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発達障害の我が子と療育に通いはじめて気づいた、親の私への影響

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今年中学生になった娘は、軽度の発達障害です。困ったことがあるとフリーズしてしまうので「ボーッとした子」に見られがちですが、幼い頃は「自分の意図と違うこと」「予想外のこと」に直面すると「イヤー!」と絶叫しパニックを起こすような子でした。

娘が3歳になる頃、専門家から「このまま幼稚園に入ると、お子さんもお母さんも苦労しますよ。子どもの障害や特性に合った発達支援をしてくれる療育に通った方がいいと思います」と言われました。一般的に「療育」とは、児童発達支援放課後等デイサービスなどの発達支援のことを指しますが、10年前の私にとっては馴染みのない言葉。とりあえず見学に行った後、「正直よくわからないけど、まぁ娘が楽しく遊べる親子教室と思えばいいか」くらいのつもりで週に2~3回、親子で通うことにしたのです。

療育に通い、初めてのスイミングに大はしゃぎの娘

療育に通い始めてすぐ、市の福祉センターのプールを借り切って親子スイミングがありました。それまで上の子のスイミングを見学するだけだった娘は大喜び! 大人用のプールなので当然足はつかないのに、私の抱っこを振りきって一人で泳ごうとするほどの張りきりようです(笑)。そんな娘の様子を最初はほほえましく感じていた私でしたが、終了の時間が近づくにつれて不安が大きくなっていきました。

これだけ喜んでいるということは、プールが終わるってわかったら、またパニックを起こすんじゃないか……。

「あと何分で終わりでーす!」「時計の長い針が6のところに来たら終わりですよー!」。先生がときどき声をかけてくれましたが、娘の耳には全く届いていない様子。いよいよ終了の笛が鳴り、プールサイドに上がって体操をして、「さようなら」を言って……再びプールに入ろうとする娘を止めたとき、恐れていた事態となりました。

「もう入れない」と気づいた娘が「イヤー!」と絶叫し、プールサイドにひっくり返って大泣きしはじめたのです。

パニック状態の娘を前に、先生が言った予想外の言葉

「あー、やっぱり……」。私は次にどうするべきか考えました。「このまま抱きかかえて更衣室に連れていって、無理やりにでも着替えさせるか? それともちょっと落ち着くまで、このままプールサイドで泣かせながら待たせてもらうか?」。すると一人の先生が微笑みながら私たち親子に近づいてきました。号泣する娘に「あら~、もっと入りたかったのね。よっぽど楽しかったのね~」と声をかけた後、全く予想してなかった言葉を私に言ったのです。

「じゃあお母さん、娘ちゃんは私たちが見ておきますから先に着替えてきてください」

「え? 私、この場を離れていいの?」

……それまで娘がパニックを起こすたび、すべて私がひとりで対応してきました。泣き叫ぶ娘を置いたまま自分のことをするなど、当時の私には考えられない話だったのです。しかもふと後ろを向くと、わが子の手を引いて更衣室に向かうママたちが暴れる娘を見てニッコリ。「うんうん、イヤだよね~。もっと泳ぎたいよね~」「来週もまた一緒に泳ごうね~」と声をかけてくれながら通り過ぎていくではありませんか。

「ああ……、ここはなんて楽なんだ」

娘のパニックぶりに引くこともなく、なんでもないようにスルーしてくれたママたちの反応に心底ホッとしました。そんな自分に「私、意外とまわりの目を気にしていたんだなあ……」と初めて気付いたのです。

発達障害を当たり前のように受け入れてくれる場所。それは娘にとってだけでなく、母である私にとっても初めての経験でした。

ひとりで流す涙と、みんなで流す涙

当時通っていた療育先では、2~3カ月に1回、ママたちと先生の座談会がありました。みんなで円になって、ひとりずつ子どものことを自由に話すのです。

療育に通いはじめるまで「自分の子がおかしいのではないか」と悩んでいたこと、夫や両親から理解が得られず苦しんだこと、療育に通ってもなかなか子どもに変化がなくて不安だったこと……。語りながら感情があふれて涙を流すママも少なくありません。ときには他のメンバーももらい泣きしながら、静かに、そしてじっくりと互いの話を聞いていました。

話が終わった後には、先生が「〇〇ちゃんは通いはじめた頃はこうだったけど、今はこんなことができるようになったね」と子どもの成長を教えてくれたり、ママの悩みに応じたアドバイスをくれたり。きっとママたちは、これまでもひとりで悩み苦しみ涙を流してきたのでしょう。しかし今日みんなの前で流した涙は、孤独な闘いのなかで流した涙と違うんじゃないか……こころなしかスッキリとした表情になっていたママたちを見て、私はそう思いました。

療育では、「発達障害児あるある」を笑い飛ばせる仲間がいる

その後、我が家は転勤に伴い合計3カ所の療育施設を利用しました。規模やサービス内容はさまざまでしたが、どこの施設でも先生や保護者たちが一生懸命子どもたちと向き合っていました。そして子どもたちを遊ばせている間やお迎えで待っている時間に、他のママたちとのお喋りを楽しむのが私の定番となりました。「発達障害児あるある」は、療育と関わりのない子のママに話すと若干引かれてしまうものもありますが、療育先では気にする必要はありません。「この間、こんなことがあってさー」「あー、うちもあったあった! 参っちゃうよね~」とか、「学校の先生にサポートをお願いしたいんだけど、どう伝えたらいいのか……」「うちはこう伝えたら、対応してくれたよ」など、愚痴やら相談やらが入り混じるお喋りタイムです。今思い返すと、幼稚園や小学校のママ友にはなかなか話しづらいことも気軽に話せる貴重な時間でした。

通いはじめる前はまったく想像していませんでしたが、療育によって成長し救われたのは娘だけでなく母である私も同じでした。療育に「子どもが変わること」を期待するママは多いと思いますが、そのことだけにとらわれず、「ママの味方を作る場所」としても考えていいのではないか……今はそう思います。

文・千永美 編集・しらたまよ

※この記事は2020年7月に執筆しています。

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