学校の臨時休業はいつまで?学校に登校できない子どもたちの学習指導について
学校の臨時休業中の学校再開はゴールデンウイーク明けになるのか、または延期されるのか、気になるところです。もし学校再開ができず休業が延びた場合、学習指導はどうなるのでしょうか? 学校再開後の授業の進度が早すぎてついていけないということにはならないのでしょうか。現在、オンライン学習を視野に入れた文部科学省の「GIGAスクール構想」なども併せて、文部科学省 初等中等教育局 教育課程企画室長 板倉寛さんにお話を伺いました。
もしもこのまま学校再開が続いたら、家庭学習は何をしたらいいの?
――学校再開は早くても5月6日以降になりそうですが、長引く可能性もあります。その場合文部科学省ではどのように対応していく予定でしょうか。
新型コロナウイルス感染症対策のため、学校の臨時休業などに伴い学校に登校できない場合、ポイントは2つあります。1つは、学習指導要領を踏まえて学校が課すプリントなどの家庭学習をしっかりと家庭でやっていただくこと。内容としては、予習を含めたものになった感じになるかと思います。
そのうえで、Eテレを始めとするテレビ放送、文部科学省「子供の学び応援サイト」に載っているICTや動画、または自治体によっては動画サイト等を作って教育コンテンツを配信してるところもあります。こういうコンテンツを活用しながら家庭学習をしていくことになります。
2つ目のポイントは、担任の先生などが各家庭に連絡して、子どもの状況把握や学習で困っていることがないかなどを確認することも大切です。
学校再開後、授業日数や学ぶことが増えて子どもたちがついていけるか心配
――学校が再開されたときの対応はどうなりますか?
子どもたちが学校に登校できるようになったあとの学習指導についてですが、こちらもポイントは2つあります。
まず1つは、学校で学習の遅れを取り戻すために補充授業などを行うことになると思います。また、場合によっては5時間授業の予定を変更して6時間授業の日が増えることもあることもあるかもしれません。また、学校の課した家庭学習、つまり宿題は例年より多くなる可能性もあります。こちらは学校ごとに対応がわかれるので、学校の方針に沿って対応していただければと思います。
――授業時間が長くなったり、宿題が多くなったりすると、授業についていくのが大変な子どもも出てくると思います。
その点については、しっかりとケアしていくことが大切だと考えています。そのため、先生の数を増やし、算数など教科によっては少人数制で生徒1人ひとりに丁寧に教えていける体制を整えていきたいと思います。
2つ目のポイントは、休業中に子どもたちに出した宿題を適切に評価すること。夏休みの宿題と一緒で、臨時休校中に学校側から渡されたプリント類は、子どもたちの学習評価に加味されることもあります。そのため休み中に学校から課されたものはきちんとやっていただくことが大事です。
「1人1台端末環境と通信ネットワーク」を整備。GIGAスクール構想とは
――いつまた臨時休業になるかわかりません。文部科学省としては、オンライン学習は検討されていますか?
文科省では、今全力で「GIGAスクール構想」を進めています。GIGAとは、「Global and Innovation Gateway for All」の頭文字をとったもので、意味としては全ての人にグローバルで革新的な入り口をといったことを指しています。
社会全体がグローバル化する中で日本の学校現場におけるICT教育環境は諸外国に比べ整備が遅れています。また、日本国内の自治体の中でも差が激しくなっています。この差が教育格差につながらないように、文科省としては子供1人1台パソコンを貸し出し、通信ネットワークを整備する方向で進めています。これをGIGAスクール構想といいます。
――パソコンを生徒1人ひとりに1台貸し出すのは、いつ頃から始まりますか?
今年度予算を取っているのでできる限り早く実現できるよう全力で取り組んでいます。セキュリティなどの課題がありますが、将来的には自宅に持ち帰って学習することができるように検討を進めています。
文科省としては、オンラインでの学習を推進することで、今後は現在のような状況でもすぐに対応できるようにしていきたいと考えています。
【編集部コメント】
休業が延長されたとき、学校が再開されたときの対策について、具体的な対応が見えてきたので安心しました。とはいえ、授業を再開した際に、進むスピードが早くなったり、宿題の量が増えたりと、子どもにとって負担が増すことが心配されます。教育先進国のオーストラリアなどでは4年以上前から公立の小学校で取り入れられているパソコンの貸し出しやオンライン学習。日本も一刻も早く整備をして自宅にいても学習を続けられるようにしてほしいと感じました。