保育士が教える!「モノをなくしがちな子ども」への対処法
小学校入学に向けて、子ども自身が持ち物を管理する力を身につけられるようになることは大切です。保育園では、子どもたちの持ち物管理についてどのようにサポートしているのでしょうか。「グローバルキッズ飯田橋こども園」園長の小松﨑珠美さんと、保育士資格を持ち保育園運営のサポートしている讃井素子さんにお話を伺いました。
子どもがモノを紛失。効果的な声のかけ方は?
――保育園の幼児クラスになると、クレヨンやのりなどを子どもたち自身が管理するようになると思います。とはいえ、まだ幼いため自分の持ち物をなくしてしまう子もいると思います。持ち物の管理はどのようにサポートしていますか?
グローバルキッズ:保育園では、子どもたちが紙コップや牛乳パック、画用紙などを使って工作をすることがよくあります。みんなで一緒にするときは「お道具箱に片付けてね」と言うので物がなくなることはないのですが、自由時間に遊んでいるときに片付け忘れて自分の持ち物が見当たらなくなってしまう子もいます。
遊びに夢中になっていると、つい元の場所に片付けることを忘れてしまいますよね。たとえば「先生、のりを使いたいけど、なくてできない」と言ってくる子もいます。そんなときは「諦めないで探してみようか?」と伝えるときもあります。
家庭だと「ここにあるでしょ」とお母さんが見つけるときもあると思いますが、保育園では敢えて「子ども自身が探して、見つけるのを待つ」ようにすることもあります。お母さんひとりだと、家事に仕事にと忙しいから、早く探し物を見つけていろんな事を済ませたいですよね。だから、お母さん自身が探してきて「ほら、あったでしょ。ちゃんと片付けないからよ」となることが多いと思います。
そんなとき、できればほんの少しだけ「どこいっちゃったかな?」と数分間だけでも一緒に探す、それを繰り返すだけで物を大切にする心ができてきます。それと、なくす理由が他にあるのかもしれません。お母さんと「一緒に遊びたい」とか「寂しい」とか「お話ししたい」とか。子どもの心に少しだけ気を配ることも忘れないでください。
「なくしたら大変だから、使い終わったらしまっておこう」と子どもが思う機会を作る
――「子ども自身に見つけさせる」ということが大切なのですね。
グローバルキッズ:「なくした物を諦めないで探す」ことで、子どもからしたら「あのとき、ちゃんとしまっておけばよかったな」、「使い終わったら片付けないといけないな」という気持ちがそこで芽生えてきます。その繰り返しです。一見、他愛もないことのように感じるかもしれませんが、子どもにとっては「大事なものをなくす」というのはすごくショックなことです。だからこそ探していたものが見つかったときは「ああ、よかったな」と思い、次から「なくしたら大変だから、使い終わったらしまっておこう」となります。
もちろん、1回で学んで次から片付けられるようになるというわけではありませんが、「物をなくす、探す、見つける、片付ける」ということを繰り返すことで、徐々になくす前に片付けるということができるようになってくると思います。
保育士は、何度か繰り返すことで子ども自身が片付けられるようになるとわかっています。だから待つことができるのです。家庭でも、子どもが物をなくした場合は、「諦めないで探してみようか」と声をかけて、一緒に探してあげる。そして、子ども自身に見つけさせる、ということをやってみてはいかがでしょうか。
保育園選びの際には、「子どもたちの持ち物管理はどうしていますか?」「子どもが使う物がなくなってしまったときはどう対処していますか?」などを、保育士に聞いてみるのもいいかもしれませんね。
取材、文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ イラスト・にゃほこ