子どもが50円玉を飲みこんだ!誤飲事故から硬貨が取り出されるまでの4時間の戦い
今回のお話は、筆者のママ友さんのお子さんに実際に起こった「誤飲事故」の話です。
当時、誤飲事故を起こすことになる子どもは3歳10ヶ月、1歳になる弟がいました。ママは下の子のお世話にかかりきりになることが多く、上のお子さんは自宅ではひとり遊びをすることがたびたびあったそうです。事故があった日もいつものように、彼はひとり遊び。ガチャガチャのカプセルを酸素マスクのように口に当て、呼吸する遊びをしていました。
「50円玉、飲んじゃった!」子どもの叫びにママは驚愕!
しばらくすると、子どもが「50円玉、飲んじゃった!」と半分泣きながらママに訴えてきました。単にガチャガチャのカプセルで酸素マスクごっこをしていると思っていたママは、心臓が飛び出るほど驚きます。まさか子どもが遊んでいたカプセルの中に50円玉が入っていたなんて、ママは知らなかったのです。
その場でママは子どもの口に指を突っ込み、何とか50円玉を吐かせようとしますが、取り出すことはできません。急いでママは最寄りの病院へ駆け込みました。しかし地元のかかりつけの病院では処置できない、と言われてしまい、大学病院を紹介されることになりました。
レントゲンにくっきりと写る50円玉。食道にあるのはわかったけれど……
紹介された大学病院に行き、レントゲン撮影をした結果、50円玉は子どもの食道に引っかかっていることがわかりました。あまりにもくっきりと写る50円玉の影にママは驚いたそうです。そして、お医者さんの口から、50円玉を取り出す方法が説明されました。
「口からバルーンを入れて取り出します」
一般社団法人 日本IVR学会総会によると、小児の誤飲のうち、食道内にある硬貨など「とがっていないもの」について処置はまず、レントゲン撮影による食道内の異物の場所を確認しながら処置が行われるとのこと。そしてバルーンを口から入れ、異物である硬貨にバルーンの先端がたどり着いたらバルーンを膨らませ、硬貨を「捕獲」し、引き上げる方法がとられるそうです。
子どもは当時3歳10ヶ月でしたが、身長が5歳児並みと大柄であったため、処置のあいだ子どもの身体を押さえるために若くて力のある先生方が5、6人ほど集められました。ママは1歳の弟を連れて、処置室の外で待つように指示されました。弟を抱っこし、処置室の外で待つママの耳には20分以上にわたり、苦しみ泣き叫ぶ子どもの声が聞こえていたそうです……。
そして、約20分後。
先生が処置室から出てきました。
「取れました! お昼ごはんはうどんだったんですね!」
お昼ごはんのうどんとともに無事に50円玉は吐き出されました。50円玉を子どもが飲み込んでからトータル4時間ほどの「戦い」は無事に終わることができたのです。
「ボク、50円玉のんじゃったんだよ!」トラウマになることもなかったのが幸い
その後、「50円玉誤飲事故」は無事に取り出せたこともあったのか、子どものおおらかな性格によるところもあるのか、事あるごとに「ボク、50円玉のんじゃったんだよ!」と子ども本人の口から「武勇伝」のように語られることもしばしばだそうです。トラウマになることもなかったようで、幸いでした。
ただ、たまたま今回は何事もなく取り出せたので良かったのでしょう。誤飲した異物の種類によっては今回のように無事に取り出せないケースもあるかもしれません。子どもに関わるすべてのことにママの目は届きにくいかもしれませんが、ママが「小さいな。子どもの口に入りそうだな」と感じたものはすぐに子どもの手や目が届かないところに隠したほうがいいかもしれませんね。
文・しのむ 編集・しらたまよ