いつでも、どこでも、ママに寄り添う情報を

「こども宅食」全国展開決定!ふるさと納税で貧困世帯に食品と笑顔を

pixta_21424509_M経済的支援が必要な家庭に対して2カ月に1回、平均8.4kgの食品を宅配する「こども宅食」。東京都文京区ではじまった取り組みをひろげるため、「一般社団法人こども宅食応援団」(以下、こども宅食応援団)として、佐賀県佐賀市に設立。活動の場を全国へと広げていきます。

こども宅食とは?

こども宅食とは、生活の厳しい子どもの家に、定期的に食品を届ける取り組みです。2017年7月にスタートし、文京区内の生活の厳しい子育て世帯に、企業や団体などから提供された食品などを2カ月に1回配送してきました。今回佐賀県佐賀市に「一般社団法人こども宅食応援団」を設立し、ふるさと納税制度を活用し、3,000万円を目標に寄付を募ります。

子どもの13.9%、ひとり親世帯の50.8%が貧困問題を抱えている

現在、日本で暮らす子どものうち、13.9%が貧困に陥っており、特にひとり親世帯の貧困率は深刻で50.8%にもなります*。支援を必要としながらも「どこに求めたらいいのかわからない」「支援を受けていることをまわりの人に知られたくない」などの理由から、行動を起こしにくいという課題があります。支援する側も「こども食堂」などで食事提供や学習サポートなどをするものの、支援を必要としている人たちがどこにどれだけいるのかを把握するのは難しいということもあります。

*厚生労働省「平成27年国民生活基礎調査の概況」

本当に支援を必要としている人たちに届けたい

「こども宅食」で注目すべき点は、「コレクティブ・インパクト」と呼ばれる、行政、企業、NPO、財団、有志団体など、立場の異なる組織が協働する手法で、社会的課題の解決を目指す活動です。児童扶養手当または就学援助の利用世帯など行政のデータをもとに、NPO法人などがこれまで培ったノウハウを生かして食品などを届けることができます。これによって本当に支援を必要としている人たちに食品を届けることができるのです。

食品宅配とともに各家庭の問題を把握、支援へつなぐ

「こども宅食」を行う狙いはもう1つあります。食品などの配達を通して貧困世帯とつながりを持つことで、家庭内のDV問題発見につなげるなど、困った問題があったらすぐにサポートできるつながりを持つこと。申込なども自治体の窓口からではなく、普段ママたちが使っているLINEからできるという点も、申込のハードルを下げ、利用しやすくなるという点で、注目ポイントです。

「気持ちが前向きになった」。利用者の生の声

実際に利用した貧困世帯の利用アンケートによると、利用者の86%が、こども宅食の支援を受ける前と比較して、「気持ちが豊かになった」「社会とのつながりを感じられるようになった」など、気持ちが前向きになったことがわかるコメントが多数寄せられました。

活動資金はふるさと納税。目標額は3000万円

今回、「こども宅食応援団」がスタートするのは、佐賀県が中心。なぜ佐賀県かというと、佐賀県では県がNPOを誘致したり、NPOが活動しやすい環境をつくるなど、「NPO先進地区」ともいえる場所だからです。資金調達には、ふるさと納税制度を活用する予定。通常の返戻金は用意せず、集まった支援のすべては事業のために活用されます。2019年3月31日までの目標額は3000万円。食品などの宅配をキッカケに、家庭内のDV問題で悩んでいる子どもたち、孤立しがちな母子家庭をサポートするなど、様々な支援につなげていけるといいですね。

文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ

関連記事

熊本市「くまさんの輝き」米を文京区「こども宅食」へ1800キロ支援
文京区内の生活の厳しい子育て世帯に、企業や団体などから提供された食品などを2カ月に1回宅配する「こども宅食」。これまで苦戦していたお米の入手について、熊本の3つの農協から協力の手が差し伸べられまし...
食品支援を行う文京区「こども宅食」プロジェクト。利用者の声からわかった生活や気持ちの変化とは?
文京区内の生活の厳しい子育て世帯に、企業や団体などから提供された食品などを2カ月に1回、平均8.4kgの食品を宅配する「こども宅食」。経済的支援が必要な家庭に対して、2017年10月から150世帯に配...
自身のワンオペ育児体験から考える本当に役立つ育児支援とは?【文京区】
自治体ではじめての育児休業を取得したことで「イクメン区長」と呼ばれる文京区の成澤廣修区長。以前から家事や育児は積極的に取り組んでいるそうですが、昨年奥さんが入院したことでまさかのワンオペ育児状...