいればすぐ火を止めればいいと思います。すぐに消せない場合は、火を消すことよりも身の安全を考えましょう。火を消そうとして逃げ遅れることもあります。お子さんのことを考えて、何を優先すべきか日ごろからシミュレーションしておくといいでしょう。

――トイレに入っているときや入浴をしているときに警報が鳴ったときはどうしますか?
野村:トイレやお風呂は閉じ込められることがあります。逃げ道を作るために、警報が鳴ったらすぐにドアを開けることが大切です。連絡手段を確保するためにトイレに、お風呂だったら保存袋などに携帯電話を入れて持ち込むのも一つの手です。振動で倒れてドアを塞いでしまうことがあるので、トイレの前に掃除機や棚など倒れてくる物を置かないようにしましょう。

お子さんも、いざというときにドアを開けられるように練習をしておきましょう。反復練習で、咄嗟でも開けられるようにします。警報後何秒で開けるなど目標を作ってあげて、ごっこ遊びで練習すると楽しいかもしれませんね。

スーパーやショッピングセンターで緊急速報が鳴ったら?

――買い物をしているときに緊急地震速報の警戒音が鳴ったときに取りたい行動はなんでしょうか?
野村:怖いのは、振動で缶詰など重たい商品を収納してある棚が倒れてくることです。重い商品が並べられた陳列の筋からはすぐに遠ざかりましょう。コンビニですと、唐揚げやおでん、大きなコーヒーメーカーがあるレジ付近も危ないです。重たいし倒れたら高温の液体が飛び散る可能性があります。地震の揺れで、冷凍商品が入っている重たい商品棚が動き、のしかかってくる場合もあります。なるべく広いところにいるのがいいでしょう。

――どんな姿勢でいればいいですか?
野村:屈んでバッグや買い物かごなど、あるもので後頭部から首の後ろを守りましょう。

――ショッピングモールはどこが安全ですか?
野村:1階であれば、催し物などを行う広いホールの中心にいきましょう。吹き抜けになっている広いホールは大きな照明がついていないので、倒れてくるものや落下物がありません。スーパーやショッピングモールでは、とにかく左右と上を確認することが大切です。何かが倒れてこないか落ちてこないか確認する習慣をつけましょう。

――子どもと離れていたり、はぐれたりしてしまったらどうすればいいでしょうか?
野村:まずは店員の方に連絡してください。ママが離れている場合に備えてお子さんにも、落下物がなく重い棚が倒れてこないところへ移動して、屈んで後頭部から首の後ろを守る習慣をつけさせましょう。ショッピングモールではぐれてしまったら、1階の広いホールなど落ち合う場所をお子さんと話し合っておくのもいいですね。
ちなみに災害に限りませんが、ショッピングモールで子どもとはぐれた場合は、子どもの目線で興味があるもの、目を引くものがある場所を探してください。また理由は不明ですが、人は迷ったら左に行きがちという説もあります。子どもの目を引くものが特にないということであれば、左から探してもいいかもしれません。

――買い物中に地震が来た場合、揺れがおさまったらすぐに外に出たほうがいいですか?
野村:ショッピングモールの出入り口は、比較的大きな窓ガラスになっているところもあります。ガラスが散乱している場合がありますし、入り口付近の看板が落ちてくることも考えられますので、すぐに外に出ないほうがいいと思います。また出入口に人が殺到します。大人の視界に入りづらい小さなお子さんは倒されたり押しつぶされたりする可能性があるので、非常に危険です。皆が行っているからといって、焦って1か所に向かわないほうがいいでしょう。

――お店が倒壊する危険性も心配ですが……。
野村:私が阪神・淡路大震災のときにレスキュー隊員として活動したときは、天井が3m以下の古い造りのビルに入るスーパーは、落ちるように崩れていました。でも最近のショッピングモールでドンと倒れたという話は聞いたことがありません。出入口で押しつぶされたり落下物にあたったりするので、慌てて外に出ようとするほうが危険性は高いでしょう。

――ベビーカーはどうすればいいですか?
野村:残念ながら、移動の速度が落ちるので、ベビーカーはジャマになります。お子さんを乗せたベビーカーを前に押していくと、何か落ちてきたときにお子さんが無防備な状態になりますよね。とっさのときにどうにもできないのです。抱っこだと、お子さんの頭をすぐに守ることができます。

――抱っことおんぶとどちらがいいのでしょう?
野村:お子さんの顔が見える抱っこがいいでしょう。お子さんもママの顔が見えることで安心します。いくら小さくてもやはり恐怖を感じるので、呼吸が乱れたり苦しくなったり、発作を起こしたりする場合がありますので、お子さんの状態を観察できる抱っこがいいでしょう。またおんぶだとママが屈んだときにお子さんの頭がむき出しになってしまうので気をつけてください。

電車などで移動中に地震に遭遇したら

――電車に乗っているときに地震がきたらママはどうすればいいですか?
野村:電車でお子さん連れの優先席に座っていない場合は、立って手すりの棒を持つのは難しいと思いますので、やはり屈むことをおすすめします。抱っこしているときは、電車の手すりの棒を持ったまま屈みます。

――電車のどの位置が安全ですか?
野村:電車に乗るなら前方よりも後方の車両に乗車するほうがいいでしょう。十両編成なら五両目から後ろへ。車両の構造を考えると、車輪の上の部分がより強いと言えます。僕が知る列車事故、JR福知山線脱線事故でも、やはり助かっているとか怪我が少なかったのは真ん中から後ろで比較的車輪の上に座っていた人でした。

――地震が起きると津波警報が鳴る場合がありますが、そのときはどうしたらいいですか?
野村:津波がくる可能性がある場所に住んでいる場合は遠くではなく、とにかく高いところに避難してください。命が大事ですので、知らないマンションでもいいですから高いところへ行く。津波が来た場合、基本は高いところを目指してください。

* * *

地震のときには家でもお店でも道路でも、倒れてくるものはないか何か落ちてくるものがないか、左右はもちろんのこと上も確認することが大切だと野村さんは言います。子どもはしっかりとママの側におき、できるだけママと子どもの後頭部から首の後ろを守るようにしてくださいとのこと。緊急地震速報がきたり地震がきたりしたらすぐにできるようママは覚えておきたいところです。
【第2回火災編】へ続く。

取材、文・岡さきの 編集・しらたまよ イラスト・きたがわなつみ

参考文献:「パッと見! 防災ブック」

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著:野村功次郎
価格:1,320円(本体1,200円+税)
出版社: 大泉書店
※本コラムは防災、災害対応のヒントです。実際の災害の対応は、お住まいの地域の事情等踏まえて行ってください。

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