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【地福武史さん第1回目】経済格差が教育格差へ。臨時休校で開いた子どもの学力差はどう埋めるべき?

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新型コロナウイルスによる臨時休校中、子どもの学習環境はそれぞれの家庭の状況によって異なりました。今後の学習の遅れや将来への影響はないのでしょうか? 株式会社スタディラボ地福武史(会員制難関受験専門塾エリオ代表)さんは「これまで各家庭で子どもの教育をどのように行ってきたかが休校中の学習に大きな影響を与えた」と語ります。子どもの塾選びをサポートするサイト「塾シル」代表の古岡秀士さんとの対談をもとに、今後の家庭教育について考えます。
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新型コロナウイルス感染症で子どもたちは大人以上に不安を感じている

古岡秀士さん(以下、古岡):新型コロナウイルスの影響により、長期間休校が続きました。今は再開された学校も多いですが、分散登校などで通常授業を行えない学校も多いです。地福さんは今の子どもたちの状況をどのように感じていますか?

地福武史さん(以下、地福):私は30年近く多くの子どもたちと時間を共にしています。大人の社会を見て子どもたちは世の中を知っていくので、子どもの洞察力は優れていますし、大人の言動をよく見ています。今、答えの見えない問題に世界中の大人たちが立ち向かっていることを子どもたちも感じているため、多くの子どもは不安を強く感じていると思います。その強い不安を解消していくために学校や家庭などの仲間が必要ですが、休校期間は人との交流が断絶されていたので、子どもたちの明るいポジティブさに陰りが見えたかもしれません。

この2〜3ヶ月を振り返ると、子どもにとって社会との接点は家庭しかありませんでした。これは非常に重要なことで、通常時なら学校、友達、地域社会、塾など、もっと接点は多いですよね。ここまで世界規模で家庭が全ての責任を負っている状況は見たことがないです。これほど家庭の役割が試された期間は
→みなさんにとっても初めてのことであったと思います。

学校教育の公平性というのは、事実上あってないようなもの

古岡:子どもの学習環境はそれぞれの家庭の状況によって異なります。学習の遅れや将来への影響はないのでしょうか?

地福:大いにあります。これまでどのように子どもに接してきたか。家庭によって子どもの学習環境にどれだけ時間と設備投資をかけてきたかということが、この臨時休校中の学習に大きな影響を与えたと思います。

たとえば新型コロナウイルスの影響が出る前からオンライン学習をやってきた子どもの場合は、臨時休校中もオンライン教育で学習を続けられますよね。また普段から学習習慣がついている子どもは臨時休校中も問題なく勉強できたかと思いますが、これまで学習習慣がなくゲームばかりしていた子どもは休校中にさらにゲーム三昧になった子もいるでしょう。

また、学校によってはオンライン教育に切り替えたところもありますが、インターネット環境や自宅に子ども自身が使えるパソコンがあるかないかで、オンライン授業を受講できるかできないかなども変わってきます。そんな環境の違いなどから、学習に遅れが出てきている場合もあると思います。

私たちが昔受けていた学校教育の公平性というのは、コロナ対応で学校が追われている今は事実上あってないようなものです。私が子どものころは、今に比べて経済格差は少なかったし、各家庭が子どもの教育にかけるお金も今ほど大きくはなかったように思います。現在は、学校教育によって公平性が保たれているといっても、実態は地方自治体によって大きく異なります。親の収入や教育に対しての意識の差、さらにいえば経済格差が教育格差につながっているとも言えます。所得の高い層は塾などの民間教育を積極的に活用しますが、低い層はそうもいきません。だからこそ今、行政と民間が協力して、さまざまな教育を取り入れるべきです。

学習の遅れによる詰め込みはNG。2、3年かけてじっくりと取り組むべき

古岡:今回の新型コロナウイルスによる影響を踏まえ、今後学校や家庭でどのような学習が必要だと考えますか?

地福:目の前の子どもたち、とくに休校期間中に勉強ができなかった子どもたちのことを考えると、本来やるべき学習内容を無理なくやっていくことです。そのために学校は学習プログラムを再構築する必要があります。大切なことは、詰め込まずやっていくこと。仮に2〜3年かかっても、丁寧にやるべきです。
ただ小学校6年生や中学・高校3年生などの受験学年はそうもいっていられません。私の息子も高校3年生で、今まさにほかの受験生と同じ立場です。

受験に関してはすでに文科省から通達が出ていますが、学校側は、受験生に対して可能な限りの配慮をしていくべきです。たとえば、総合型選抜(旧AO入試)、学校推薦型選抜(旧推薦入試)、指定校推薦の枠も含めて、新型コロナウイルスの影響を踏まえて選抜方法を工夫する。またインターハイや甲子園出場などの課外活動の成果についてもしっかりとした公正な対処を、国や地方自治体、各学校で公私問わずやっていくことが必要です。

今回の臨時休校は、子どもの学力格差に大きな影響を与えたかもしれません。今後は公平性を保つためにも、子どもの教育は各家庭にだけまかせるのではなく、家庭と連携を取りながら学校教育や社会全体で対処していくことが大切です。

取材、文・間野由利子 編集・山内ウェンディ

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