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ママ世代が知っておきたい遺言を書いておく大切さとは? 親が亡くなった後の相続できょうだいと揉めないポイントも

yuigon
自分の死後の財産分配を言い残すための遺言。親が適切な遺言を残しておくことで、親の死後にきょうだい間でトラブルになったり親へ思い残すことがなくなったりすることもあります。一連の民法改正により、新しく「自筆証書遺言保管制度」が2020年7月10日に始まったことはご存じでしょうか。

ママ世代にとっては少し縁遠く難しい印象のある遺言について、ファイナンシャルプランナーの資格も持つ、三井住友信託銀行 人生100年応援部・品田英一郎さんにわかりやすく教えてもらいました。

遺言とは?何歳くらいから意識し始めるもの?

――遺言とは、どういった項目を書くものでしょうか。
品田英一郎さん(以下、品田):基本的には、現金、有価証券、金、不動産、車、宝石類など、遺言を書く人が保有しているすべての財産とそれらを渡す相手を紐づける必要があります。

もし遺言に財産の一部が漏れていると、その漏れている分の受け取りを巡ってトラブルになりかねないので、漏れがないように書かないと意味がありません。自分の財産の一覧化して整理する上でも、遺言はとても意義のあるものです。

――実際に遺言は何歳くらいから意識し始めるのがいいのでしょうか。
品田:一般的には、退職前後で考え出す人が多いです。お子さんがいないご家庭やご両親がまだまだ元気な方は年齢にこだわらず、個々のご事情に応じて考えていくといいと思います。

――遺言はどのように残されることが多いのですか?
品田:遺言の方式で主に利用されているのが公正証書遺言と自筆証書遺言です。

(編集部注:公正証書遺言は、公証人が遺言者の意図を正確にまとめたものです。自筆証書遺言は、遺言をする人によって遺言書の本文・氏名・日付のすべてを自筆して作成します。)

自筆証書遺言は、書き換えが簡単で費用がかからない一方で、形式の不備や不明確な内容といった問題が起こりやすく、偽造や隠匿、紛失の恐れがあるものです。また自筆証書遺言には裁判所による検認が必要で、これまで手続きに時間がかかっていました。

自分で遺言を書く場合に覚えておきたい「自筆証書遺言保管制度」とは?

――その自筆証書遺言に関して、「自筆証書遺言保管制度」が2020年7月10日に始まりました。制度の内容を教えてください。

品田:自筆証書遺言で書かれた遺言は自宅で保管されることが多いのですが、その遺言を公的機関である法務局で保管する取り組みが「自筆証書遺言保管制度」です。

費用は1件3,900円と、公正証書遺言よりも費用を抑えて法務局に遺言書を預けることができます。預けている間は閲覧や内容変更、撤回も本人のみ自由に行うことが可能で、閲覧の手数料は1件1,400円~1,700円です。相続発生時には相続人が遺言書の存在や遺言内容の確認を行います。このように自分で作成した遺言書について、コストを減らしてライフステージに合わせた変更を行いながら、法務局が遺言を保管してくれるのです。

――「自筆証書遺言保管制度」には、どんな利点があるのでしょうか。
品田:「偽造・変造・隠匿・紛失の防止」、「相続発生時の家庭裁判所による『検認』が不要になること」、「遺言書の存在の把握が容易になること」の3点が挙げられます。

これらの利点により、比較的若いときから遺言を作成することや自筆証書遺言の作成者を大幅に増やすこと、ひいては相続争いを未然に防ぐことのできる遺言を世の中に浸透させていくことが期待されています。

――新制度の利点に「偽造・変造・隠匿・紛失の防止」とありますが、どのようなケースがあるのでしょうか。
品田:たとえば自宅の引き出しなどに保管していた遺言を、本人が忘れたり認知症になって誰にも存在を伝えられなかったりするケースがあります。相続人の誰かが見つけたときに、「内容が気に入らないから」と勝手に捨てたり書き換えたりしてしまうケースも。これらは子ども世代のきょうだい間などにおける遺産相続トラブルの原因ともなり得ます。現状、遺産相続トラブルは富裕層だけではなく、幅広いご家庭でまんべんなく起こっているので、誰しもが他人事ではないことを知っておく必要があるでしょう。

遺言について親と話す必要があるけれど難しい、そんなときは……

――親と遺言について確認し合う上でどのようなことに気を付けたらいいでしょうか。
品田:遺言は認知症になってからでは書けないので、意思能力があるうちに遺言を作成しておくことは非常に重要です。ただ遺言について子どもから親に話を切り出すのは、とても難しいでしょう。そういう場合は、司法書士やファイナンシャルプランナー、信託銀行など、第三者である専門家からうまく言ってもらうことが効果的だと思います。信託銀行には遺言内容のアドバイスや遺言の執行だけでなく、遺言だけでは解決できない問題にも対応する商品もあるので、ご両親にとっても大きな安心材料になるのではないでしょうか。

実は子どもは知らなかったけれども、親が遺言について専門家と話しているという人も少なくないですし、親が自分の財産についてなるべく子どもに黙っておきたい人もいます。今回の新制度スタートをきっかけとして、親に専門家や信託銀行を紹介するだけでもいいと思いますよ。

また親の遺言内容についていろいろと確認しておきたい人もいるかもしれませんが、あまり深入りすると関係が拗れるなる場合もあります。「お父さんとお母さんに何かあったときに手続きできるようにしておきたい」と、親が取引している金融機関を聞いておいたり不安に思っていることを口に出したりするだけでも、親の死後を案ずる自分たちの気持ちを伝えることはできると思います。

――のちのち、親の遺言できょうだい間のトラブルが起きないためにできることはなんでしょうか。

品田:実は遺言があっても、その内容通りに従わなくてもいい場合もあります。相続人が全員合意する「遺産分割協議書」を作ることができれば、その協議書の比率で財産を分けてもかまいません。「親の遺言通りに分配する」と決めておくのか、「もし親の遺言が嫌だった場合、自分たちで決めよう」となるのか。これらをあらかじめ共通認識としてきょうだい間で持っておくことはとても大事になってくるでしょう。

遺言はご本人が今後に対してなにか心配事があって書くケースが多いので、ご本人がいなくなった後にその心配事が現実になることもあります。きょうだいが揉めない拠り所として遺言という存在があると認識した上で、親子間やきょうだい間で上手にコミュニケーションを取っていただきたいです。

子どもから親へ、遺言について切り出すのはなかなか難しいもの。新制度が、親子で遺言について話し合うきっかけになればいいですね。

取材、文・秋山悠紀 編集・しらたまよ

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