【第6話】ある日突然、夫が失踪しました 〜「夫が帰ってきた、そのとき私が出した答えは」編〜
【第5話】からのつづき
子どもを連れて戻った北海道の実家ではいい未来が待っていると信じていましたが、現実は甘くありませんでした……。
ひとりで一から頑張ろうと決心したのに……なんでこんなにもうまくいかないんだろう……。子どもにも辛い思いばかりさせて……。「私は妻としてもダメだったのに、母親としてもダメなんだ……」子どもの前では泣かないと決めていたのに、目の前が涙でぼやけてきてしまいました。
すると突然……
母に子どもたちを預け、二人だけで話をしましたが、連絡もなく現れた夫の勝手な言い分……。到底許せるはずもありませんでしたが、初めて夫の本当の思いを聞いた私は……
頭を下げる夫を見ながら、私はバッグの中に入っている夫の携帯を握りしめました。
夫が出て行ってから、どんなに辛くても、毎日肩身離さず持ち歩いていたこの携帯。離婚届は渡せても、この携帯を義両親に渡すことはできませんでした。
この携帯を持っていれば、いつか旦那から電話がかかってくるかもしれない――
……そう、私は密かにずっと期待していたのです。
心の奥底で、まだ本当は夫と繋がっていたいと――
東京に戻ってから私も働きはじめ、毎日忙しくしています。もし今度同じことがあれば、次は迷うことなく夫を捨てるつもりでいます。言い換えれば、そのためのチカラを蓄えるためにも働いている……のかもしれません(笑)。
夫婦の問題に「答え」はありません……。夫婦の数だけ形があり答えがあります。今回私たちが出した「答え」が良かったか、悪かったかは、何十年後かに訪れるであろう本当の別れのときに分かるのかもしれませんね。それまでは、とことん夫と向き合っていこうと思います。
脚本・渡辺多絵 作画・Michika