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【日能研・小嶋隆さん4回目】子どもの学習習慣や中学受験が心配。親子で取り組むことは?

子どもの学習習慣や中学受験が心配
新型コロナウイルス感染症対策のため休校が続き、子どもたちの学習面の遅れを心配する声があります。なかでも受験生を持つママからしたら、「うちの子、大丈夫かしら」と心配になることも。そこで今回は、日能研関東の小嶋隆さんを迎えて、子どもたちの学習習慣の見直しと、得意科目や不得意科目との付き合い方について、お話してもらうことにしました。子どもの塾選びをサポートするサイト「塾シル」代表の古岡秀士さんの対談でお送りします。
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小学校のうちに‟地頭がいい子“をどれだけ育てられるかが勝負

古岡秀士さん(以下、古岡):日能研がほかの塾と異なるところはどこですか?

小嶋隆さん(以下、小嶋):「何をやらないか」を決めているところじゃないですか。多くの中学受験塾はその後の高校入試・大学入試までカバーするべく中学部門・高校部門を設けていますが、日能研では高校受験も大学受験も扱っていません。中学受験しかやらない、と決めることで、そこでしっかりと結果を出すことが求められます。結果と言っても、私たちは中学受験をゴールとは思っておらず、そこから先も伸びていく地頭のいい子どもたちをどれだけ小学生のうちに育てられるか。これを日能研の永遠のテーマとしています。
戦略には大きく分けて2つあって、「何をやるか」も戦略ですが「何をやらないか」も戦略だと思うのです。

中学受験は一度でいいから「合格体験」をさせてあげることが重要

古岡:中学受験に向いている子と向かない子の違いはありますか?

小嶋:向いている、向いていないというのはありません。中学受験に挑戦することはいいことですよ。この年代で目標に向かって親子で共に努力するという経験にはとても価値があります。

またもし受験をするのであれば、最低一度は合格の体験をさせてあげてほしいと思います。遊びたい盛りの子どもたちにとって中学受験は我慢を強いられる場面が少なくありません。親の中で「どうしてもこの学校に行かせたい」という希望があったとしても、そこに絞らず、本人が頑張れば手の届きそうなところも視野に入れる。頑張ったからこそ受かったという成功体験を積ませてあげてほしいのです。それが自信につながるのです。

苦手を克服するよりも得意な科目を伸ばして総合点をあげること

古岡:苦手な科目がある子はどうやって伸ばしていったらいいですか?

小嶋:これは結構難しいですね。1つ言えることは、完璧を求めないこと。苦手分野を伸ばすよりは好きなこと・子どもの興味関心の高い分野を伸ばす方が、効率はいいです。よく親は子どもの偏差値を気にしますが、偏差値なんて血圧と一緒で日々上下するものです。結果として伸びていけばいいので、目の前の数字に一喜一憂する必要はありません。全体を伸ばすためにも、できないことをやるよりできることを大きく伸ばしていく。その結果、総合点数が上がるならそれで大丈夫です。

毎日決まった時間に勉強を始めるなど、基本的な生活習慣を大切にすること

古岡:子どもが勉強するうえで大切なことを教えてください。

小嶋:毎日決まった時間にやることが大切です。たとえば、今日は学校が休みだからといってお昼まで寝るのではなく、あらかじめ「毎日9時に勉強をスタートする」「10時になったら運動をする」など計画を立てておいて、それを実行すること。

何時から何をするかを決めないと、どうしても本人にとって楽なほうを選択しがちです。休みの日などは特に1日何もしないで終わってしまうと思うんです。ですから、家庭内で話し合ってスケジュールを決め、それを実行する。

古岡:基本的な生活習慣をしっかり守ることですね。

小嶋:休みの前日は遅くまで起きているとか、休みの日にお昼過ぎまで寝ているというのは、あまりよろしくないと思います。ダラダラ過ごすのではなく、勉強する時間・遊ぶ時間を決める。それを実行することが大切ですね。先にも話しましたが、本人も交えて相談し、本人が実行できるスケジュールを組むことが大切です

受験まで約半年。モチベーションを維持するためにやるべきことは?

古岡:今年は新型コロナウイルス肺炎の流行があり、受験を控えた子どもたちはペースが乱れています。受験までのモチベーションの保ち方を教えてください。

小嶋:このような時期なので、なかなか学校見学に行くこともままならないと思います。本人の受験に対するモチベーションが下がらないよう、学校のホームページを見たり、学校主催のオンラインイベントに積極的に参加したりするなどして、「この学校は楽しそうだな」と感じるところを探す。それを念頭において勉強を続けることが大切です。

今は状況が状況ですので、この先のことを考えると心配なことも出てきます。それを踏まえたうえで、この状況をどう乗り越えるのか。しっかり親子で意見を出し合い、話し合う必要があります。

取材、文・間野由里子 編集・北川麻耶 イラスト・めい

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