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”やる気がでるスイッチ”が入ったきっかけは”迷路”だった! 私が年中の子どもから教わった「自信をつける」秘訣

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筆者が塾講師として年中のOくんを教えていたときのことです。いつも泣きながら教室にやってきて、課題にも消極的。そんなOくんがみるみる自信とやる気を膨らませ、自ら学びの幅を広げるようになっていくのを目の当たりにした事例をご紹介します。

「難しそうだから、やらない!」の壁

幼い子どもたちにとって、多くの学びは「初めての経験」です。やってみないとできるかどうかわからないし、上達するにはできるまで練習するしかありません。大人にとっては“練習すれば誰だって上達できる”ことでも、子どもが「難しそう」「できなかったら嫌だし、恥ずかしい」と思っていては、なかなか一歩が踏み出せないでしょう。
「どうせできないもん」と挑戦さえしない子と、「できるかもしれないから、やってみよう!」と積極的に行動する子とでは、後者の方がぐんぐん伸びていくことは言うまでもありません。教育現場では「わが子に積極的になってほしい!」と相談をいただくこともしばしば。躊躇している子を前向きにさせる方法はあるのでしょうか。

迷路がきっかけでどんな課題にも積極的になれた年中のOくんの事例

年中のOくんは“力はあるのだけれど失敗を見られたくないから自分からは挑戦しない”タイプでした。自信をもってできることだけは頑張りますが、新しい挑戦は苦手だったのです。塾で新しい課題に挑戦する際には、やり方を説明している途中から涙がじんわりと滲み、

「べつのがいい」
「かえりたい……」

と心の叫びが漏れているような状態でした。

子どもを変えたのは大好きな「迷路」。子どもの”やる気スイッチ”が入った瞬間を見逃さないで

そんなOくんを変えたのは、毎回行っていた「迷路」の課題でした。迷路が大好きなOくんはある日

「こんなの、すぐにできちゃうもん!」

とページを見た瞬間に素早く鉛筆を握り、張り切ってスタートしたのです。そして一番にゴールにたどり着くことができました。

「迷路」の課題に嬉々として取り組み、結果を出したOくんの様子を見ていて、Oくんは迷路で変われる! と筆者は感じました。そのため毎回

「一瞬で道が見えちゃうなんて、すごすぎる!」
「今日はレベルアップ迷路だよ。これができたら天才!」

と声をかけました。するとOくんが

「ぼくはこれ、できちゃうよ! だって迷路の天才だもん!」

と、毎回ものすごい気合いで迷路に取り組むようになりました。迷路は試行錯誤に最適な課題です。「失敗したって、大丈夫。行き止まりになったら途中まで戻って別の道に行ってみよう
。必ずゴールできちゃうよ」
と伝え続けました。
すると、クラスで“迷路といえばOくん”という英雄的な存在にまでなっていきました。Oくんは迷路の時間になれば目が輝くようになったのです。その頃から、他の課題でも

「ぼくはてんさいだから大丈夫!」
「できなかったら、別の道(方法)」

と積極的に取り組むめるようになったのです。気づけばOくんは、教室に走ってやってきて、早く新しいことに挑戦したいと闘志をメラメラ燃やすほどの積極性を身につけていました。

一つの自信は次へとつながり、広がっていく。きっかけはどんなことでもいい

Oくんは「迷路」でしたが、子どもによって活躍できる場面は異なるでしょう。ひらがなやカタカナを上手に書けるようになることで読み書きを中心にぐんぐん知識を増やす子や、自由な創作をきっかけに自分を表現することに自信をもつ子、数を数えることや電車の駅名を覚えることに没頭してその道の天才と呼ばれるようになる子などそれぞれの個性や才能があるはずです。どんな分野でもその部分でしっかり自分に自信をもち、やればできると実感した子は、他の分野にもその自信を広げるようになっていくのではないでしょうか。

できた瞬間が大切。その場で認めることで挑戦意欲が膨らむ

今できることをしっかり認めることが、その子の学習意欲を高めるスタート地点となるでしょう。あれもこれもできるようになってほしいと親は考えてしまいますが、ぐっとこらえて一つのことを自由自在に、皆に認められるほど立派にできるようになるまで没頭させてあげましょう。誰もが認めるほどに得意になると、その子にとっての大きな自信に変わり、別のことにも挑戦できるようになっていきます。

我が家でも「はやくちことば名人」が育ってきていますが、今後どんなふうに広がっていくのか、とても楽しみです。

文・Nao 編集・しのむ

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