妊娠中に母がガンで旅立った……万全の準備をしたお葬式体験談
妊娠中、お葬式に出なければいけないことになれば、あなたはどうしますか?
「葬儀に出ると死者の霊がお腹の赤ちゃんを連れて行ってしまう」とか「火葬場に行くと赤ちゃんにあざができる」といった迷信を聞いたことがあるかもしれません。しかし、訃報は急にやって来ます。
遠い親戚など、あまり交流が無かった人のお葬式は「妊娠中なので」と言って断ってもいいと思います。特にご年配の方は「妊娠してるの? じゃあお葬式は出なくていいわよ」と言ってくださったりします。実際問題、葬儀会場は寒く、立ちっぱなし、座りっぱなしが多いので、妊婦にとっては過酷ですしね。
問題は、親しかった祖父母や、自分の父母や兄弟姉妹が亡くなった場合。どうしても自分が出たいお葬式の場合です。しかも、地方から上京した人は葬儀会場が遠方だったりして、本当に悩みますよね。
ちなみにマタニティ用喪服のレンタルは着終わったら袋に入れて、伝票を張り付けて近所のコンビニから返せるので、便利でした。
初日の夜がお通夜で、翌日午前が告別式、午後に火葬、という順番でした。しかし、お通夜が終わったその日の深夜。下腹部がジワジワと痛み出しました。
(何だろうこれ……危険な腹痛かな……よくわからない……でも明日は絶対火葬まで付き添いたいし……どうする? 無理して頑張る? それとも大事を取って安静にする?)
一晩悩み、夫とも話し合った結果、告別式だけ出て、火葬は欠席する事にしました。お母さんが骨になって出て来た瞬間、出血して倒れて救急車……なんて事になったら、まさに大惨事。周りにとんでもない迷惑がかかります。何よりも、赤ちゃんに万が一の事があったら、お母さんに顔向けできません。
それから3か月後。とても元気な女の子が生まれました。お母さんはあの世で「それで良かったんだよ」と言ってくれているに違いありません。
妊娠中にお葬式に出る事になったプレママさん、くれぐれも無理しないでください。自分の身体に細心の注意を払いながら、慎重に……体調次第では、欠席する勇気も持ってください。大丈夫です、葬儀を欠席することになっても元気な赤ちゃんを産む事が、亡くなった人への供養にもなりますから。
脚本・大島さくら イラスト・水戸さゆこ