家計簿は手書きとデジタルどちらがいいの?「家計管理」のコツとは
人生100年時代。子どもの教育費だけでなく、自分たちの老後資金も考えなくてはならないように……。ますます「家計管理」が重要になってきましたよね。しかし、無理のある「家計管理」はおよそ長続きしません。ストレスや節約疲れを起こさずに「家計管理」ができる方法はあるのでしょうか? さまざまな家庭の家計相談を受けているFP(ファイナンシャルプランナー)海老原政子さんにお話を伺いました。
家計簿をつける際は手書きとデジタルどちらがよい?
――手書きとデジタルはどちらがいいですか?
海老原先生:個人的には手書きのほうが、書きながら考え、支出を意識できるのでおすすめです。ただ、手書きが苦手な人、逆に仕事柄ネットが得意な人なら家計簿アプリなどデジタル管理でもOK。たとえばエクセルファイルで家計管理している相談者も実際に多いです。どちらがどうとは言えないのですが、見やすくて振り返りの時間を作れるのであればどちらでも構いません。
――食費や住宅費など、費目はいくつに分けるのがいいのですか?
海老原先生:ご家庭にもよるのですが、住居費、車関係、光熱費、食費、その他生活費、あとは通信費、被服費、医療費、保険料、夫婦のお小遣い。子どもがいる場合は保育費、塾・習い事代くらいです。
費用の目安は気にしない!各家庭の「こだわり支出」を守ることが家計管理のコツ
――各家庭の収入によると思うのですが、食費などの平均的な額などはどのように算出すればいいのですか?
海老原先生:周りが気になるのはもっともだと思うのですが、平均を元にした支出目安にはほとんど意味はありません。国の統計データもありますが、参考程度。あまり相談の現場では使っていません。というのも、目安以前に、手取り収入の範囲で家計やりくりをするというのが大前提。ご家庭によって収入の動きも違えば、家計支出で「何を大事にしているか」がまったく異なるため、平均、平均で話しても行動変化につながらないからです。
たとえば多忙なお父さんが大トロの刺身を週に1回食べるとして、それを楽しみに日々の仕事をがんばっているのに大トロを赤身に節約してしまったら仕事へのモチベーションは下がってしまいますよね? ですので、まずは大事なものか我慢できるかを考え、「こだわり支出」と「こだわり支出でないもの」に分けるところからスタートします。そのうえで「こだわり支出でないもの」から減らしていきます。一度経験すると、「あれを減らしても意外と苦にならなかったから次はこれをやめてみよう」、という形で続けていけますよ。
――家計を見て、あまりに突出している費用はどうすればいいのでしょうか?
海老原先生:食費が5万円だったところを急に3万円に減らす、というのはおそらく無理ですよね。食費は諦めて、たとえば住宅ローンを見直して、格安スマホに変えて、生命保険を手直しして……2万円出費を抑えられれば食費が5万円のままでも大丈夫。家計全体で黒字になればいいと考えています。
家計管理はやり続けないと意味がないどころかリバウンドしてしまい元の木阿弥になってしまうことも。できる限り今の延長線上の行動、楽にできそうなことをアドバイスするようにしています。
「家計管理」は長く続けることで結果が出てくるもの。家族みんなが納得できる方法を見つけることが大切です。賢く「家計管理」して、メリハリのある家計になることが理想なのかもしれません。