子どもの矯正歯科治療で選べる治療方法は?子どもが楽しくなる装置も
子どもの歯並びが気になり矯正歯科治療を始める際には、どのような矯正方法があるのでしょうか? またどのような流れで治療するのでしょうか? 矯正歯科専門開業医の団体である「公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会」専務理事の土屋朋未先生に治療の流れや矯正方法について伺いました。
矯正歯科治療の流れは?
――矯正歯科治療はどういう流れで進められるのでしょうか?
治療の流れはこのようになります。
⑵精密検査
⑶診断
⑷歯磨きの練習
⑸治療開始
矯正歯科治療を考えている場合はまず最初に「相談」しますよね。その後で「精密検査」をして、レントゲンや歯型、咬み合わせの記録をとったり、場合によってはあごの動きを記録したりします。精密検査の後、検査結果を元に問題点を抽出して治療計画を立てます。その後に「診断」の日があって、そこで検査結果と治療方針をお話しします。その方針に納得していただけたらいよいよ「治療」に入ります。
その後治療を開始するのですが、いきなり矯正装置を入れるとむし歯の問題が出てきます。今まで何もないところに装置が入るので、むし歯のリスクが高くなりますよね。だから最初に「歯磨きの練習」をやります。今の状態で磨けるようにしておかないと、何か装置が入ったときに磨けませんので、歯磨きの練習をしてから矯正装置をセットするという流れになります。
乳歯が残っているか、永久歯に生え変わったかで治療法が異なる
――どのような治療方法があるのでしょうか?
乳歯が残っているときの治療法は取り外しのできる矯正装置を使うことが多いです。ワイヤーでつなげる矯正歯科治療は歯が全部永久歯になってから始めますので中学生ぐらいになってから。早い子だと5年生ぐらいでつけられる子もいます。
ブラケットの素材やカラーが選べる矯正方法
――今主流となっている矯正方法は何でしょうか?
永久歯になったらワイヤー矯正が主流で、歯の表面にブラケットとワイヤーをつけるのが、最も一般的な矯正方法です。
ブラケットの部分を材質によって選ぶことができます。なるべく目立ちたくない場合、白いセラミックのブラケットを選ぶ方もいますが、お茶碗に使われる材質でかけやすく壊れやすいという点があります。また歯よりも硬い材質なので金具に当たると歯が削れることがあります。
もう一つは透明でプラスチックのものがありますが、こちらはセラミックや金属のブラケットに比べ、ワイヤーの力が十分にかけられないことがあります。
もっとも目立ちますが、金属のブラケットは歯よりも柔らかい材質なので歯が削られる心配はないのです。
ほかに歯の裏側(舌側)にブラケットとワイヤーを装着する矯正方法もありますが、裏側からの治療は、やっているところとやっていないところがあるので確認が必要です。歯の内側に矯正装置をつけることで舌が痛いという点はあります。また人から見えない分、歯磨きを頑張らないといけないかもしれません。
矯正は楽しくポップに!カラフルなゴムを装着して矯正を楽しむ
――矯正することで口元が目立つことに抵抗があるお子さんもいます。
子どもの場合は人と違うことで恥ずかしいと思う子もいるかもしれませんが、私の歯科医院では逆にブラケットにカラーのゴムを使って、矯正を楽しもうというものもあります。
このゴムの色が40色ぐらいあるので、毎回好きな色を選んでもらいます。私は個人的には金属のブラケットでカラフルなゴムをつけるのをオススメしています。矯正をしていることが恥ずかしいと思わないような文化が日本に根付いてほしいと思っているからです。ポップな感じで楽しいじゃないですか。結局矯正をしていることは見えているので、目立つなら思いっきり目立っちゃえ! 矯正やっていていいでしょ! みたいに考えていけたらいいですよね。
取材、文・山内ウェンディ 編集・横内みか イラスト・おんたま