親が子どもへ感情移入しすぎてしまう……。親子でも起こる「共依存とピーナッツ親子」とは
ドラマや映画、美しい風景や絵などをみて心が揺さぶられることはありませんか? まるでその世界に自分がリンクしているような気持になって気が付けば笑っていたり、涙していたり。でももしその対象がわが子だったら……? 今回ママスタコミュニティに寄せられたお悩みは、お子さんに起こることがまるで自分のことのように感じてしまうママからの投稿でした。
子どものことが自分のことのように感じてしまう
投稿者さんのお子さんは高校1年生になる娘さんです。その娘さんに彼氏ができると投稿者さんにも彼氏ができたような気持になって嬉しくなり、娘さんが彼氏と別れてしまうと同じように落ち込み悲しんでしまうそうです。
『娘が彼氏と別れたりすると自分も涙が出てきて苦しくて、夜もあまり寝れなくなるほどなんです』
投稿者さんと娘さんとはオープンで仲の良い関係だと話しています。実際、周囲からも「仲良し親子」のようにいわれているそうです。親子でもまるで友だちのように何でも話せて、相手のことを思いやれるなら素敵な関係のようにも思えますが、投稿者さんは、娘さんに対し感情移入しすぎるご自身に不安を感じているようです。
子どもへの感情移入、線引きはどこでする?
『依存しすぎじゃない? 私、娘と仲良いけど「いい経験してるな~」って懐かしくなるだけだよ』
『すっごく分かります! 娘が彼氏と別れたとき、まるで自分が失恋したかのようなショックと寂しさや虚しさが起きて、食欲はなくなるし、投稿者さんと同じく、夜も眠れなくなりました』
『今多いらしいです、共依存の親子。私もそうです。周りから見たら仲がいいふつうの親子ですが、自分のことのように一喜一憂している自分が気持ち悪いし嫌です』
『同一視しちゃってピーナッツ親子になっちゃうよ』
ママたちの意見は「依存しすぎ」という声と「共感できる」という声とで大きく分かれました。中には「気持ち悪い」と感じてしまう声もありましたが、どこまでがよくてどこからがアウトなのか、分かりにくい問題なのかもしれないと感じました。
共依存とピーナッツ親子とは
「共依存」とは依存症から発展した状態を指しています。共依存の状態になると、自分自身に焦点が当たらず、依存する相手にばかり焦点を当ててしまいます。依存している相手に必要とされることだけが喜びとなり、そこに自分の存在価値を見いだそうとします。その依存が継続されたり、度合いが強くなると依存されている相手も依存の渦に巻き込まれ、お互いに依存することを維持し続けていこうとするのです。共依存はアルコール依存などのケースでよく用いられる言葉ですが、実際は対人にも起こるもので、子どもや夫、友人などが共依存の相手になることも珍しくいないようです。
ピーナッツ親子については俗語のようなもので正しい見解はありません。一般的には「マザコン」の女性版であるといわれています。母と娘の関係性が濃すぎることで起こる状態のようです。母と娘でぴったりくっついて並ぶ姿が「落花生」の殻の中で並んでいるピーナッツのように見えることから「ピーナッツ親子」と呼ばれています。特徴としては「しょっちゅう母親に連絡をしている」「母親に恋愛相談をする」「ファッションが母と娘で同じ」などがあげられるようです。
共依存にしてもピーナッツ親子にしても、簡単に言葉にしてしまうことはできますが、どこで線を引くかは個人差があるので、一概に変だとか変じゃないとかを他人が判断するのは違うような気がします。
感情の共有だけならあり?
『口出しをする訳じゃなくてただ共感するんでしょ? いい関係の親子だよ』
『それで相手に攻撃しなければよくない? 感情だから仕方ないよね』
過干渉に依存など、さまざまなワードが飛び出す中、感情を共有するだけなら問題はないのではという声も上がりました。確かに、感情を共有するあまりに、子どものやることなすことに口を挟んでしまうと、せっかくの親子の良好な関係にも悪影響を及ぼしかねません。あくまでもママの胸の内でひっそりと感情を共有しているのであれば問題はないように思えます。またお子さんにそのことを悟らせないようにしておけばもっと問題ないのではないでしょうか。
子どもと自分の境界線を見極めて、お互いのテリトリーに踏み込まない関係作りを
子育てをしていると、ある程度は投稿者さんのような感情の共有や共鳴は起こってもおかしくないのかもしれません。ただ、ご自身以外の感情で気持ちが振り回されていては、ママの気持ちが疲れてしまいそうです。またお子さんがママがそこまで共感・共鳴していると知ったらどう思うかなども考えてみる必要がありそうです。
せっかくの良好な親子関係を崩さないためにも、共感しすぎる部分があることはママの胸のうちにひっそりとしまっておいて、子どもへの過干渉をしなければ問題ないのではないでしょうか? 干渉しすぎて子どものテリトリーに踏み込んでしまうことは、子どもを傷つけてしまう可能性もあります。
お子さんの感情に共鳴して感情が高ぶってしまったときは、深呼吸してみましょう。そして子どもと自分の境界線がどこにあるか、探してみてください。見つからなくても探すことにきっと意味があると思います。もしかしたら、お子さんが独立するまでの期間限定の感情かもしれませんので、無理にその感情を消そうとせず、受け止めてみることも一つの解決策かもしれませんね。
文・櫻宮ヨウ 編集・山内ウェンディ
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