国によっても違う?スーパーで泣き叫ぶ娘に困ったママに対する周囲の反応
小さいお子さんを連れてスーパーでお買い物する際は、周囲に気を使うママも多いのではないかと思います。子どもが店内を走り回ったり、お菓子を欲しがってダダをこねたり、大きな声で泣いたりしようものなら……
「親のしつけはどうなっているのかしら!?」
周囲から厳しい視線を感じることもあります。
確かに公共の場で子どもが騒ぐのは良くないこととわかっているし、迷惑にならないように注意しているけれど、それでもうまくいかないことってどうしてもあると思います。
スーパーでダダをこねる子ども、どうしたらいい?
お菓子が欲しいと子どもがダダをこねたら、子どもを静かにさせるために買ってあげてしまうのか、「ダメ!」と厳しく叱るのか、ダメな理由をひたすら説明し続けるのか、子どもに一切応じずに知らん顔するのか。
いろいろ対処の仕方はあるし、どれかが絶対正解、と決めることも難しいですよね。でも、実際にはどれをやっても、「親が悪い」と責められているような気分になることがあります。
3歳の娘と買い物中にあった出来事
ある時、3歳の娘と一緒にスーパーで買い物をしていた時、買い物カートの子ども用シートに座っていた娘が
「降りる!」
と言い出しました。カートに乗せられているより、自分で自由に店内を歩きたいみたいでした。筆者としては困ります。勝手に歩いて行かれてしまうと買い物は進まないし、筆者自身は大きなカートを押しているので自由に歩き回る子どもについて行けそうにありません。
「ちょっと今はここに座っていてくれる? もうすぐ買い物も終わるから。そうしたら降りていいからね」
聞き分けがいい日はわかってくれることもあるのですが、この日は機嫌が良くなかったため全く引き下がらない娘。
「イヤだあ、降りるー!」
と大きな声で泣き始める始末。泣き始めると回復までには結構時間がかかる娘。スーパーの中でこれはマズイと焦っている筆者は、
「もう早く行こう。お買い物すぐ済ませるから」
となだめてみようとしましたが、頑固者の娘は話をそらそうとする筆者の手の内を見透かしたのか、断固拒否。降りたいと本格的に泣き始めました。
おばあさんの素早い対応に泣き止む娘
その横で、スーパーの店内には似つかわしくないすばやさで動く人影があったかと思うと、それは筆者の母よりも大分年上と見受けられるグレイヘアのおばあさんでした。
「ほら、これどうぞ」
バナナを娘に差し出してくれました。その動作は子どもの泣き声に条件反射で動いているようで、素早かったです。
知らない人から急にバナナを渡されてキョトンとしている娘。思わぬ出来事に泣くのも忘れてしまったようです。
「あ、ありがとうございます」
私もどこからそのバナナが出てきたのかよくわからず、戸惑っていましたが、知らない子であっても子どもが泣いているのをなんとかなだめようとしてくれるおばあさんに感謝しました。
おばあさんだけでなく、周りにいたほかの買い物客の人たちも、気にしていないように見えましたが、一瞬ホッとしているような空気が流れました。
子どもが泣いている時、ママやパパに向かって
「親は何やっているの? 子どもを静かにさせて!」
という視線を向けられるのと、子どもに向かって
「かわいそうに、どうしたの?」
と声をかけられるのとは、大きな違いです。
子どものためのバナナ
そしておばあさんがくれたバナナは始めは売り物だったのか分かりませんでしたが、実はスーパーの青果売り場の隅に子ども用のバナナとみかんが置かれていたのです。
「小さいお子さんのために1人ひとつ無料。ご自由にどうぞ」
と張り紙がしてあります。バナナはお店が用意してくれていた物だったのです。親だけでなく、周囲のお客さんもお店の人も、みんなで子どもを大切に思うやさしさを感じました。
子どもが食べるために無料の果物を置いているスーパーなんて、どこにあるの? と思われる方もいるかもしれません。これはオランダでの話です。もしかしたら、日本では店内での飲食自体が「お行儀悪い」ことで受け入れられないかもしれません。
でも、子どもへのやさしさが、オランダでも日本でも、どこにいてもたくさん感じられるといいな、と思います。
文・野口由美子 編集・山内ウェンディ