平 愛梨:第4回「私の前を歩く、父によく似た後ろ姿を見て“この人なら、きっと大丈夫”と思いました」
プロサッカー選手の長友佑都さんと2017年に結婚したタレント・女優の平愛梨さん。それまでは芸人の三瓶さんと3人で食事をすることが多かったそうですが、「30歳だから、がんばろう!」と、長友さんとふたりきりのデートにのぞんだそうです。そこから結婚に至る道のりは、とてもロマンティックなものでした。
伝えずにはいられなかった好きという気持ち
――おふたりが結婚に至るきっかけが、勘違いからだったということを伺いましたがどういうことでしょうか?
初めてふたりきりで食事をしたときに、会話の中で「俺についてきて」って言われたんですよ。言われた瞬間に私は“赤い扉と青い扉、どっちを開けるのか!?”みたいなテンションになってしまって、勢いで「はいっ!」って答えたんです。それで、ついて行った先がカラオケボックス。たしかに考えてみると話の流れの中に「歌うのが好きだ」とか「久々に歌いたいな」という言葉があったんですけど、要は「カラオケボックスについてきて」ってことだったんですね。私は勝手に“この人の人生についてきて、ってこと?”って勘違いしちゃったんです。カラオケについてきて、そういう意味だったのか……って(笑)。
そこで歌ったりする中で「俺は明日、帰らないといけないからね」と言うので、「どこに?」と聞いたら「イタリア」と。今日はこんなに楽しかったのに明日はもういないんだ……って思ったら、一瞬で悲しくなっちゃったんですよ。それで勢いのまま「好きになっちゃいました!」って伝えました。
――その「好きになりました」のお返事は?
「えっ!」ですよね(笑)。「俺も次につきあう人とは結婚を考えたいから、まずはお互いのことをもっと知ってからにしよう」と言われたので、「わかりました」と。そのカラオケボックスで、もう帰るかと聞かれたので、「あ、先に帰ってください」と言って先に帰ってもらい、ひとりになった部屋でワンワン泣いちゃいました。そのあと店員さんに「あの……そろそろお時間なので、いいですか?」って、声をかけられて(笑)。
泣きながら帰って三瓶さんに電話すると、三瓶さんからも「大胆だな!」ってびっくりされたんですけど、でも「あの人は絶対にいい人だと思うから、大丈夫だよ」と言われました。
――またも三瓶さん(笑)。涙の理由はなんだったんですか?
後悔というのではないんですけど、そんなことを言っちゃった自分に対して“私、何をやってるんだろう?”っていう気持ちです。これで気まずくなったらイヤだなという思いもあったんですけど、彼がイタリアについてからすぐに連絡をくれたんですよ。「もっとお互いのことを知ろう」と言ってくれて、そこから毎日テレビ電話で話すようになりました。
彼の男らしいところや歩き方が父親と重なりました
――ご主人のことを「いいな」と思われたのは、どんなところだったのですか?
たぶん、父に似ていたんだと思います。男らしいところもそうだし、「俺についてきて」って言われてついていったときの後ろ姿、歩き方がすでに父と重なっていて。私は常に「お父さんがおるから、心配するな」と言われて育ってきたんですけど、それと同じものを感じたんですよね。“この人がいたら、大丈夫だ!”と思いました。
――最初から、結婚前提のおつきあいだったということですね。婚約会見で流れたので、プロポーズのシーンをよく知る読者の方も多いと思います。壮大なサプライズでしたよね。
あのときはまだ私も忙しくお仕事をしていたので、イタリアでは2泊しかできなかったんですよ。あちらのご家族もみんないて、「今日は家族が見学に来るし、俺がどんな仕事をしているか、愛梨も見る?」と言われたので「見たい!」とスタジアムに出かけたんです。動画は「仕事の資料として撮影するから」ということだったんですけど、彼のお兄さんが「来て! ピッチの真ん中に立って、佑都がどんなふうに感じているか、自分でも感じてみて」と言うので行ってみたら、真剣な表情の彼が来て……。
――日本中に流れたシーンですよね。
あのときは本当にびっくりしたんですよ。ドラマでも、プロポーズされて「ええっ!」っていうシーンがよくあるじゃないですか? 実際も本当にそうなるんだなというのが、よくわかりましたね。
「照れ」がない彼は“外国人”のよう?
――そういうことも、真正面からやってくださるわけですよね。
そうなんですよ。どうも“照れくさい”という気持ちがないみたいなんです。私は、主人は“外国人なんだ”と思ってます。まわりに主人のスタッフさんや知り合いがいても普通に手をつなぎますし。私もだんだんそれが普通になってきました(笑)。
――以前は照れくさい気持ちもあったんですか?
ありましたよ。だって自分の両親の前で手をつなぐとか……すごく恥ずかしいですよね? でもまったく当たり前のようにやるので、私もだんだんと慣れてきました。
日本人にはシャイな男性も多いので、愛情をストレートに表現できる男性がうらやましく思えることもありますよね。
続く次回は、愛梨さんのマタニティーライフのお話です。ある意味憧れがかなった妊婦時代であり、つらく重い日々だったのだとか。ぜひご覧くださいね。
取材、文・鈴木麻子 撮影・泉 三郎