子どもが矯正歯科治療を始めたら、ママが気をつけたいこととは?
子どもの歯並びが気になり矯正歯科治療を考えているママの中には、矯正装置をつけてからの生活を想像しづらい方もいることでしょう。実際に子どもが矯正歯科治療を始めたらどんなことに気をつけるべきなのでしょうか? 矯正歯科専門開業医の団体である「公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会」専務理事の土屋朋未先生にお話を伺いました。
矯正歯科治療中に気をつけたいのは、糖分の多い飲み物
――治療を始めたら、親としてどんなことに気をつければいいでしょうか?
治療中気をつけたいことはまずは歯磨きですね。お母さんがチェックできる年齢ならしっかりチェックしてください。また、ワイヤーが入っている場合は食事がしにくいので、固いものや粘着性のあるものは避けるように言っています。お弁当などのおかずは小さく切ってあげてくださいね。
目を離すと危ないのは飲み物です。部活などをやっているとよく飲むのがスポーツ飲料です。子どもは大好きで、しかもからだにいいものだと思っている方が意外と多いのです。スポーツ飲料は病気などでエネルギーが欲しいときには糖分なので有効ですが、口腔内環境としてはむし歯の元以外の何者でもないのです。冷たいものは甘みを感じにくいんですよ。だから清涼飲料水はガバガバ飲めるのです。でも糖分がたくさん入っているので、歯磨きをしないと糖分が口に停滞してむし歯を作りやすい環境になります。普段から飲むならお茶かお水にするようにお伝えしています。
スポーツや楽器は矯正歯科治療中も問題ない
――矯正装置をつけていても、スポーツや楽器の演奏はできますか?
取り外しのできる矯正装置なら、スポーツや楽器をする際には、取り外した方がいいでしょう。逆にワイヤーの場合は取り外しできないので、基本的にはつけたままでも大丈夫です。オリンピック選手やJリーガー、プロ野球選手などもつけたままやっていますので大丈夫です。ただ口にボールが当たると痛いです。スポーツによっては、例えばラクロスなどは必ずマウスガードをつけることになっているので、その場合は必ずつけてくださいね。ボールが当たることを気をつければ多くの場合は大丈夫です。
楽器の場合は今までうまく吹けていた人が矯正歯科治療を始めると下手になったと感じることがありますが、だんだん吹けるようになります。慣れてくるんですね。特に管楽器の場合は唇の形によって音の高低を出しているのですが、ワイヤーがあることでできなくなったように感じますが、そのうちできるようになってきます。
矯正歯科治療は年齢が若いほど痛みが少ない
――歯が動くときの痛みはどの程度ですか?
個人差はありますが、矯正歯科治療は若いほど痛くありません。子どもは大人に比べて骨が軟らかいので、耐えられないほど痛いことはあまりないですよ。どんなに痛がっていても1週間から10日みれば痛くなくなると思います。それが力による痛みです。
他には頬の内側の粘膜にワイヤーやブラケットがあたって口内炎のような痛みがあります。それは治るまでに1カ月ぐらいかかるかもしれないです。痛そうなときには柔らかいものを小さく切って食事に出してあげるといいですね。
取材、文・山内ウェンディ 編集・横内みか イラスト・おんたま