ベビーカーは電車やバスにどうやって乗せるべき?ママたちにできる「工夫」とは
子どもとのお出かけをするときに、ベビーカーがあると便利ですよね。寝てしまった子どもを乗せたり、つい多くなる荷物を載せたりと、お出かけには必須だという人もいるでしょう。しかし電車やバスなどの公共交通機関でのベビーカーの乗せ方には、課題が多くあるのが現状です。今回は、ベビーカーでマナーを守り快適に出かけるための方法について、考えてみたいと思います。
子連れで電車に乗らなければならないママが感じるストレス
筆者は首都圏に住んでいますが、子ども連れで公共交通機関に乗るときは、まずベビーカーを持って行くかどうかで迷い、ベビーカーで行くと決めた場合は、車内でベビーカーを畳むか否か悩みます。「そもそも子連れで交通機関に乗らなければいい」という意見もあると思いますが、ママたちの中にはどうしても子ども連れで電車に乗らなけらばならないという人もいるようです。ママスタコミュニティにも投稿が寄せられていました。
『託児所つきの会社で働いているから、通勤電車にも子どもと一緒だけど、ラッシュ時の混み混みの中に入るのが毎回凄いストレス……』
『1歳半の息子に皮膚の病気が発覚し、通院中。専門の先生に診てもらうため月に1度県外の大学病院に電車で1時間半かけて通っています』
筆者も通院や仕事の都合で子どもを連れて交通機関を利用することが多いのですが、2歳になって体重が増え、抱っこはつらいと感じてきたので、できればベビーカーで出かけたいと思うのが正直なところです。公共交通機関を利用する子連れのママたちそれぞれに事情があり、それぞれの選択をしているようですね。
「ベビーカーマーク」は認知度の低さが課題
公共交通機関にベビーカーを持って乗るときの振る舞い方についてはこれまでさまざまな意見が集まり論争になってきました。ベビーカーを畳むべきか否か、インターネット上などで意見が対立し合うこともありましたが、2014年には国土交通省が「ベビーカーマーク」を作成して、「ベビーカー使用者には、温かい気持ちを持って接し、見守りましょう」と呼びかけました。しかし、国土交通省の調査では「ベビーカーマーク」の認知度は、「見たことがあり、内容まで知っていた」という人が19.3%。「見たことはないが、意味は知っていた」という人は15.6%だったことがわかっています。決して広く知られているとは言えず、周知にはまだまだ課題がありそうです。
実際に、筆者自身は混雑している電車内やバス内では、ベビーカーを畳まずに乗車するのも肩身が狭く、周りの人にも歓迎はされていないと感じることも多いです。逆の立場になって考えてみると、場所を取るベビーカーは確かに混雑した車内では迷惑だと感じられても仕方がないとも思えます。「ベビーカーマーク」があって、「畳む必要はない」と国が言っているからと言って、どんな状況でも断固として畳まないというのは、周囲の人から傲慢だと感じられてしまうこともあるのかもしれません。
ベビーカーを畳みたくて畳めない事情のある人もいる
一方で、中には畳みたくても畳めないという、切実な思いを抱えたママたちもいるようです。
『うちは見た目ではわからないけど難病もちで障害児です。3歳ですが常にベビーカーです。子供用車椅子にするほどでもないけどベビーカーじゃないと移動できない。そういうパターンもあります』
『うちの子供は身体障害児で、普段は車だけどバスに数回乗ったことがある。うちの子が乗っているのは身体障害用のバギーだけど、ベビーカーと勘違いする人が多い。幸い田舎だからバスが混んでなくてよかったけど』
『股関節が弱くて抱っこ紐がダメな子や、腰痛で抱っこ紐が無理な母親もいる』
ママスタコミュニティには、そもそも車いすでベビーカーではない、ベビーカーでも畳めない事情がある、抱っこひもを使えないなどの事情を抱えた人の投稿も見られました。それぞれに抱えている事情はさまざまなため、一概に畳まなければならない、畳む必要はないと、どちらかに分けることは難しいのかもしれません。
どうすれば快適にベビーカーで公共交通機関を利用できるのか
それぞれにさまざまな事情があることはわかりましたが、やはり公共の場であることを考えると、ママたちにもできることはありそうです。具体的には以下のような点に注意してみるといいかもしれません。
ベビーカーの必要性はよく検討してから決める
子どもの体力や大きさなどに個人差はありますが、ベビーカーの存在がかえって負担になることもあります。長時間のお出かけのときは、現地でベビーカーを借りるなど、工夫した方が道中が楽になる可能性もあるので、その日のお出かけに必要かどうかよく考えたほうがよさそうです。
混雑状況や運行状況をできる限り調べてから乗る
アプリやHPなどで調べられる電車やバスも増えつつあります。大きな遅れがないか、混雑する時間は何時ごろなのか把握しておくだけで、ベビーカーでの乗車が快適になります。
乗るときは迷惑にならない努力は忘れない
車内の場所によっては、人の乗り降りの邪魔になってしまうこともあります。人の邪魔になっていないか気を配るなど、常に周りに気を配る努力は忘れないほうがいいかもしれません。また混んでいる車両にベビーカーでグイグイ入っていったり、スマホの操作に夢中になったりということがないように、公共の場だという認識を忘れないようにしたいものです。
ママスタコミュニティに寄せられた意見の中にも、参考になるものがありました。
『子どもがぐずったら下車するとか見送るとかって子育て経験者ならあるあるじゃない? そういうのも考えて時間配分したり、荷物の量考えたりベビーカーをコンパクトなバギーにしたりって前準備をするんじゃない? それでも上手くいかないときもあるけど、そういうのをちゃんとしてる人は周りもちゃんとわかるよ。多少ぐずっても温かい目で見てくれたり、あやしてくれたりすると思う』
実際に、筆者も首都圏に引っ越してきた2017年の夏から、頻繁にベビーカーで公共交通機関を利用するようになりました。それまで車移動が多かったため、どのように利用すればいいか今も試行錯誤が続いています。日々の中で驚いたのは、意外に手助けをしてくれる人が多くいるということです。電車に乗るときに大荷物を抱えて子どもの手を引き、畳んだベビーカーを運ぼうとしたら、周りの人が代わりに運んでくれたこともありました。1人で子どもを連れて出かけなければならないと張りつめていた気持ちがじんわりと温かくなったのを覚えています。
天気が良い日は外出もしやすいですが、ベビーカーでのお出かけも工夫しながら楽しめたらいいですよね。ママたちが最低限のマナーや気遣いを忘れずにいれば、ベビーカーの人もそうでない人も、公共交通機関での空間を快適に過ごせるのかもしれません。
文・高村由佳 イラスト・んぎまむ