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他人のモノを壊してしまった小学生の男の子が、とても誠実だった話

4年生の話1
ある日仕事から帰ると、ポストにこの手紙が入っていました。

『おたくのかびんをボールがバウンドしてわってしまいました。すいません。なのでちかいうちにあやまりにいきます』

と。

庭の方を見ると、割れたプランター。家の横が公園なので、どうやらそこでボール遊びをしていた子が誤って割ってしまったようです。
買ったばかりのお気に入りのプランターだったのでちょっとだけ腹立たしさがわきましたが、わざわざ謝りに来るつもりがあることには感心をしました。
何年生くらいの子なんだろう。

玄関に入ろうとすると、「あの!」と声をかけられました。

4年生の話2

そこには、緊張した様子の小学生の男の子。
「さっき手紙を書かせてもらったんですが、お宅の植木鉢を割ってしまいました。すみませんでした」
かなり緊張した様子ながらも、きちんと謝ってくれました。どうやら、手紙の主は帰宅せずにずっと待っていてくれたようです。

叱るべきなのか褒めるべきなのか判断がつかず、うまく思いを伝えることができませんでした。ただ本当は彼の勇気ある行動を讃えたかったのに。男の子が帰った後、自己嫌悪に陥って悶々としながら家事をしていると、私の母が実家にいた長女を送ってきてくれました。

母「さっきちょっとここに寄ったら男の子が来たんだけど、会えた?」

私「え!? なんで知ってるの?」

母が言うには、さっきの男の子はプランターを割ったことを謝るために我が家付近で待機していたのだそう。長女との待ち合わせ後、ランドセルを置くために鍵を開けて家に入ろうとした母を家主だと思って、声をかけてきたのだそうです。

「『私はここには住んでいなくて、家の人は18時頃に帰ってくるよ』と言っておいたけど、会えた?」と。

4年生の話3

(おそらく門限のため)直接会えないかもしれないと分かると、手紙を残すためにわざわざ隣の家に紙とペンを借りに行ったのだそうです。
その後、ギリギリまで……もしくは、門限をオーバーして待っていてくれたのかもしれません。できれば手紙でなく、直接謝りたいと思ったのでしょう。この日は私の仕事がたまたまいつもより早く終わったため、彼が帰るまでに、顔を合わせることができたのでした。

私はますます彼を褒めてあげたい気持ちになりました。どうしたらいいのか考え、幸い名前と学年は聞いていたので、学校に連絡することにしました。先生もすぐに対応してくださり、担任から児童支援専任の先生を通して、彼に私からの感謝の気持ちを伝えてくれたそうです。

公園の横に住んでいると、残念ながらちょっとしたいたずらやボールの被害に残念な気持ちになることもあります。しかしこの時の彼の誠実な言動には、大人の自分も見習わなきゃと思わされました。

男の子は当時4年生、現在は小学校を卒業しました。あのまままっすぐに育ってくれているといいなと願うばかりです。

文、イラスト・加藤みちか

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