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【災害対策:第4話】災害発生時、断水で水道が使えない!飲み水やトイレ処理はどうしたらいいの?

pixta_32907326_M大規模な地震などによって、もしも「水」が使えなくなってしまったら? 飲み水はもちろんのこと、トイレに行くこともできなくなってしまいます。「事前にペットボトルや携帯用トイレを用意することは大切です。とはいえ、大半の人が十分な備えがなく、いざ使おうと思ったら足りないということが発生しがちです」と話すのは、『マンション防災の新常識』(合同フォレスト)の著者であり、マンション防災士の釜石徹さん。長年市民防災活動に取り組み、防災コンサルタントとしても活躍する釜石さんに詳しくお話を伺いました。
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事前にやるべきことは飲料水の確保。1人1日あたり必要な量は?

――水は飲み水と生活で使用する水がありますが、それぞれどのくらい、どうやってそろえたらいいですか?

まず、事前に飲料は2Lペットボトルを購入するなどして、自宅に保存しておきましょう。1人あたり1日に必要な水分量は、体重の約5%と考えるといいと思います。たとえば、体重60キロの人の1日水分摂取量は3.0Lです。体重50キロの人は1日2.5L、体重40キロ以下の人の場合は1日2.0Lです。それぞれ人数に応じて1人10日分を用意しておくといいでしょう。

食料備蓄に関しては積極的に準備している人でも、水の備蓄はついおろそかになりがち。「ペットボトルで1人1本分くらいあればいいか」と安易に考えてしまうところがあります。しっかりと必要な量を知り、用意しておきましょう。

災害発生時、水の確保はどうしたらいい?

――災害発生時、お風呂に水を溜めるべきという話を聞きます。なにか行ったほうがいいことはありますか?

万が一、災害が発生した場合に備えて2Lペットボトルに水道水を入れたものを5本から10本汲み置きしておきます。たとえば、普段は植木の水やりに使うなら最適です。

この水は万が一の場合は調理などの際に使えます。飲食に使える保存期間の目安は、夏場でも直射日光を避けた涼しい場所で3日程度、冬場であれば1週間は飲料水として使えます。その期間を過ぎても沸かせば飲めます。もしお風呂の残り湯などがあれば、お湯を抜かずにそのままにしておきます。この残り湯は、「スーパーデリオス」などの携帯浄水ボトルを使えば、160L~180Lの飲料水が確保できますよ。水の備蓄は、保存水、水道水の汲み置き、お風呂の水の浄水化が中心となると思います。

トイレの水が流れないときの汚物処理法は?

――下水道が使えなくなったとき、トイレはどうしたらいいですか?

トイレに関しては、液状化が起きない限り下水道の破損はわかりません。役所からのストップがかかるまでは流し続けることになります。ただ、トイレの水が流れないということがあれば、どこかに問題が発生しているかもしれません。そのような場合は、トイレの使用を中止してください。特に水道が止まっている場合は、「便」や「紙」を便器に流さないように気を付けましょう。

――トイレが使えなくなったときは、どんなことに気を付けたらいいですか?

トイレが使えなくなった場合、考えるべきことは①トイレのゴミの量を増やさないこと、②臭い対策。この2点です。「便」や「紙」などは、携帯トイレや便袋に採取します。臭いが気になる場合はさらに防臭袋に入れて保管しましょう。

「携帯トイレ」を家族分用意するのは大変。やるべきことは?

――携帯トイレを用意する場合、どのくらいの量が必要ですか?

1人1日10回分の携帯トイレを準備すれば申し分ないでしょう。一般的に言われているトイレ対策は、ご質問の通り回数分の携帯トイレを備えることです。しかしながらこの方法では、オシッコを固めるたびにゴミの量が増えていきます。しかも携帯トイレは1個が約170円です。1人1日7個から10個を必要とするので、10日分を計算すると、70回で1万1,900円、100回で1万7,000円かかります。これの家族人数分を備える必要があります。加えて、凝固剤の使用年数が5年から10年なので、定期的に買い替えなければなりません。

とはいえ、耐震性のある建物であれば、震度6強が数回来ても排水管が大きく損傷することはないといわれています。従って、耐震性ある建物ですぐに排水管のチェックを行って、排水管に大きな損傷がないことが確認できれば、自宅のトレイの便器から小便を捨てることができます。大便時に排泄物は袋に採取しますが、小便は便器に捨てることがいいでしょうね。

水が出ないときの手洗い方法は?

――トイレに行って水が出ないとなると、手洗いはどうしたらいいのでしょうか?

ウェットティッシュなどのアルコール消毒拭きなどを使って手をきれいにする方法と、もう1つは使い捨て手袋を利用するのがいいでしょう。これらは値段も安く手に入りやすいものなので、余裕をもって保管しておくといいですね。

万が一、液状化現象などで下水管が損傷した場合は、数日間は備蓄しているトイレで用を足すとしても、限界があります。「感染症などのこともあり、避難所に行くのが心配」という場合は、早めに親族の家などに移動することを検討してみてください。

取材、文・間野由利子 編集・山内ウェンディ

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