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【災害対策:第1話】「食料備蓄=長期保存」ではない!子育て家庭がすべき食べ物のストック方法は?

※2020年11月時点の情報です。

pixta_63944532_Mもしも、今災害が起こって食料が買いに行けなくなってしまったとしたら、保存食はなにを用意したらいい? 通常「食料備蓄=長期保存」と考えて賞味期限の長いものを用意しがちですが、マンション防災士であり『マンション防災の新常識』著者である釜石徹さんは、賞味期限が1週間以上のものはすべて食料備蓄になりうるといいます。災害時に備える簡単な備蓄法「ローリングストック」などとともに、詳しくお話を伺いました。
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災害時に備える簡単な備蓄法「ローリングストック」とは?

――「ローリングストック」とはどういうものですか?

ローリングストックとは、普段の生活で使用している食材をすこし余分に買い置きしておき、普段の食事で食べる。定期的に在庫量を確認して、使った分だけ買い足すという方法です。ローリングストックをすることで、災害用の食品を用意しておいてもなかなか食べる機会がなくて賞味期限が切れてしまう、ということがなくなります。また、いつも食べ慣れているものであれば、実際に災害にあったときに、作り方がわからない、食べ慣れていないためおいしく食べられないと戸惑うことがなくなります。

たとえば、災害時の食事を、朝は蒸しパン、昼はパスタか麺、夜はご飯とします。ごはんは1人一食100グラムと考えると、10日間で1キロ。3人分で3キロ必要になります。お米が残り3キロになったら次の10㎏を買うといいでしょう。

わざわざ災害時の備蓄のために倉庫などを用意する必要はありません。場所もそれほど取らないし、そもそも使うものをちょっと早めに買うだけなので、食材の無駄もほとんどありません。これを主食のローリングストックと言っています。

――逆に、ローリングストックしないほうがいいものはありますか?

災害時にしか使わない食材を買い置きをしないことです。 たとえば、私は普段からカップラーメンを食べません。そのため災害用にカップラーメンを備蓄しておいたとしたら、食べ慣れていないものを食べることでストレスになります。また、災害自体がなければ、食べることなく廃棄することにもなりかねません。それだともったいないし、次に新しく買い足して備蓄しようという気も薄れてきますよね。ローリングストックなら、普段から食べ慣れているものなので、災害があってもなくてもおいしく期限内に食べられます。

――ローリングストックに含めておくべき食材はありますか?

賞味期限が一週間以内のものを除いて、日常的に食べている食品、調味料などのほとんどが対象になります。そういう意味では、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎを始め、卵も夏場、生で食べることを前提に2週間程度持つので保存食の対象になります。そう考えると、葉物の野菜や肉、牛乳などの消費期限が短いもの以外は、全部立派なローリングストックの食材となります。

――家族構成からどのくらいのストックを用意しておけばいいですか?

現在、自宅の冷蔵庫や台所、納戸などにある食材を使って10日分のメニューを考えてみてください。10日分のメニューができればそれらをつくる材料が必要なストックになります。

ただし、10日分のメニューを作ることは難しいので、まずは現時点でのメニュー日数をもう1日伸ばすためにどうするのかを考えて、それから10日分メニューを目指すことが防災対策になります。

参考:農林水産省|特集2 食材まるかじり マルゴトタマゴ(1)「賞味期限」

保存期間が短い生野菜や魚、肉はどうしたらいい?

――生野菜や肉、魚などのストック方法は? 停電時はクーラーボックスを使えばいいですか?

生野菜の一番のストック方法は家庭菜園で植えておくことです。しかし、すべて植えておくわけにはいきません。生野菜のビタミンや繊維質は、災害時には野菜ジュースや他の野菜から取るようにします。「葉物野菜は冷凍保存しておけば大丈夫」と思うかもしれませんが、停電したら冷凍庫は使えません。冷凍食材を備蓄品と考えるのはやめましょう。

肉、魚の生鮮食品は、焼いたり、味噌漬けにしたりすれば、2~3日は持ちますが、長持ちはしません。日ごろから、乾燥して真空パックになった煮干しや小魚などをおやつ代わりに食べるなどして食べ慣れておけば、いざというときにカルシウム不足を補うことができます。クーラーボックス使用も悪くはありませんが、冷蔵庫と同じようにはなりません。一時的な活用と割り切って考えておいた方がいいでしょう。

大切なのは、災害時に使えるものを日常的に使用すること

――賞味期限が長くて役立つ保存食は?

これまでは、食材の備蓄というと3年から5年ほど保存できるものを揃えるのが一般的でした。しかし、乾パンなど普段から食べ慣れていないものを用意しておくと、いざ食べようと思っても口の中がパサつく、おいしくないなどの問題から、余計にストレスがたまるということがあります。

災害時には、普段より相当強いストレスがかかります。食事だけでも食べ慣れたものを食べることで、ストレスは軽減されます。そう考えると、災害時しか使わない食材は保存には向かず、結局は無駄になり長続きしません。

保存するのではなく、「災害時に使えるものを日常的に使用する」という意識で臨んでください。そう考えると、賞味期限が 1 週間以上のものはすべて対象になります。「食料備蓄=長期保存」ではなく「食料備蓄=日常生活の延長線上」と考えて、いつもよりちょっとだけ多く備えておく。それを心掛けてください。

取材、文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ

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