高橋ユウ:第6回「想像とは違う帝王切開での出産になりましたが、感動は想像以上でした」
モデルや俳優・タレントとしても活躍する高橋ユウさん。ご主人であるK-1ファイター卜部弘嵩さんとの間に第1子となる禅清(ぜんせい)くんが誕生したのが、2020年1月のことでした。ユウさんが当初イメージしていた出産とは違う形になったのだそうですが……。連載コラム第6回は、そんなお話からスタートします。
無事に産まれてきてくれただけで、感謝があふれた
━━出産はスムーズでしたか?
自然分娩を希望していたんですが、逆子でした。27週目くらいから。先生も最初は「この時期だとまだ逆子の赤ちゃんはけっこういます。何度かくるくる回って、戻るんじゃないかな?」と言ってくれたんですが、戻らなくて。逆子体操をしたり、家で夫にお灸を据えてもらったりといろんなことをしたものの、やっぱり回らなくて。
ただギリギリまで自然分娩を希望していたので、赤ちゃんを外から回す「外回転術」をやりたい、とお願いしました。
参考:骨盤位外来|国立成育医療研究センター
外回転術をするときと帝王切開のときの麻酔は、同じものだそうなんです。それで麻酔が1回で済むように、先生からは「外回転術で回ったら自然分娩、回らなかったら帝王切開になります」と説明をいただきました。
で、やっぱり外回転術でも回らなかったんです。「では、帝王切開でいいですか?」と言われて「お願いします」とは言ったものの、内心「えっ! これからすぐに産まれちゃうの?」と。なんのなんのできっと回ってくれて自然分娩でいけるものと勝手に想像していたので、心の準備ができていなかったんですよ。
━━それまでの想像とは違う形になったわけですもんね。
はい。麻酔を打っているので痛みもなく。先生に「今、ピンセットでつねっているよ。痛みは感じる?」と聞かれて、「まったく感じないです。へぇ、麻酔ってすごいですね!」なんて会話を普通にしていたんですよ。そうしたらいきなり「はい、赤ちゃん、産まれますよ」と言われて、「おんぎゃー、おんぎゃー」と聞こえてきて、助産師さんたちが「おめでとうございます。男の子でーす!」。それまで私も普通にしゃべっていたんですけど、急にドラマティックになっちゃって(笑)。「ううう~」って泣き出しちゃいました。
━━どんなお気持ちでしたか?
助産師さんがすぐに私の顔の横に息子を連れてきてくださったので、私が指を出したら息子がギュッとつかんでくれて……。あー、もう、たまらなかったですね! 思い出すだけで泣きそうです。ずっとお腹に向けて「回れ、回れ」と話しかけていたんですけど、無事に産まれてきてくれただけで感謝がいっぱいになりました。「ありがとう」と「よく頑張ったね」と声をかけました。実際、身体にへその緒が2周巻きついていたみたいなんですよ。それでもこの子は回ろうとしてくれていたんだろうなと思うと、「ごめんね、無理させたね」って。ものすごく愛おしくなりました。
━━そのときご主人(K-1ファイター卜部弘嵩さん)は、どうしていたんですか?
どうだったんでしょう(笑)? 立ち合い希望だったんですけど、帝王切開になったので分娩室には入れなかったんですよ。ずっと外で待っていてくれたんですけど、産まれたあとも泣き声がうちの子のかどうかわからなかったので「あれ?」と。「産まれましたよ」と伝えていただいて、ようやく実感できたと言っていました。
私はもう意識朦朧(もうろう)で。手術が終わったあとは部屋に戻って寝てしまったから、あまり覚えていないんですよ。帝王切開だったので、赤ちゃんも2時間くらいは保育器の中に入っていて会えなかったし。目が覚めたときに「あ、私、さっき産んだんだ」と思いました。
ある日突然母乳が出なくなり、パニックに
━━出産後につらかったことはありましたか?
なんだろう? 不思議と忘れちゃいますよね。ああ、あのころかな?
入院中は母乳がすごくよく出ていたんですよ。助産師さんにも「よく出るタイプですね」と言われてホッとしていたんですけど、退院してからある日突然、出なくなったんです。何回授乳しても全然出ないし、赤ちゃんもずっと泣いていて。
━━胸はパンパンにならなかったですか?
なりました。でも出ないので、結局粉ミルクをあげました。そうしたらすやすや寝てくれて。そのミルクをあげるまでが、本当につらかったです。母乳で頑張りたいのに、出ない。「よく出るタイプ」と言われたので、出ないはずがない。ホルモンバランスもおかしくなっていたのか、「あげたいのに~」とパニックみたいになっちゃって。手伝いに来てくれていた母も「ミルクをあげたら?」と言うんですけど、「お母さんにそんなこと、言われたくない! 私の子やから! ほっといて!」って。母を傷つけちゃったし母乳は出ないし、夫にも当たるしで……あのときが一番つらかったです。
ただミルクを飲ませて眠っている赤ちゃんを見ていたら、スーッと心が落ち着いてきて。そこからまた普通に、母乳が出るようになったんですよ。結局、ストレスだったのかな……? そこから母乳によい食事とかも、気にするようになりました。
まるで自分が自分ではなくなるような、産後の精神状態。似たような経験をしたママも多いのではないでしょうか?
次回は育児について、最近の様子をお聞きします。息子さんが将来「パパみたいな格闘家になる!」と言い出したら、どうするのでしょうか? 次回もご期待ください。
取材、文・鈴木麻子