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生活費のしわ寄せが食費に響く。「こども宅食」を利用したママたちの声

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2017年7月、文京区でスタートした「こども宅食」。親が病気がちで働けない、母子家庭で収入が安定しないなど、生活が厳しい家庭に対して、行政とNPO法人など民間企業が2カ月に1回、食品などを届けています。支援スタートから約1年がたち、「こども宅食」を利用している人がどんな生活をしていて、食品を受け取ったことでどのような変化があったのでしょうか。リアルな声をご紹介します。

文京区に自宅があるとはいえ、豊かな世帯ばかりとは限らない

文京区といえば、東京都の中でも平均所得が高く、裕福な世帯が多いエリアです。ただ実際には、1000世帯近くの人たちが貧困状態にあるとされています。当事者以外の人から見たら「引っ越せばいい」という声が聞こえてきそうですが、引っ越しをするのもお金がかかります。また、古くから住んでいる人の場合は、自宅がたまたま文京区にあったということで、文京区に住む人みんなが裕福な世帯というわけではないのです。

『古い家のため、子どもたちにアレルギー発症があり心配。でもお金がないので引っ越せない』

『塾に通わせる余裕がないので、毎日、勉強を教えている。毎日、自分がクタクタで家の仕事がたまる』

『教育費や固定費以外で、節約できるのは自分(親)にかけるお金かなと思い、夕食は子どもの分しか作らない』

『夫も私(妻)も不安定な仕事の仕方なので、収入が途切れることが数年に何度かあり、生活費や教育費がとても心配。現在、社宅に住んでいますが、とても古く狭いため、子どもたちが大きくなったときどうしたらいいのか』

貧困層と知られたくない。「こども食堂」を利用できない世帯も

近年、注目されている「こども食堂」。低価格で栄養のある食事が食べられたり、子どもだけで通えるなどのメリットがあり、貧困世帯支援の1つとして注目されています。文京区にもいくつかの「こども食堂」がありますが、利用する人によっては利用することすらためらわれるという声があります。

『こども食堂など行きたい気持ちはあるものの、子どもまでかわいそうな目で見られ、レッテルを貼られるのではないかと心配になります。また、申し訳ない気持ちもあり、行くことができませんでした。(近所の人に気づかれず、自宅まで食料を運んでくれる)支援はとてもありがたいです』

『最近、こども食堂の活動を知りました。子どもが一人で食べに行ければ私も安心なのですが、家から出られない様子で学校も行けていません。宅配にしていただけると嬉しいです』

「優しさをもらえて母子ともに感謝」。利用したママたちの思いは?

こども宅食をスタートする際に、文京区の成澤区長がお話しされていたのが「食料を届けるのは手段。本来の目的は利用者とのつながりを深めること」ということ。利用者アンケートや、宅配を請け負う業者の方を通じて届いた、利用者の声をお知らせします。

『約一年の別居を経て、先月よりひとり親家庭となりました。2人の子どもを抱え、10年ぶりの復職に不安が募る日々でしたが、都会の真ん中でもこういった取り組みが行われているということに、心強さを感じることができました』

『精神疾患がきっかけで休職しており、食品を届けてもらえて大変助かります。無料でいただけることに躊躇もしましたが、優しさをもらえて母子ともに感謝しています。配達の方も優しくとても安心しました』

『先日、第一回目の宅食を受け取り、子どもも大喜びで、さっそくおいしくいただいております。生活費のしわ寄せが食費に響いてしまうことも多く、とてもありがたいです』

『配達の方も何かお困りのことがありましたら、とお声掛けくださり嬉しかったです。新米が入ってるお心配り、試したことない食材は頂くのが楽しみです。お菓子も、子どもが喜んでいますので、我が家にはすべて来てよかった食材です』

シングルマザーとして働きながら子どもを育てているママや、病気によって働けないママなど、支援を必要としている人たちはまだほかにもたくさんいます。文京区でスタートした「こども宅食」ですが、現在は佐賀県でもスタートしています。「こども宅食」という事業を通して、親子が笑顔になれる活動を全国に広げていきたいと思います。現在「こども宅食」の財源は、企業からの食糧支援や寄付、「ふるさと納税」によってまかなわれています。一人ひとりの力は小さくても、各個人ができることを考えて活動を支援していけるといいですね。

文・間野由利子 編集・山内ウェンディ

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