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「もう大丈夫」が招く子どもの危険。幼児は身の周りの危険をどこまで理解している?【朝ごふんコラム】

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公園や園庭の遊具、保育園の中など、一見安全そうに見える場所でも、子どもの行動一つでケガや事故が起きてしまうことも。国立研究開発法人 産業技術総合研究所の大野美喜子さんによると「ポイントを3つに絞り、安全について考える授業を行うと、子ども自身が身の周りにある危険に気づけるようになる」といいます。詳しくお話を伺いました。

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子どもの安全行動を促すことを目的とした「安全授業」とは

埼玉県秩父市の保育園で、小学校入学を控えた5歳児クラスの園児たちに「安全授業」を行っています。埼玉県秩父市は、世界で363番目のセーフコミュニティーに認証され、地域全体で傷害予防活動に取り組んでいる市としても有名です。なかでも幼児期から身の周りの危険を伝え、子どもの安全行動を促すことにも力をいれているため、子どもたちへの「安全授業」を積極的に行っています。先日、実際に私が園児たちのまえで行った授業の内容について、詳しくお話します。

ケガをしたのはどんなとき?子どもに聞くワケは?

まずはじめに、子どもたちに「ケガをしたことがあるか」ということに聞き、「どんなケガをしたのか」「どんな風にケガをしてしまったのか」などについて、話をしてもらいました。子どもたちから出てきた言葉は「友達とぶつかった」「転んだ」などの同じ言葉。このように同じ言葉が複数回出た場合は、「同じ事故が起きているね」と声を掛けて、同じ事故が繰り返し起きていることを伝えましょう。

そのうえで「どうして事故は起きたのだろう」「どうしたら防ぐことができたのかな」などと声を掛けてあげます。それによって子どもたち自身が事故やケガについて考えるキッカケになるのです。ポイントは、事故は予防できるということを伝えること。これを子どもが理解できれば「廊下は走らない」「急いでいても押さない」など、具体的な予防法を自分達で考えるようになります。

子ども自身の事故予防能力が高くなる「3つの約束」

次に、「傷害予防の3E」を伝えます。傷害予防の3Eとは、法制化(Enforcement)、環境改善(Environmental Modification)、教育(Education)のことで、事故予防のための3原則として世界的に普及している考え方です。この考え方を子どもたちにも分かりやすいように、事故予防のための「3つの約束」として次のように伝えています。

1.ルールをつくろう(法制化)
2.危ないところを直そう(環境改善)
3.教え合おう(教育)

子ども自身にルールを作らせる

傷害予防の3Eを学んだあとは、ワークショップを行います。このワークショップでは、子どもたちに園庭や公園などで遊んでいる子のイラストを見せて「あぶないところはどこだ?」と、質問します。そうすると子どもたちが「この子はすべり台の上に立っていて危ない」「滑るほうから登っている」と、気づいたところをどんどん伝えてくれます。
それをもとに「友達とぶつからないようにするためには、どんなルールを作るといいかな?」といいます。子どもたちに「ケガをしないためにはどうしたらいいのか」を考えてもらうのです。たとえば、大人から「走ったら危ないから、廊下は歩きなさい」と言われるよりも、子どもたち自身が「走ったら人とぶつかってケガをする。だから走らないように歩こう」と気づいてルールを作り行動したほうがが、大人に言われるより数十倍も事故予防の効果が高いのではないかと考えています。

事故が起きる前に環境を変える

2つ目は、危ないところに気づいたらすぐに直そう!です。たとえば、机の角が尖っていて転んだときに頭をぶつける危険性がある場合は、すぐに机の角にクッションを貼って怪我を未然に防ぎます。また、保育園内で子どもたちの様子が見えない死角ができてしまうときは、レイアウトを変更し、園児全員の様子を把握できる環境を整える必要があります。子どもたち自身が環境を変えることは難しいので、子どもには、危ないところを見つけたら先生や大人に伝えてね、と教えます。大人が気付かなかった危険を、子どもたちが教えてくれることもあります。危険な場所を発見し、人に伝えることで子ども自身、「ここが危険」だと感じる力が強くなります。また、保育園などで学んだことを家族に伝えるというのも有効です。人に聞いたことを理解して、人に伝えることで、より自分の中での理解度が深まるのです。これは、3つのEの「教え合おう」に当たります。

親子で身の周りの危険について話し合い、子ども自身が安全への意識を高める

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保育園のうちは親や先生など、大人がそばにいることが多いですが、小学校以降は登下校を含め、子どもたちだけで過ごす時間が長くなります。小学校入学を控えた5歳児クラスだからこそ、今の時期から身の周りにはどんな危険があるのかを学習しておくといいでしょう。東京都が発行しているSafe Kidsという冊子には、日常のよくあるシーンの中での「誤飲」、「窒息」、「転落」、「やけど」、「溺水」、「自動車」、「自転車」の危険性を紹介しています。子どもと一緒に日常に潜む“ヒヤリハット”を話し合い、万一に備え怪我をしてしまったときの対処法も知っておくのが良いでしょう。親子で話し合うことで、子ども自身が安全への意識が高まって、適切な行動を取れるようになり、事故予防にもつながるのです。また、ご紹介した子ども自身の事故予防能力が高くなる「3つの約束」は、家庭でも使えるので、ぜひ家族みんなで活用してみてください。

毎朝みんなでゴハンを食べながら、たった5分でも家族のコミュニケーションをとってほしい」という想いからはじまった『朝ごふん』プロジェクト。
このコラムは、忙しい朝でも親子で話せる子どもの安心・安全情報について紹介しています。
生活に役立つ記事は『朝ごふん』ページで読むことができます。ぜひご覧くださいね。

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