【繁田和貴さん第3回】算数の文章題が解けない。そんなときに大切なのはお母さんの「問いかけ力」
「我が子は算数が苦手」「算数を教えようとすると、つい怒ってしまう」というママも多いと思います。算数が苦手な子は、勉強方法を変えること、親のかかわりが大切だといいます。
個別指導塾「TESTEA」塾長の繁田和貴さんと、子どもの塾選びをサポートする「塾シル」代表の古岡秀士さんを通して、算数学習について教えていただきました。
算数の苦手克服は「わからない」ことを自覚することから
古岡秀士さん(以下、古岡):繁田さんは「算数」が苦手な生徒にもわかりやすく教えられると評判です。算数嫌いを克服するためにはどうしたらいいですか?
繁田和貴さん(以下、繁田):算数で大切なことは「きちんと理解した」という感覚をつかむこと。算数が苦手な子は、授業中に「なんとなくわかった」といった中途半端な状態で済ませがちで、それが原因で家に帰ってきて宿題をやっても解けない。その結果やる気をなくしてしまうのです。ポイントは「わからない」と自分で認識できるようになること。専門的な言葉ではメタ認知といいます。「わからないからあとで先生に質問して解決しよう」という意識を持つことが大事なのです。
そこで大切なのがお母さんの問いかけ力です。塾から帰ってきたら、お母さんが「今日はどんなことをやったの?」と聞いてあげるのがいいですよ。ただ聞き方にもコツがあって、「今日学んだことをお母さんにも教えてね」という感じで聞くこと。あくまでも「興味があるから教えて」という気持ちで聞いてあげることがポイントです。
文章題でつまずく子には「どうやって考えたの?」の問いかけが大切
古岡:算数は計算ドリルができても、文章題でつまずく子は多いですよね。
繁田:文章題を克服するには、やはり文章題での訓練が必要ですね。文章題が解けないのは問題に書いてある状況を把握して、どういう手順で解けばいいのかを考えるプロセスが成立していないから。わからないときは、図や表を書いて考えてみるのは文章題の基本です。
ここでも大事なことは、お母さんの問いかけです。お母さんが子どもに「どうやって考えたの?」「なんでそういう式になったの?」と問いかける。それで子どもから引き出してあげる。間違えているところがあったら「でもよく考えてみて。ここにはこうやって書いてあるよね。本当にそうかな?」と問いかける。この問いかけを繰り返すことで、子どもを「わかった」というところまで導いてあげる。そういう訓練が大切です。
古岡:図を描くといえば、オンラインだと立体の展開図がアニメ―ションで見られるからいいですよね。
繁田:まさに展開図みたいなものはオンライン授業が大活躍します。はさみと紙を使って展開図を作るのもいいですが、正直面倒ですよね。小学生が苦手にしがちな立体切断なんかもアニメーションで見せると一気に理解が深まりますので、そのあたりのオンラインの良さは今後どんどん活用していきたいところです。
算数が苦手な子、得意な子、それぞれにあった効果的な学習方法は?
古岡:繁田さんオススメの「算数勉強法」はありますか?
繁田:いちばんは、当たり前かもしれませんが習ったことをひとつずつ確実に理解するということです。算数は知識を積み上げていく形の教科で、基礎の土台がしっかりしていないと応用に取り組みづらいという性質があります。理科や社会のように「水溶液はダメだけど天体は大丈夫」「地理は苦手でも歴史で挽回」みたいなことが起こりづらく、例えば割合や比の基本がわかっていないとその後登場する多くの単元で苦戦することになります。
だから算数は個別指導のニーズが多いのです。わからなかったことを、ひとつずつ紐解いて理解していく。わからなかったことがわかるようになる。それによって解けなかった問題が解けるようになり、勉強がどんどん楽しくなっていくのです。
古岡:繁田さんの塾では勉強方法の改善を掲げていますが、子どもの特徴によって効果的な勉強方法に違いがあれば教えてください。
繁田:勉強が苦手な子には、まずは1学年下の問題集をやらせるなど、簡単なものでよいのでリズムよく正解できるようにしてあげてください。「できる」「わかる」という感覚、成功体験をたくさん積んで、自信をつけさせるのが大切です。
逆に勉強がよくできる子には鼻っ柱を折るような難易度の高い、正解率が低めの問題をやらせてみるのがよいでしょう。自信がある状態なので、多少のことではめげることもなく、難しい問題に挑戦する力が育まれるのです。
怒ってもなにも子どもの学力にプラスにはならない
古岡:お母さんたちからよくある相談のひとつに「子どもに算数を教えると、イライラする」という話を聞きます。繁田さんはイライラすることはありませんか?
繁田:もちろんありますよ(笑)。でもそこで怒ることはないです。なぜなら怒っても子どもは絶対に伸びないと知っているからです。子どもたちには諭す感じで問いかけてあげてください。「間違えた問題をそのままにしてたらもったいなくないかな?」「今度、同じ間違えをしないためにはどうしたらいいと思う?」といった形で問いかけてあげることが大切です。
もし子どもがつまずいたら、それは成長のチャンス。お母さんは、なぜ子どもがつまずいているのかを、子どもに寄り添う気持ちで一緒に考えてあげてください。「つまずくのには必ず理由があるはず。それは何だろう?」と、子どもを信じて見守る姿勢を忘れないようにしましょう。
取材、文・長瀬由利子 編集・北川麻耶
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