西山茉希:第6回 夢の中で知らないおばさんに妊娠を教えられたんです
2013年4月、西山さんの妊娠がスポーツ誌で報道されました。
その2ヵ月後の6月30日に入籍をした西山さんですが、その妊娠に至るまでには、知られていない苦労がたくさんあったそうです。
妊娠が分かった時のことについて、聞かせてください。
私、モデル時代の不規則な生活やストレスで、生理が2年間来ていないこともあったんです。
無理なダイエットや、早朝から深夜まで仕事、というようなめちゃくちゃな生活リズムが原因だと分かっていても、そのことを改善する余裕がなくて、病院に行くこともせずに何年も過ごしていたんです。
私が一番なりたいのは、前回お話した“孫がいるおばあちゃん”なのに、その夢が叶えられなくなるようなことをしているんだな、と考えたこともありました。
何をすべきなのかは分かっているんだけど、それを大切にする行動ができないまま、とにかく目の前の仕事をこなすことでいっぱいいっぱいな時期があったんです。
そういう時期に今の旦那である彼と付き合っていく中で、自分の体の状況も彼に伝えて、「私は子どもが産めないかもしれない、それは自業自得だから仕方ないとしても、結婚をしてから子どもが欲しいと思って、やっぱりできなかったというのは耐えられないから、いつでも子どもができてもいいという気持ちで今も付き合ってほしい」と彼に伝えたんです。
彼も、結婚を前提に付き合ってくれていたし、子どもも欲しがってくれたので、そのときから作り始めました。
それでも1年半は、全くできなかったんです。何度か、できたかな?と思って検査をしたんだけど、いつも結果は陰性。だから、「あぁ、やっぱり私は子どもができない身体なんだ」と思っていました。
そんな待ちに待った状態の中で、2013年に妊娠がわかったんです。
その間に、病院で検査を受けたり、治療をしたりしたんですか?
それはしてないです。病院で検査をして「あなたは子どもが産めません」とはっきり言われたら、自分が壊れてしまうと思ったし、立ち直れないと思っていたから病院へ行くことはしなかったんです。
基礎体温を計ってもガタガタで、排卵日なんて全然分からないし、それを見ることさえ気持ちが落ちてしまったから、とにかく自然にできることだけを考えて1年半、子作りをしてたんです。
すぐに妊娠に気づいたんですか?
何度も陰性で落ち込んできたので、生理が来なくても、「これを妊娠だと期待しちゃだめだ」と2ヵ月くらい何も調べずにいたんです。
そしたら、つわりの症状は出なかったんですけど、身体に変化が出てきたんです。それで、「もしかして…」という気持ちも抑えきれなくなってきた時に、妊娠をする夢を2回見て、夢の中で、すれ違った知らないおばさんに「ねぇねぇ。あなた妊娠してるわよ」ってお腹を指さして言われたんです。
それで、次の日に検査薬を買って調べてみたら、陽性が出たんです!
すごいですね!その夢を見た時には、妊娠を確信しましたか?
あまりにも印象的すぎる夢だったので、こんな夢を見るくらいなら一度調べてみようと思いました。
一人で検査をしたんですけど、変な汗が出ましたね。何度か検査して慣れているので、箱から出してさっと検査をしたんですけど、その時に見たことのないところに線が出たんですよ。
でも、それは陽性のところでもなかったので「どういうこと!?」と思って、ゴミ箱から説明書拾ってみてみたら「この場合は陽性です」の説明の3番目くらいに同じ線があったんです。
すぐに旦那さまに報告したんですか?
すぐには言えなかったです。結婚を前提に子作りをしてきたし一番に言いたいんだけど、いざ、その時が来たら、まだ結婚しているわけじゃないから、本当にできたと伝えた時の反応が怖くなっちゃったんです。
それを伝えた瞬間の態度に、全て思っていることが出るじゃないですか。それで一瞬でも「えっ?」って空気が流れたらどうしようとか思ったら、怖くて言えなくなっちゃったんです。
それを伝えた瞬間に、彼は結婚とパパになるということを一気に抱えることになるから。
だからすぐには言えなかったんですけど、その日の夜がちょうど、私の父と彼の3人でご飯を食べる日だったんです。
ご飯を食べて彼は仕事に出かけたんですけど、このままだと一番最初に父に話すことになっちゃう!と思って、父といる席から彼にメールを送りました。
すぐに喜びと驚きの返信と電話があった時、すごく嬉しくて安心できました。
それで病院に行ったんですか?
そうです。すぐに心拍確認ができて、母子手帳もらってきてくださいって言われて、すごく嬉しかったですね。
待ち望んだ妊娠がわかって、楽しい日々のスタートですね。
私たちにとっては、覚悟して結婚を考えて2年近く子作りをしてできた赤ちゃんだったけど、周りはそんなこと知らないから、若い二人が突然のできちゃった婚で、しかも旦那はまだ21歳!ていう騒がれ方をしたんです。
なので、両方の親や、友達からも、一言目に「おめでとう」となかなか言ってもらえなかったんです。
結婚をするというのは以前から身内や友達に伝えていたけど、報道で私たちの間にあること以上の内容を目にしていたと思うので、全てを正確に理解してもらうのは難しかったと思います。
私にとっては、赤ちゃんができて嬉しくて祝福されたいのに、その最初の「おめでとう」を言ってもらえないのがすごく苦しかったんです。
だから、安定期に入るまでは友達とも距離を置いたり、家族とも報告した後は連絡を取らずにいて、ずっと旦那と二人で過ごしていましたね。
今でも、妊娠したと報告して一発目に「おめでとう!」と言われている人を見たり、祝福ムードで報道されている人を見ると、「いいなぁ」って思ってしまう時はあります。
待ち望んだ妊娠がわかった時に、「おめでとう」を言ってもらえなかったことが、とても辛かったのが、お話を伺っていてとても伝わってきました。
そんな中、旦那さまとマタニティ生活を過ごす上で、楽しいことがたくさんあったそうです。
次回は、そんなマタニティ期間のお話を伺いします。お楽しみに!
(取材・文:上原かほり 撮影:chiai)