他人事だと思ってない?患者数は年々増加!”梅毒”について知っておこう
梅毒というと、”いまや昔の性病”、あるいは”自分には関係ないところで起こっている病気”という認識の人も多いのではないでしょうか。しかし2018年10月第2週の時点において、2018年だけでどれだけの人数が感染しているかご存じですか?
答えは、全国で5,365人です(国立感染症研究所 第41週の梅毒患者の速報値)。2018年9月に日本医師会の平川俊夫常任理事から行われた”梅毒”に関する注意喚起によると、梅毒患者は年々増加しているとのこと。2017年の梅毒患者数5,820人に対して2018年は患者数の増加ペースが速く、2018年度末には7000人に達することが予想されています。
報告が最も多かったのは東京都、次いで大阪府となっていました。この2都市だけでなく、患者の報告は全国からなされています。
”梅毒”とは、いったいどんな病気で、どのような症状があるのでしょうか。
梅毒って何?時間をかけて感染者の体を蝕む症状とは
梅毒とは、HIVやクラミジア、淋病などと同じ性感染症です。キスや性行為をするなら誰にでもかかる可能性があります。
梅毒の症状―潜伏期間(感染してからおよそ0~3週間)
梅毒に感染してもすぐに自覚症状が出てくるわけではなく約3週間の潜伏期間があります。潜伏期間のあいだに他の人に梅毒を感染させている可能性があります。
梅毒の症状―第1期(感染してからおよそ3週目以降)
性器や肛門、口などに3mmから3cmの赤い発疹が出てきます。発疹は特に治療をしなくても1ヶ月ほどで消えてしまうこともあります。しかし発疹が消えたからといって梅毒が治癒したわけではなく感染力はあるので、他人に感染させないように注意が必要です。
梅毒の症状―第2期(感染してからおよそ3ヶ月目以降)
梅毒に感染してから3ヶ月くらいになると、手のひらや足の裏、身体のあちこちに”バラ疹”と呼ばれる赤い発疹が出てきます。手足や身体に出てきた発疹も半年くらいで痕を残すこともなく消えてしまうことがあるようです。しかし第1期の発疹と同様に発疹が消えたからといって梅毒が治癒したわけではなく、感染力はあります。
梅毒の症状―第3期(感染してからおよそ3年目以降)
梅毒に感染してから3年が経過すると、全身で炎症が進行することがあります。
梅毒の症状―第4期(感染してからおよそ10年目以降)
人によっては脳や心臓、眼に異変が起こることがあります。失明したり、認知症のような症状が出たりすることもあるとのことです。
梅毒は妊婦さんや赤ちゃんにも感染する
梅毒は妊娠にも大きな影響を与える可能性があります。妊婦さんが梅毒に感染すると、流産や死産、早産などの原因になり得ます。また赤ちゃんが先天性の障害を持って産まれてくることもあるのです。
人によってはまったく症状が出ないこともある!
梅毒に感染した場合の症状を簡単に紹介してきましたが、人によっては梅毒に感染していてもまったく症状が出ないこともあるようです。他人に感染させないために重要なことは”梅毒の感染経路を正しく知っておき、予防すること”です。
梅毒の感染経路とは
梅毒はキスや性交をすることにより感染することがあります。厚生労働省が示した具体例によると
『主な感染経路は、感染部位と粘膜や皮膚の直接の接触です。具体的には、性器と性器、性器と肛門、性器と口の接触等が原因となります』
とのことです。口を使った性交を行った場合は喉などに感染するケースもあり、肛門を使った性交をした場合は肛門に感染する可能性があります。つまり、すでに梅毒に感染している性器やその他部位に直接触れることが感染の原因とされています。
梅毒の感染を予防する方法はあるのか
梅毒に感染することを予防するためにできることはあります。それは、
・口を使った性行為や肛門を使った性行為を行う時でも、ゴム製の避妊具を必ず装着すること。
・性行為や性感染症について、日常的にパートナーと話をすること。
です。ゴム製の避妊具を使っても、外れるなどのトラブルが起こることもあるでしょう。そのため、不特定多数の相手との性行為をしないことも、感染を拡大させないために非常に重要な方法となります。
また万が一梅毒にかかってしまったとき、恥ずかしい、といった理由で病院を受診する機会を自ら失ってしまわないためにも、日常的にパートナーと性行為や性感染症について話せる雰囲気を作っておきましょう。梅毒など性感染症にかかった、と自覚したとき、性行為を持ったパートナーも一緒に病院を受診したほうがよいケースがほとんどだからです。
梅毒は早ければ治療できる!診療科は何科に行けばいいの?
梅毒の治療は早ければ飲み薬で治療できる病気です。もし、自分が「梅毒にかかったかもしれない」と感じたら、男性は泌尿器科を、女性は婦人科や性病科、感染症科などを受診することになります。症状はないけれど思い当たる節があり不安な場合は、自治体や保健所が主体となっている検査機関に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
梅毒にかかったからといって恥ずかしいということはありません。梅毒に感染した可能性を感じたら早めに病院を受診しましょう。自分と大切な人の身体を守るために。
文・しのむ 編集・しらたまよ