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2018年の4月から「道徳」が正規の授業へ。自分ごと化が「いじめ問題」の解決や未然防止になる理由【衆議院議員・下村博文】

道徳
「道徳の授業にアクティブ・ラーニングを取り入れることによって、いじめ問題を自分ごととして考えられるようにしたい」と話すのは、下村博文元文部科学大臣。2018年4月から道徳科の授業の中で取り入れられるアクティブ・ラーニングについて、お話を伺いました。

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これまでの道徳の授業では「いじめ問題」を自分ごと化できなかった

2020年の教育改革のプレスタートとして、2018年の4月から小学校の教科に道徳が入ります。これまでも学校の授業の中には「道徳の時間」というのはありましたが、正規の授業ではありませんでした。さらにいうと、これまでは道徳には教科書がなかったのです。「じゃあ、どのようにして学んでいたの?」ということですが、教育委員会発行の副教材や担任の先生が用意した資料や物語を読みます。その資料には、「正義が大事」とか「いじめはいけない」ということが書いてあるわけです。

「いじめはいけない」ということを道徳の時間に先生が教えて、授業を聞いている子どもたちも「いじめはいけないことだ」とは理解していたでしょう。しかし、それでなくなるかと言ったら全然なくなってないのです。これまでの道徳の授業は、先生が「いじめはいけない」という物語を読んで、子どもたちの意見を聞き、最終的には「こういうことがあってはならないね」という話で終わっていたのです。

「子どもたち自身で考え議論する」内容へ転換

これに対して2018年度からの道徳の教科では、アクティブ・ラーニングを導入した授業を行う予定です。アクティブ・ラーニングというのは、ちょっとした寸劇のような形で、登場人物の考え方や行動を「自分だったらどうするか」と、子ども自身が自分に重ね合わせて考え、主体的に学ばせる授業です。

たとえば、「いじめ」をテーマに扱うとき、子どもたちをいじめる側、いじめられる側、傍観をしている第三者、それぞれ3つの立場にわけます。そのうえで、3つの立場から「自分はいじめる側で、いやがらせなどをしたけれどもそれをどう思ったのか」「いじめられてどんな気持ちになったか」「いじめを止めなかったことについて、どう感じたのか」などを話し合い、お互いに感じたこと、気づいたことなどを議論しあうのです。自分の考えと同じ考えの役、違う考えの役などを演じることにより、自分を客観的にみられるようになり、他人の意見も尊重できるようになってくるのです。

自分と違う意見を尊重できるかが大切

もう1つ大切なことは、道徳的な価値観は、必ずしも全員が一律ではなくて、友達と意見が違っていてもいいと思います。「A君の主張も正しいけど、B君の主張も正しくないとは言えないじゃないか」「B君の主張も、理解できるよね」というように、唯一絶対的な正解というのは見つけるのがなかなか難しいのです。

たとえば「いじめを見て見ぬふりをするのはよくないよ」といっても、見ている子だってなんとかしたいとは思いつつも、「人間関係が悪くなるからいえない」という葛藤もあるでしょう。このような葛藤が起きる問題について「自分だったらどうするか」を子どもたち自身に考えさせることが大切です。

道徳の授業でアクティブ・ラーニングを導入することで、子どもたちがいじめなどの問題を「自分ごと」として捉え、考え、議論し、いじめ問題の解決や未然防止になることを期待しています。

取材、文・間野由利子 編集・北川麻耶

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