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かゆくてつらい「水疱瘡(水ぼうそう)」。かかってしまったときの対処法と感染防止のためにできることは

2014年から、小児の定期予防接種となった水疱瘡。強いかゆみを伴うため、子どものケアや兄弟にうつらないか、ママとしては心配なこともあるでしょう。重症化すると肺炎や脳炎を引き起こすこともあり、年間10名ほどが命を落とすこともあるといいます。水疱瘡について、対処法と感染防止対策などについて、成田先生に伺いました。
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初期症状は38度以下の微熱

水疱瘡にかかると、初期症状として38度以下の微熱を発症することがあります。さらに食欲の低下や倦怠感などの症状を伴います。子どもがなんとなくだるそう、微熱があるなと思った時は、注意して様子を見てください。

発熱から1~2日ほどたつと、顔や腹部を中心に皮疹が現れます。皮疹は赤い平らなものが出現し、徐々に水膨れとなって、10日ほどでかさぶたになります。赤い皮疹が出始めた時点で「水疱瘡だろう」と思うものの、「蕁麻疹と区別がつかない」ということもあります。見分け方のポイントはあるのでしょうか?

「水疱瘡」と「蕁麻疹」の違い

水疱瘡の皮疹は、最初こそ赤く平らだったものが、数時間には水膨れになり、強いかゆみも出てきます。皮疹が出てから10日ほどでかさぶたになり、それからさらに10日ほどでかさぶたがはがれ落ちます。

これに対してじんましんは、着色のない皮膚の盛り上がりのような皮疹を発症し、すぐに激しいかゆみが出てきます。症状が軽い場合は、一時間程度で自然に消えます。水疱瘡は上述のように徐々に水泡が変化していきますが、じんましんは皮疹に変化はなく数時間以内に消えるのが特徴です。

感染を防ぐために気をつけるべきことは?

子ども 水疱瘡

水疱瘡の感染源をご存知ですか? 実は水痘・帯状疱疹ウイルスの感染によって発症するのです。感染経路としては、空気感染と接触感染であり、非常に強い感染力を持ちます。ウイルスは感染者のつばや咳・くしゃみなどの飛沫の中と水疱内に潜んでいるので、兄弟がいたら感染する可能性は高くなるので、注意が必要です。

また、感染力は水疱が現れる2日前から始まり、水泡が出た5日後まで続くため、水疱瘡に感染したと思ったときには時すでに遅し。すでに別の兄弟に感染していたなんてことも十分考えられます。

こまめな換気と手洗い・アルコール消毒を徹底する

このように空気感染を起こす水疱瘡。看病する場合は、免疫がある人がメインで行い、免疫がないと考えられる兄弟などは、隔離することが望ましいです。
また感染者のいる室内はこまめに換気をしましょう。そして、接触感染対策としては、感染者の水疱に触れないのはもちろんのこと、感染者や家族全員が手洗いとアルコールでの手指消毒を徹底し、人の手が触れやすい場所はアルコールで消毒しましょう。とくにタオルなどの共有は厳禁。感染した子どもがお風呂に入る場合は、最後に入れるようにしましょう。

72時間以内に緊急ワクチン接種で90%程度感染を防ぐことができる

水疱瘡に対して免疫がない人が十分な感染対策を行わずに水疱瘡感染者と接したときには、72時間以内であれば緊急的にワクチン接種を行えば90%程度感染を防ぐことができるとされています。もし幼稚園や学校などで水疱瘡が流行した場合に、感染している可能性が高いと考えられるときは積極的にワクチン接種を行うのも重要な感染予防の一つです。

「かゆくてたまらない!」というときの対処法は?

水疱瘡の水疱は非常に強いかゆみを生じます。子どもの場合では、かゆみに耐えられずかきむしってしまい、皮膚に痕ができたり、かきむしった傷跡から細菌感染を起こすこともあります。このため、かゆみ対策は非常に重要な治療の一つです。

一般的に用いられるのは、カチリ(石灰酸亜鉛化リニメント)とよばれる塗り薬です。小児科や皮膚科で処方されますので、用量用法をよく守って使用してください。また水疱は体が温まるとかゆみが増します。対症的に、水疱瘡部分を冷やしたり、入浴は控えるかシャワーで手短に済ませましょう。

2014年から小児定期予防接種。受けるべき?

子ども 水疱瘡

2014年から、小児の定期予防接種となった水疱瘡。1~2歳の間で接種しますが、定期摂取以前の子どもたちでは接種していない子も多いのではないでしょうか。

水疱瘡は重症化すると、肺炎や脳炎などの恐ろしい合併症を引き起こすことがある感染症です。年間10名程度の人が水疱瘡で命を落とすなど、注意が必要です。

また、大人が感染すると非常に重い症状が現れることも知られており、免疫がない人は予防接種をおすすめします。とくに幼稚園や学校で集団生活をしている子どもたちや、その家族は受けておくといいでしょう。予防接種を受けたからと言って100%感染を防げるものではありませんが、重症化を防ぐことができます。

「水疱瘡は放っておけば治る」などと、軽く考えていると危険です。しっかり予防して、水疱瘡に感染しないように気をつけたいですね。

取材、文・長瀬由利子 イラスト・んぎまむ

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